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デルタニュートラル組入門

最近、仮想通貨界隈でちらほら見かける「デルタニュートラル組」。彼らがどのように利益を得ているのかを、さらっと解説します!

ここで解説するデルタニュートラル戦略は、「取引所リスク(GOX等)以外で原資が減る可能性をほぼゼロにしたまま利益を上げる、超ローリスクミドルリターン戦略」くらいに定義しておきます。だいたい月利1~3%くらいを狙う戦略なので、原資百万円以下から一山当てたい!みたいな目的には向きませんが、原資数百万円以上あれば良いお小遣いになりますし、原資数千万円以上ならこれだけで生活費を賄うことも可能です。

デルタニュートラル組の収入源はこれだ!

1. BitMEXのFunding(資金調達リベート)受け取り
2. 先物のサヤ取り
3. アービトラージ(裁定取引)

では本題。デルタニュートラル組の主な収入源はこの3つです。他にも色々ネタはありますが、初心者はとりあえずこの3つ押さえておけば間違いないでしょう。

1. BitMEXのFunding

国内取引所でBTCの現物を買ってBitMEXに送り、BitMEXでヘッジショート(所有している現物と同じ量のショートポジションを持つ)すると、どうなるでしょうか。答えはデルタニュートラル、つまりBTCの価格が上がろうが下がろうが関係なく、損益プラマイゼロになります。

※これだけだと、USD建てでのデルタニュートラルとなります。JPY建てでデルタニュートラルにする方法は後述します。

しかしそれだけでは終わりません。BitMEXでポジションを持つと、8時間ごとに金利の支払いor受け取りが発生します。Funding Rate(資金調達率)がプラスならショートポジションを持っている人が受け取り、マイナスならロングポジションを持っている人が受け取ります。つまり、Funding Rateがプラスの時にBitMEXでヘッジショートすると、BTCの価格変動による損益はゼロ固定で、8時間ごとにポジションサイズ×Funding Rateの収入が発生することになります。そしてFunding Rateのデフォルトは0.01%(ショートの受け取り)…月利に換算して0.9%もあるのです。

2. 先物のサヤ取り

BitMEXには、いわゆるBTC-FXとしてよく使われる無期限先物以外にも、期限の決まっている先物商品が2つあります。この画像の例だと「9月27日」「12月27日」って書いてあるやつがそうです。

画像1

これらの先物の価格が現物価格よりも高い時にヘッジショートして満期を迎えると、現物価格との差額が利益になります。満期を待たずに先物価格が現物価格に近付いてきたらその時点で決済することもできますし、うっかり先物価格が現物価格よりも安くなってくれたら超ラッキー!という感じです。

3. アービトラージ(裁定取引)

BTC現物の価格は、取引所によって微妙に異なります。この辺とか見ていると、国内取引所だけでも0.1~0.2%程度のサヤは日常的に発生していることが分かります。

画像2

例えばこの画像の瞬間に、GMOコインでBTCを買うと同時にコインチェックで同数売ることができれば、0.2%弱の利益が出る計算です。ただし、価格差があるのを確認してからGMOコインでBTCを買ってコインチェックに送って…とやっているとBTCが届くまでの間に価格差がなくなってしまうことも多いので、基本的には目星をつけた取引所にあらかじめJPYとBTCを入れておき、ほぼ同時の取引を狙います。どの取引所にどんな割合でJPYとBTCを入れておくかで資金効率が大きく変わり、取引のタイミング等(botを使う場合はその設定)によっても利益に大きく差が出る取引です。

実際の運用例

これら3つの取引のうち1と2は両立できませんが、1or2のいずれかと3は両立可能です。例えば原資を次の比率で配分すれば、1or2を効率70%、3を効率60%で回せます。

40%:BTC:BitMEXに置くヘッジショート用証拠金
30%:BTC:国内取引所に置くアービトラージ用
30%:JPY:国内取引所に置くアービトラージ用

BTC価格がムチャクチャ高騰するとヘッジショートがロスカットされる可能性もありますが、(レンディングと違って)アービトラージ用のBTCはいつでも柔軟にBitMEXの証拠金へ回すことができるので、この程度の比率であれば十分カバー可能です。

1と2のどちらを選択するか

基本的には1の方が得られる利益が大きい傾向にあるのですが、2には「ポジションを構築した瞬間に利益額が確定し、満期まで完全放置でもOK」というメリットがあります。
また「Funding Rateが近いうちにマイナスへ変わり、満期までそれが続く」と読んだ場合などは、先物価格が現物価格よりも高いうちに2を選択した方が良いことになります。

1と2の取引が使えない場合

Funding Rateがマイナスで先物価格が現物より安い場合、ヘッジショートを維持するためにコストがかかることになるため、デルタニュートラル組は厳しい決断を強いられます。現実的には、次のいずれかの対応になることが多いでしょう。

・現物を処分して完全ノーポジに(全資産をJPYに退避)し、次のチャンスを待つ
・3の利益が1or2の損失を上回る目論見で続行する

JPY建てでデルタニュートラルにする方法

BitMEXでBTC現物と同量のショートを入れた場合、USD建てでのデルタニュートラル…つまり、為替が円高ドル安方向に動くとJPY建てでは資産が減ってしまう状態となります。そのため、JPY建てでデルタニュートラルにするには、さらにUSD/JPYをショートする必要があります。現状USD/JPYをショートするとスワップがマイナス(支払い)なのでその分利益は減ってしまうのですが、より確実に資産を増やせます。

例えば1BTC=110万JPY=1万USD・1USD=110JPYの時に、1BTCヘッジショートした場合を考えます。この後為替が円高ドル安に動き、1USD=109JPYになったとしましょう。するとBTC/USDの相場に変動が無かった場合1BTC=1万USD=109万JPYとなり、JPY建てで見ると資産が1万円減ったことになります。しかし、BTCのショートと同時に適当なFX業者でUSD/JPYを1万通貨ショートしていれば、そちらで1万円の利益が出てJPY建ての資産がプラマイゼロになっていたという訳です。

ここでちょっとしたシークレットテクがあります!

「適当なFX業者」と書きましたが、この用途で入金ボーナスがつく海外FX業者を使うと…おっと、誰か来たようです。くれぐれもFX業者の利用規約はちゃんと読んでご利用は計画的に…!

最後に

とりあえず初回なので無料で公開してみましたが、お役に立つ内容はありましたでしょうか…?もし何らかのお役に立ったようでしたら、サポートで投げ銭とかして頂けると嬉しいです。気が向いたら、もっと具体的なFunding絡みの手法やアービトラージのノウハウとか、CryptoGTのボーナス攻略法とか書くかもなので、応援よろしくです!

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