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相続税改正で生前贈与加算が7年に!2023年度の改正を徹底解説

2022年12月16日、相続税の2023年度の税制改正の内容が発表されました。この改正により、生前贈与加算は3年から7年に延長されます。この改正は2024年1月1日以降の贈与から適用されます。

では一体、今回の改正で具体的に何が変わったのでしょうか?皆さまが気になるであろう点を中心に、今回はこの税制改正についてわかりやすく解説をしていきます。

動画で知りたいという方は下記YouTubeでわかりやすく解説されていますので、ぜひご覧になってみてください!


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1. 相続税改正で生前贈与加算が7年に

ではまず、今回の改正内容を詳しく見ていきましょう。大きな改正内容としては、生前贈与の加算期間についてです。生前贈与は相続税申告で相続財産に加算する必要があるのですが、その加算をしなければならない期間が3年間から7年間へ延長されました。

つまり、被相続人が亡くなる7年前までの子や孫への贈与が被相続人の財産として足し戻しになるということです。これは結果的に増税になるため、できれば相続税を抑えて節税したい!という納税者にとって不利な改正となります。

ただ7年間分の贈与額を足せばいいのではなく、今回の改正には緩和措置があり、相続開始前4~7年の間の4年分で100万円を控除できます。つまり、1年間で100万円控除できるのではなく4年間合計で100万円の控除であるため注意しましょう。

加算金額:3年内贈与額+(4~7年内贈与額-100万円)

言い換えると、今回延長した4年分については総額100万円まで相続財産に加算しなくてよいということになります。

2. 改正適用のスケジュール

今回の相続税の税制改正内容は、令和6年(2024年)1月1日以後の贈与から7年が加算対象になります。つまり、令和6年1月に贈与した場合、除外されるのは令和13年2月以降からとなります。

例)
相続開始日:2028年6月だとすると…

2023年6月の贈与(改正の適用前に贈与)
 →2026年6月までの3年が相続税の加算対象なので、加算対象外
2024年1月の贈与(改正の適用後に贈与)
 →2031年1月までの7年が相続税の加算対象なので、加算対象

3. 駆け込み贈与は節税になるのか?

2024年1月1日以後の贈与から改正が適用されるのであれば、
「2023年度中に急いで生前贈与を行ったら節税になるのでは?」
と思われる方は多いのではないでしょうか。

このような「駆け込み贈与」は果たして節税になるのでしょうか?

例えば2023年中に行った贈与は、相続発生が2027年以降であれば節税になります。もちろん、相続発生の時期は選べるものではないので一概の節税になるとは言えませんが、相続発生が遅くなれば結果的に節税効果は得られるといえます。

そのため、近い将来生前贈与を考えている方であれば、2023年度中の贈与を検討しておくとよいでしょう。

4. 相続時精算課税制度と暦年贈与 便利なのはどっち?

相続時精算課税制度とは、親世代が持っている財産を早めに子世代に移転できるように贈与時に贈与税を軽減し、その後の相続時に贈与分と相続分を合算して相続税を計算する制度です。

今までこの制度は、適用するのに届け出を出さなければならないことや、基礎控除を超える財産がある人にとっては結果的に足し戻しとなり節税にならないことが多かったため、利用する人は少ないというのが現状でした。(※基礎控除以下の贈与の場合は、相続時精算課税制度の方が確実に節税効果があります)

しかし、今回の改正によって暦年贈与より相続時精算課税制度を利用する方が節税効果が高いのではないかと言われています。

その理由としては以下の通りです。先ほど、今回の改正によって暦年贈与は7年間分加算されるとご説明しました。そこで、この改正が行われる令和6年1月1日以降に相続時精算課税制度を開始すると、毎年110万円以内の贈与であれば相続財産から加算対象外となります。

つまり、少額の贈与を長年にわたってコツコツ行う方にとっては、この制度を適用した方が活用効果が得られる可能性が高いといえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回ご説明したように、今回の改正で相続・贈与について今までと比べて大きく変化しました。特に生前贈与加算の延長は、多くの人にとって増税必須となるとてもインパクトの大きい改正だったといえます。

この改正をきちんと理解し今までより一層計画的に生前贈与を行っていくことが重要です。もちろん、過度な行き過ぎた節税にならにいよう、きちんと相続税のシミュレーションを行うなど対策を取ったうえで行動に移すよう気を付けましょう。