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【2023年9月事例】PayPalアカウント凍結・資金没収⇒2年越しに全額奪還成功した話

以前ペイパルアカウントが永久停止した際の対応方法についてnoteを書きましたが、同様の被害を受けた方が増えているのか、ここ最近閲覧が伸びてるようでびっくりしています。
そんな中、今回は新たに知人から依頼を受け、2年前に資金ごと凍結してしまったペイパルアカウントからの資金奪還に成功をしたので、新たにnoteで体験談を執筆したいと思います。

理由無くユーザーのアカウントを不当に凍結し資金を奪う事業者として名高いペイパルですが、本記事を通じて、実際にそういった被害に遭った方々に対して少しでも希望を見せることができれば幸いです。

以前のnoteをお読みでない方は、下記より併せてお読みください。

ペイパルアカウント凍結の経緯

この表示が出たら基本的にもうペイパルアカウント復旧見込みはありません。最悪の場合残高の資金が全て没収されます。

今回私に相談してくれた知人は仮にAさんとします(個人情報を含むため、一部実際とは異なる内容で記します)。AさんのPayPalアカウントが利用停止となってしまった経緯は次の通りです。

Aさんはもともとイギリスに居住していたことがあり、その際現地でのショッピング利用のためにイギリスの電話番号と住所を使用してPayPalアカウントを作成していた。その後日本に引っ越しをしてからオンラインビジネスを始め、オンラインビジネス上で売り上げた収益の振込先をPayPalアカウントに設定していた。
PayPalアカウントに残高が1500ポンド(当時約20万円)ほど貯まったころに、PayPal残高引き出しが一時ロックされ、ロック解除のためには身分証明書と住所証明が必要との通達メールが届いた。
そのため、日本のパスポートと、日本の現住所の住民票を提出したところ「ペイパルアカウント上の居住国と実際の居住国と不一致」としてペイパル利用規約違反扱いとなり、アカウントが永久停止され、残高の約20万円を引き出すことができなくなってしまった。

ペイパルはあいまいな利用規約を盾にあらゆる取引を「利用規約違反」と判断してアカウント凍結を行うことで知られていますが、今回はペイパルで登録した居住国と、実際の居住国が異なることが、利用規約違反だと判定されてしまったようです。
赴任や留学など国を跨いで引っ越しする場合、登録時の住所と現住所が異なることは当然あり得ます。それに本人にも全く不正行為を行うような意図がなかっただけに、今回のペイパルの措置はとても無慈悲で非人道的だ、と怒りを覚えました。

今回行った対応の流れ

アカウント凍結がされた後に、Aさんからの協力依頼を受けて、具体的に次のことを試してみました。

まずはペイパルへ電話

PayPalアカウントが凍結したときにまず行うべきアクションはやはり電話です。今回は英国PayPalのカスタマーセンター宛てに電話をする必要があったため、英語での国際電話となりました。
一般的な国際電話だと通話料がとんでもない金額になってしまうため、Viber(IP電話の一種)を活用して格安通話料で通話を行いました。とは言え、回線が不安定で途中で通信が途切れてしまったり、ペイパルに回答保留とされたり、と何度も通話をかける必要が生じたため、資金奪還までに累計50回もの国際電話を行うこととなりました。
英語に自信がない方はこの時点ですでに心が折れてしまうかもしれませんね・・・(しかもPayPal UKの窓口のオペレーターは皆インド系なまりだったため、英語慣れしている筆者としてもとても聞きづらい印象を感じました)

そんな中で、今回の利用規約違反がAさんの悪意によるものではないこと、国を跨ぐ引っ越しのため仕方がないことであったこと、などを根気強くオペレーターに伝えることで、なんとか「特別措置」として、残高の出金許可をいただけることとなりました。

ついに残高出金!のはずが・・・

残高の出金許可をいただき、これでほぼ一件落着かのように思えたものの、ここで新たな問題が発覚します。それは、PayPal UKのアカウントに日本の銀行口座を追加することができない、という問題です。
もともとAさんはイギリス国内でしかペイパルを使用していなかったため、PayPalアカウントには現地の銀行口座しか紐づいていませんでした。ですがその銀行口座ももう使用しておらず、かといってPayPal UKのアカウントには、イギリスの銀行口座しか紐づけることができない、ということが今になって分かったのです。

ペイパルに再度電話をし事情を説明するものの、オペレーターからは「そういう決まりだから仕方ない」「あなたのアカウントはロックされているのでどうしようもない」などと、解決に結びつかないような回答ばかり。前回電話した時に、既に国外に引っ越している旨は伝えたはずなのに、その肝心な国外の銀行口座が登録できないなんて、もともとペイパルには返金の意思はなかったんじゃないのか?と怒りがふつふつとこみ上げてきます。

住所証明を求められる

そんな中、根気強く何度か電話をかけていると、別のオペレーターがマネージャーにつないでくれて、「現在の居住国の身分証明書と、現住所を証明する書面、その翻訳を提出してくれたら、特別に日本の銀行口座の登録を許可する」という返答をいただくことができました。
「いや既に住所証明は提出しているだろ!というかそのせいでアカウント凍結したんだろ!」と心の中でつっこんだものの、とりあえず対応を進められそうだということで、Aさんも一安心。

パイパルからの指示通り、Aさんに再度パスポートのコピーと住民票の写し、そしてその翻訳を用意していただき、ペイパルに再度データをお送りしました。
ところが、その後待てども待てどもアカウントに変化はなく、またペイパルからのコンタクトも一向にない。おかしいと思い、痺れを切らして再度ペイパルに電話をすることにしました。

手のひらをひっくり返される

ペイパルUKに再度電話をし、マネージャーへと繋げてもらったところ、なんと衝撃の発言が飛んできました。「確かに各種書類を受領したが、やはりシステム上日本の銀行口座をイギリスのペイパルアカウントに登録することはできない」とのこと。これにはさすがのAさんも私もブチギレ。
思わず声を荒げてファ●クと言ってしまいそうになりましたが、冷静にこれまでの会話を全て録音しているということ、場合によっては虚偽の発言として録音データを然るべき所に提出させていただく腹積もりであることを真摯に伝えさせていただきました。
これを受け、マネージャーもさすがにマズイと感じたのか、少し電話を保留にした後、代替案を提示してくれました。

ペイパルが提案した代替案

しばらくして戻ってきたマネージャーが告げたのが、「Aさん本人の銀行口座を登録することはできないが、代わりにAさんの家族への資金送金を許可してくれる」という代替措置でした。要するに、Aさんのアカウントに銀行口座を登録することがどうしても難しいようなので、かわりに家族のペイパルアカウントに残高を全額送金し、家族に代わりに資金を引き出してもらってくれ、ということである。

ただ、その場合は追加資料として手書きの「Authorization Letter(日本語で言うところの委任状)」が必要だ、とのこと。また手間が増えて不満そうなAさんをなだめ、何とかAuthorization Letterを作成してもらい、スキャンデータを送っていただきました。

Authorization Letter内には、家族のアカウントを明示しながら、PayPal UKがAさんの代理でその家族アカウント宛てに全額送金を行うことを許可する旨を記していただきました。ペイパルへ送り、再度しばらく待ちます。

また振り出しに逆戻り?

Authorization Letterを送った後しばらく経過したものの、一向にペイパルから連絡はありませんでした。もちろん、依然としてアカウント内の資金は引き出せないまま。また噓をつかれたのか、と半信半疑になりながらペイパルアカウント内のMessage Centre(メッセージセンター)でペイパルあてにメッセージを送ります。
すると、数日して返信があったものの「あなたのアカウントは凍結しているので資金を送金することはできません。資金を引き出すために、イギリスの銀行口座を登録してください」という内容でした。

このあいだのAuthorization Letterの流れは何だったんだ?何度嘘をつけばこいつらは気が済むんだ?と流石にキレる一同。Aさんとも話し合い、ペイパルが資金惜しさに嘘を繰り返し、我々に手間と精神的負担を強いているということを確信し、ついに法的手段を講じることにしました。

オンブズマン制度を使用してペイパルを叱責する旨を宣言

それが、オンブズマン制度。日本では馴染みがない制度ですが、イギリスではオンブズマン(行政管理機関)に対し、政府や民間企業の悪事を報告して法的解決を協力してもらえる制度があります。弁護士を雇い裁判を、となると裁判費用を捻出する必要がありハードルが上がりますが、オンブズマンの活用の場合は裁判に持ち込むことなく相手方の法的責任を問いただすことができます(というのが私の認識ですが、法律の専門家ではないため、正確な情報ではないかもしれません・・詳しくはご自身でお調べ下さい)。

ペイパルに対し再度メッセージで「これまでに約束してくれた責任を果たしてくれないのであれば、オンブズマン制度を活用し法的責任を追及する」という旨の勧告を行いました。我々としても、これでペイパルが素直に応じるとは到底思えなかったので、オンブズマン制度の活用についても並行して準備を進めることにしました。

ある日急に家族アカウントに送金が

それからしばらく経ってもペイパルからの連絡が一向にないので、呆れながらも久々にアカウントにログインしてみると、なんと残高が£0.01になっていました。そして最近のアクティビティとして「Adjustment(調整)」として家族口座宛てに資金送金がされている様子が表示されていました。

残高が£0.01になり、全額が家族アカウント宛に送金された形跡が

もしかして?との期待を胸に、Aさんの家族のアカウントを見せてもらうと、ちゃんと同額分の資金が振り込まれていました!Aさんに告げると、Aさんも歓喜のあまり涙をしながら大喜び。

家族のアカウントに全額ちゃんと振り込まれてました!

何度も諦めそうになりながら、2年の時を経てやっとペイパルから資金を奪還できたんだ、とまるで夢を見ているかのような気分だと言ってくれました。

銀行口座へ入金完了!

とは言え、喜ぶにはまだ早いです。家族のアカウントに資金が移っただけで、まだ資金を引き下ろせるかどうかはわかりません。もうすでにペイパルへの希望と信用を完全に無くしている二人。恐る恐る、家族名義の銀行口座宛てに全額振り込みます。

予め登録しておいた銀行口座へ全額日本円建てで振り込み

振込みの際には、米ドル建ての資金をすべて日本円へ両替します。余談ですが、2年間の間にドル円レートが大幅に変動したため、凍結直後は約20万円だった資金がなんと27万円近くに膨らんでいました。おかげでプラスの7万円を国際電話代などの支払いに充てることができましたが、禍を転じて福と為すとはまさにこのことかもしれませんね。

そして全額振り込みを実行してから数日後、何事もなかったかのように銀行口座に振り込みが完了していました!

ちゃんと全額ペイパルから入金がありました!

同じくペイパル利用停止・資金没収措置を受けてしまった方へ耳寄り情報

今回は2年間の時を経て無事資金奪還に成功しましたが、SNSなどではペイパルに没収された金額がそのまま帰ってこなかった、残高から消えてしまった、などといったケースも多くみられます。
残念ながらペイパルに奪われた資金は、今回のように能動的に、そして作戦を立てながら行動を行わない限り、決して自動的に返ってくることはありません。

また今回Aさんが負った精神的負担や機会損失を考えると、お金を返したくれたとは言えペイパルが行った不当な措置は到底許されるべきものではないと思います。
そんな気持ちから、実際に資金奪還を成し遂げた身として、同じくペイパル利用停止・資金没収されてしまった方が、諦めることなくペイパルからの資金奪還に向けて少しでも前向きに動くことができるよう、具体的な対応の内容をnoteに書かせていただきました。

私としては今までに自分のアカウントも含め複数アカウントから資金奪還に成功してきた経験を活かし、Aさんのみならず、可能な限り多くのペイパル凍結被害者の方々に対し資金奪還に協力したいと考えています。
とは言え、本noteで紹介したような膨大な手間を考えると、例えお金をいただいたとしても、知り合い以外の方のアカウント対応を行うような余裕は正直ありません。

そこで直接資金奪還をお手伝いする代わりに、以前私のペイパル日本アカウントが凍結してしまった際の経験をもとに、資金奪還方法について考えうる全ての対応方法をまとめたnoteを公開しております。

Aさんのケースでは、PayPal UKが属する法人「PayPal Europe S.a.r.l. et Cie S.C.A」を相手取ったやり取りでしたが、PayPal日本は別法人「PayPal Pte Ltd.」が運営を行っています。上のnoteで紹介している資金奪還方法は、すべて「PayPal Pte Ltd.」相手に実際に行った手法のため、日本アカウントを使用している方々にとっては、きっと参考となる情報が多いのではないかと思います。

※こちらのnoteは、ある意味ではペイパルに手の内を見せることにもつながってしまうため、少額ながら有料記事とさせていただいております。大変心苦しくはありますが、ご覧になる際はご購入いただけますと幸いです。

もちろん、すべてのケースが必ず解決できるような特効薬的なメソッドというわけではありませんが、被害者の皆様の資金が少しでも、そして運が良ければ全額帰ってくるよう、可能な限り思いつく手法をまとめさせていただきました。ぜひご活用いただけると嬉しいです。

最後に、本noteを読んでくださった皆様に、不当に奪われた資金が戻ってくることを心より願っております。

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