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私小説「”骨髄移植”経緯」~18~

「あー、薬疹ですね。いつからですか?」
3日夕方から起こった強烈な痒み。副主治医の指示で出してもらった軟膏は一切効果がなく、5日、ついに皮膚科を受診することに。そして私の雪焼けしたような顔を見て先生の下した診断は”薬疹“。汗拭きシートが原因ではありませんでした。
「ちょっと、内服薬と点滴を調べてみましょう。」と、電子カルテを調べ、「ははあ、3日の午前中から点滴に替えてこれを内服し始めたんですね。これと以前から内服している胃腸薬には共通の弱い副作用があるんですが、今回同時に服用することでそれが強烈に出たものと思われます。」
その副作用というのが“光線過敏”。え、なにそれ?
「ごく普通に暮らしていても光に過剰に反応し、かゆみを伴う発疹ができるんです。」
処方されたのはステロイドの入った強い薬。
「ごく少量を薄く延ばして朝晩2回塗布してください。」病室に戻り、言われたとおりに薄く塗布。しかしかゆみは収まらず点滴にかゆみ止めの液薬を混ぜてもらいました。この薬すぐに眠気が来るのですが、1時間半ほどでトイレに起きるとそれから眠れない。やっとうとうとし始めたと思ったらまたトイレへ。そんなだから朝もぼーっとして食欲もない。痒さも収まらないのでまた液薬を入れてもらって昼まで寝て、ランチも喉を通らず午後はかゆみを我慢して寝て。それが4日間続きました。しかし今日は幾分痒みも顔の腫れも引いているようで、久々に食欲も出ました。でも味がなんかおかしい。変に濃かったり薄かったり。

入院してまる二カ月、移植して5週間がたちました。長かったような短かったような。あとは早く食欲を戻し、白血球数、血小板数が上がるのを待つのみです。「早ければ来月早々にでも退院できるかも。」と主治医は言いますが、こればかりは思うようにいきそうにありません。早く温かい風呂にザンブと浸かりたいものです。