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覆いを取る/極楽とんぼ

1997年11月22日(土)
「こんなことしたら叱られちゃうかな」
チャーミングな女の人が言いながら、誰かに手伝ってもらって、大きな窓一面を覆っていた鎧戸を、ばっと上げた。眩しい白と青──空とプール、夏だ。



きものの裾に描かれた絵の一部が、ぐじゃぐじゃになってしまい、直らないということだった。

「直るはずよ。この極楽とんぼを直してやって」と女の人が言った。

直ったらしい。風通しのよい夏の部屋、衣桁に掛けられて揺れていた。
清々しい麻の、盛夏の緑色。裾に型染めしたコンポーゼブルーの極楽とんぼ。
よく見えなかったけど。

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