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2020年東京五輪に向けて!残り2年間で日本代表が出来ること

これまでの記事でアメリカの強さ今後について考えてみた。2020年東京五輪で日本女子バスケ代表が金メダルを取るためにはアメリカ(とアメリカ以外の強豪国)をトーナメントで倒す必要がある。そのために残り2年間で出来ることを5つの案として考えてみた。
※ここで述べているのはあくまでも案であり、現実的に出来ないこともあることをご了承ください。

1.代表経験が豊富な選手の登用
2.国際試合の有効活用(アジアカップ、五輪予選)
3.外国籍選手の登録基準の変更
4.海外リーグへの挑戦の支援
5.(将来的に)NCAAでプレーする選手の支援

1.代表経験が豊富な選手の登用
まず一つ目として代表経験が豊富な選手の登用について触れてみたい。2018年ワールドカップも渡嘉敷が健康であれば当然メンバーに選ばれており活躍していただろう。また、同大会に向けての合宿前・4月に代表から外れることから発表された吉田と大崎はどうであろうか。
バスケットボールのメディアであるバスケット・カウントにて、ライターの小永吉陽子さんの取材の元、ガードの吉田が今までの道のりとなぜワールドカップの代表を外れたかを語っている。同様にセンターの大崎も出産やこれからの活動について、同じく小永吉陽子さんの取材の元インタビューで語っている。
これらのインタビューを読む限り、吉田と大崎が代表としてそもそもプレーしたいと思うかどうかは現時点では不透明であり、ホーバスHCを含めたコーチ陣が選ぶかどうかという話もある。それでも筆者の考えとしては、吉田と大崎が代表レベルとして身体的にも精神的にもプレーできるコンディションであると仮定するならば、東京五輪での金メダルを目指す上で吉田と大崎の経験は絶対に必要になると考える。同じく渡嘉敷も2020年東京五輪にコンディションがベストになるように調整してもらいたい。
経験というのは本当に得難い財産であり、あのアメリカ代表でさえも2018年W杯の準決勝と決勝では経験のあるスー・バードとダイアナ・トーラジのプレー時間が増えていた。特に準決勝のベルギー戦ではスー・バードが37歳にも関わらず29分間、ダイアナ・トーラジが36歳にも関わらず31分間もプレーしていた。
この事実からも分かるように一発勝負のトーナメントやトーナメントを有利なポジションで進めるためのグループリーグで勝ち切るためには吉田と大崎の経験が必要になると考える。

※吉田の記事1:https://basket-count.com/article/detail/5087
※吉田の記事2:https://basket-count.com/article/detail/5088
※※大崎のインタビュー1:https://basket-count.com/article/detail/5208
※※大崎のインタビュー2:https://basket-count.com/article/detail/5209

写真:吉田のプレーを東京五輪で観ることができるか
http://www.fiba.basketball/womensasiacup/2017/Asami-Yoshida

2.国際試合の有効活用(アジアカップ、五輪予選)
負ければ終わりのトーナメントを勝ち切るという意味でも2019年9月に開催されるFIBAアジアカップを有効活用したい。2013年に43年ぶりにアジアNo.1となり、そこから2015年と2017年と3連覇を果たしている。2019年も東京五輪の前哨戦として4連覇を目指し、そのプレッシャーを感じつつも必ず勝ちきる経験を積んでもらいたい。そして、東京五輪から女子バスケットボールの出場チームの決め方が変更となっていることも上手く活かしていきたい。

写真:変更となった五輪とワールドカップの出場チームの決め方
http://www.fiba.basketball/womens-calendar-timeline

変更となった決め方は下記のようになる。
まず2019年11月に行われるプレトーナメントにて、
・アジア地区から4チーム(日本も4チームの一つに含まれる)
・アメリカ地区から4チーム(W杯優勝のアメリカも4チームの一つに含まれる)
・アフリカ地区から2チーム
の計10チームが次のラウンドに進む。この10チームに2019年のヨーロッパカップの上位6チームを合わせた16チームが4チーム×4つのトーナメントに分かれる。4チームの各トーナメントの上位3チーム(×4で合計12チーム)がオリンピックに出場することになる。日本もしくはアメリカのいるトーナメントは上位2チームとなる。
このトーナメントにて同じアジア地区もしくは違うエリアの強豪国と、(対戦相手は)オリンピック出場をかけての真剣勝負が出来ることは日本にとっても良い機会となるであろう。

写真:2018年W杯のグループリーグにてスペインに勝利をしたベルギー含めて、ヨーロッパカップは激戦が予想される
http://www.fiba.basketball/womensbasketballworldcup/2018/game/2509/Belgium-Spain/#iset=6615c299-d260-4bd2-9cbf-4103ab2768c0&iid=127de398-b27d-4ff0-98df-0b083d9ad694

3.外国籍選手の登録基準の変更
前回の記事でアメリカのインサイドにおける圧倒的優位性を説明した。渡嘉敷の存在が圧倒的であり絶対的であるWJBL(バスケットボール女子日本リーグ)も外国籍選手の登録基準を変えた方が良いと考える。現時点では下記のようになっている。

写真:WJBLの登録規則第3条
https://www.wjbl.org/static/pdf/info/add_1803.pdf

通算5年以上日本に在留している、という条件はあまりに厳しすぎると感じる。これは高校から日本に留学してその後日本の短大、もしくは大学に所属してプレーをして初めて条件を満たせるような状況である。これではアメリカやヨーロッパの有力なプレイヤーがWJBLでプレーすることは二度とないだろう。本気で東京五輪の金メダルを目指すのであればこの条件を2019‐20年リーグだけでも変えてほしい。
また、仮にこの条件を変えたとしてもそもそも有力なプレイヤーが日本に来るのか、という話がある。少し古い記事になるが、例えば2017年WNBA MVPのシルビア・ファウルズは中国リーグで少なくとも60万米ドル(1ドル110円換算で約7,000万円)の給与を得ている。Bリーグですら2020年までに1億円プレイヤーを出すことを目標としているので、この金額がとても大きいことが分かる。プレーの競争面を考えてもWJBLの魅力が劣るので、シルビア・ファウルズのようなスタープレイヤーを獲得するためには約8,000万円から1億円が必要であると推測される。プロリーグではないWJBLがそれだけの金額を用意するのは現実的ではない。だからこそ、東京五輪に向けて2019‐20年リーグのみルールを変えて予算を獲得することはできないだろうか。

写真:中国リーグで7000万以上のサラリーを得ているシルビア・ファウルズ
http://www.piodeportes.com/83823/nba/sylvia-fowles-es-elegida-mvp-de-la-wnba/

4.海外リーグへの挑戦の支援
海外の大物選手を日本に呼ぶことが難しいのであれば日本選手が海外でプレーしていくことも大事であろう。例えばWNBAでは、渡嘉敷含めて合計3人の日本人がプレーしたことがある。そのうちの一人である大神が記事にもあるように2015年当時のWJBLのルールによって、“海外挑戦した結果、リーグの登録期限を過ぎて1年間無所属になってしまった”件は記憶に新しい。この件を受けて年に2回登録できるルールに変わったものの、この変更が選手の海外リーグへの挑戦を進めているわけではない。
ようやく男子バスケ代表もアメリカでプレーしている八村・渡邊を招集し、比江島もオーストラリアのチームに移籍するなど海外でプレーすることを促進し、それが日本代表の強化につながっている。アジアでも世界でも結果を出してきている日本女子バスケ代表だからこそ、選手たちが積極的に海外リーグへ挑戦できる土壌をつくってほしい。そうでなければ常にトップレベルの環境でプレーしているアメリカやオーストラリア、ヨーロッパの強豪国を破っての東京五輪金メダルは夢物語で終わるであろう。

写真:日本女子バスケ界のレジェンド大神
http://www.fiba.basketball/womensasiacup/2017/FIBA-Asia-Championship-for-Women--THA-/#iset=587542be-5263-4575-8d3c-52fe5f4dc536&iid=3ac9a5d6-3e07-4ce1-bf7e-b61475e4c92e

5.(将来的に)NCAAでプレーする選手の支援
最後にこれは表題の残り2年間で出来ることと大きくずれてしまうが、男子バスケの八村や渡邊のように、アメリカの大学女子バスケに日本のトップ高校生が挑戦して良い気がしている。というよりも挑戦してほしい。
これまでの記事にあるように、アメリカの大学のNo.1プレイヤーがWNBAでドラフト1位となっている。日本のトップ高校生が高校卒業後にWJBLのチームに行くのではなく、アメリカの大学に挑戦して最終的にはWNBAにドラフトされることを目指す。という進路もあって良いのではないかと思う。
もちろん“言うは易く行うは難し”で簡単なことではないが、そこに向けての留学支援、高校時代の学習、英語の取得、金銭面での支援。もう少し日本女子バスケ全体としてオリンピック・ワールドカップという2大世界大会で勝つための道筋を考えて行動する必要があるように思う。

写真:アメリカの大学(ルイジアナ州大)でプレーしたヒル理奈
http://www.lsusports.net/ViewArticle.dbml?DB_OEM_ID=5200&ATCLID=209756989

タイトルの写真:
http://akatsukifive.japanbasketball.jp/women/3574

参考文献:
https://basket-count.com/article/detail/5087
https://basket-count.com/article/detail/5088
https://basket-count.com/article/detail/5208
https://basket-count.com/article/detail/5209
http://www.fiba.basketball/calendar
https://www.cbc.ca/sports/olympics/fifa-womens-olympic-qualifying-1.4711566
https://en.wikipedia.org/wiki/2013_FIBA_Asia_Championship_for_Women#cite_note-1
http://www.fiba.basketball/womens-calendar-timeline
https://basket-count.com/article/detail/4193
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%A5%B3%E5%AD%90%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0
https://www.wjbl.org/static/pdf/info/add_1803.pdf
https://www.businessinsider.com/brittney-griner-basketball-china-2014-4?IR=T
https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK10408_W6A920C1000000/
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_foreign_WNBA_players
http://www.bbspirits.com/interview/w161206/
https://www.bmarketing.jp/column/column-detail/column03.html


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