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どこまで患者さんの希望を聞くべきか

こんにちは!歯科医師Hachiです!

今日はある意味正解があるような、ないような話になります。

日頃歯医者を悩ませるタネの一つが、「抜歯の基準」です。

ある程度は歯を残せないレベルというのはあるのですが、やはり先生によって意見が異なるケースもあります。

そしてそこに患者さんの希望や、年齢、全身疾患など、さまざまな要因が絡むとさらに話は複雑になります。

僕は自分の意見も言いますが、最終判断は基本的に患者さんに委ねます。

それぞれ選択肢のメリットデメリットをできるだけわかりやすくお伝えした上で、患者さんに納得のいく方法を選んでいただきます。

明らかにこうした方がいいというときは、結構強めにいいますが、それでも患者さんが違う方法を選ばれる場合はそれに向けて全力でサポートするか、そもそもできない選択肢であればお断りします。

そんなこんなで日々悪戦苦闘しながら、患者さんにとって何が最良かを常に考えます。

過去経験した事例をご紹介します。

その患者さんの歯は、「根尖病変」と言って、歯の根っこに病気ができている状態でした。

この場合、基本的には根の治療をするわけですが、その患者さんの歯はおそらく何度も治療されていて、再治療しても治る見込みは少なかったです。

なので、僕は抜歯をおすすめしました。
理由は、根の治療は回数がかかりますが、その時間と費用をかけても治る見込みは少なかったことと、仮に治ったとしてもいつまでもつか予測不能な状態だったからです。
さらに、抜いた後、インプラント治療をする場合は骨の質が重要なので、これ以上悪くなる前に抜いてインプラント治療に臨んだ方がいいということもお伝えしました。

しかし、患者さんの希望は歯の保存でした。
悪くなることは重々承知した上で、やれるだけのことはやってほしいと言われました。

そう言われたらこっちも全力でやろうと思って、頑張って根の治療をしました。

数回治療した後、症状も改善したので、無事にまた噛めるようになりました。

それでも油断は全くできない状態だったので、「いつ悪くなるかわかりません。下手をすれば数ヶ月後にダメになることもあります。」と念押ししました。

その後、定期検診にうつりましたが、結局その歯は1年を過ぎたある日、また再感染を起こし、結局抜歯となりました。

患者さんは、「ああ、やっぱりダメでしたね笑」というような感じで、今度は抜歯で納得していただきました。

でも僕は内心複雑な心境です。

案の定、抜いた後は骨の状況が悪く、簡単にはインプラントができない状態です。

やはり患者さんを説得してでもあの時抜歯をすべきだったのか?

でも現状、患者さんは特に不満もなくむしろ心から抜歯を受け入れてくれている様子でした。

それならそれでよかったのか。

こういった場面に立ち会ったときはいつも葛藤があります。

きっとこの先も悩み続けるのでしょう。

僕らも神様ではありませんから、すべて予測できるわけではないですが、

それでも患者さんの不利益にならないように

しっかりとした診断と、患者さんに理解してもらえるようなわかりやすい説明ができるよう、今後も精進していきたいと思った今日この頃です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

明日もよろしくお願い致します。

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