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気づけば還暦、孫娘も二人生まれた。退職時、持病の骨髄線維症が悪化。主治医からの勧めで骨…

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気づけば還暦、孫娘も二人生まれた。退職時、持病の骨髄線維症が悪化。主治医からの勧めで骨髄移植を受けることになり、その闘病生活を残そうとnoteを始めた。同じ病気を抱える方、骨髄移植を受ける方の参考になれば幸い。 同時に、いくつか小説なども載せてみた。一読一笑に付していただければ。

マガジン

  • 霞~年の差男女と周りでの出来事~

    仕事を通じて知り合った、年の差のある二人。何度か二人で食事に行った後、初めて彼女から「温泉に行きたい」と言ってきた。当日は晴れたものの、前日からの雪で目的地までたどり着けるかが気にかかる。目的地までの道のり、いろいろな景色を目にし出会った人と話をしていくうちに二人の気持ちに変化が起こる。平坦ではない人の生き様は、これから先の道しるべとすべきもの。気持ちを確かめ合い、収まるべきところへ収まったようにも思える。しかし、何も波風は立たないだろうか。

最近の記事

霞 第二章(02)

「ねえ、熱くない?」 「あ、ごめん。水の量を増やそう。」 そう言った彼の額には、うっすらと汗が浮かんでいた。熱めのお風呂が好きな私のために、水の量を控えてたんだ。 「ふふっ。相変わらず、放っとくんだね。」 「え、いや、外をじっと眺めて感慨深げな顔をしてたから、声をかけづらくって。」 「そうじゃなくて、自分のこと。」 「ん?僕は君の背中を見て楽しんでたよ。」 「またそうやって。」 言葉を続ける代わりに、湯の中を進んで行き立膝を割り背中を預けた。そして両手をとり自分の前で交差させ

    • 私小説「”骨髄移植”経緯」~29~

      退院してから1カ月が経ちました。毎週1回通院し、主治医と話しながら投薬量を少しずつ減らしています。先日の採血の担当が、入院前に輸血の担当だった看護師さんで、えらく気にしてくれていました。その前はやはり依然採血・輸血の担当だったベテランの看護師さんが、生活する上での注意事項を教えてくれました。彼女たちの仕事とはいえ、顔を覚えてもらって気軽に声をかけてもらうのはうれしいものです。 まだまだ以前のようには体を自由に動かせませんが、 1.家の2階への階段の昇り降りがだいぶ楽にできる

      • 私小説「”骨髄移植”経緯」~28~

        28.「なんともなかったようですね。でも気を付けてください。」 112日間身分証明書として護ってくれていた腕輪が外されて、1週間が経ちました。実感したのは、ただただ体力の低下です。仏壇に手を合わせた後立ち上がれない、階段の上り下りが夜になると足が上がらなくつらい、平たんな道すら小石に躓く、などなど。 極めつけは退院した翌日の月曜日、自転車に乗ろうとして転倒、左手、右ひざをすりむき頭をブロック塀で強打、こぶを作ってしまいました。その日はあちこちに買い物に行き、その疲れもあってか

        • 私小説「”骨髄移植”経緯」~27~

          27.「日常生活自体がリハビリですから、無理して動かなくていいですよ。」 外泊から帰った翌日体の痛みを告げると、副主治医からそういわれました。その日は一日中からだがジーンとして、1階のコンビニに飲み物を買いに行くことすら億劫でした。翌日の血液検査の結果、若干ですが白血球数も血小板数も増え心配された肝機能も指標に近づいていました。先生方で話し合った結果、投薬量を減らさないということで退院して構わないことになりました。いろいろな都合を考え、明日日曜日に退院です。 7月8日から10

        霞 第二章(02)

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        • 霞~年の差男女と周りでの出来事~
          46本
          ¥100

        記事

          霞 ~2.音~

          「聞こえなくなっちゃった。」 シートの背に右半身を預けた緋乃が目をわずかに開けて呟いたのは、大分道を東へと向かい始めてすぐのことだった。正面へと移動した朝日に照らされ、彼女の顔は黒のセーターと対照的に白く浮き立っている。 「何のこと?」 「ふふっ、なんでもない。」 いつものように少し悪戯げに微笑んで、彼女は目を閉じた。  車は思いのほか少なく、アクセルの踏み加減に躊躇する。普段ならスピードなど気にせずに走るのだが、今日は彼女が載っている。おとなしく走ろう。別にマナーのいい人

          霞 ~2.音~

          霞 ~37.残陽だまり~

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          霞 ~37.残陽だまり~

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          私小説「”骨髄移植”経緯」~26~

          26.「気を付けて。くれぐれも躓いて転ばないように!」 昨日の午後、夕方からの外泊に向けて副主治医2人が声を掛けてくださいました。カミさんに迎えに来てもらい、ドラッグストアで今日明日使う分と今後必要であろう品物を買って一時帰宅。7月8日に入院し7月13日に外泊帰宅して以来の我が家です。夏場に剪定ができなかったので庭は荒れ放題ですが、玄関の前でほっと一息。熱帯魚水槽は藻が生い茂ってしまっていますが、魚たちは元気なようです。残念ながら別水槽のベタは死んでしまっていました。 コーヒ

          私小説「”骨髄移植”経緯」~26~

          私小説「”骨髄移植”経緯」~25~

          25.「じゃあ、明日抜きましょう。」 11日にすべての点滴から解放された後、万が一に備えて付けたままにしていたカテーテル。しかし回復具合からみてもう必要ないということで15日に外しました。装着するときは処置室で麻酔打ったり手術布かけたりして、一応の手術のようでした。しかし今回は先生が病室に来て、皮膚から外れない湯に縫い付けていた糸を2か所切って「はい大きく息を吸って~、吐いて~、吸って~、止める!」の声とともに、首からスーッと取り出しました。長さ約20センチ。このおかげで2か

          私小説「”骨髄移植”経緯」~25~

          霞 第二章(01)

          こんにちは、初めまして。東郷緋乃と申します。この第二章は私が担当です。正直なところ、彼ったら真面目でおりこうさんにしか書かないから面白くなかったでしょ?私はもうちょっと掘り下げて書いてみたいと思います。 では、 ”おはよう”から”こんにちは”に挨拶が変わる頃、空は一面に青く晴れ渡り鳥の声が響く。新緑の並木を渡ってきた葉ずれの音は、少し遅れて来る柔らかな風とともに肌に心地よく触れ去っていく… って、気取り過ぎてて鳥肌が立っちゃった。でも正直、車の中にいるより外は気持ちいい

          霞 第二章(01)

          私小説「”骨髄移植”経緯」~24~

          24.「長い間本当にお疲れ様でした。」 昨日18時20分、看護師さんが落とし切りの点滴終了時に発した言葉。7月23日の点滴管挿入以来、ずっとお世話になってきた点滴台29番。これでお役御免です。つまり、昨夜から一切の点滴から解放されました。もちろん今日も点滴はありません。ベッドを横断するときも、体の回転運動するときも、もうチューブのことを気にすることなく自由に体を動かすことができます。最後に残っていたのは電解質点滴、と言っても水分補給と若干のミネラル補給が目的だったので、その分

          私小説「”骨髄移植”経緯」~24~

          霞 ~46.いとおしさ~

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          霞 ~46.いとおしさ~

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          霞 ~45.いとおしさ~

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          霞 ~45.いとおしさ~

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          霞 ~44.意味~

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          霞 ~44.意味~

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          私小説「”骨髄移植”経緯」~23~

          23.「明日からステロイド点滴を内服に替えます。」 7月8日の入院から3カ月が過ぎ、そろそろ外泊が現実的になってきました。そのためにはできるだけ点滴の量(数⁈)を減らさなければなりません。午前中に1時間で落としているステロイドの点滴を内服薬に替えると、5㎎の小さな錠剤10粒。薬剤師さんに甘えて朝6粒、昼4粒を個別に1袋にまとめてもらいました。あとは10時から18時までの電解質の点滴。マグネシウムの量が順調に回復してきているのでこれもしばらくすると外せそうです。 悩まされた発疹

          私小説「”骨髄移植”経緯」~23~

          霞 ~43.本音~

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          霞 ~43.本音~

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          霞 ~42.“思い”出~

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          霞 ~42.“思い”出~

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