スパイス20種類調合したら本物のインドカレーができる。


「Seikin Music〜♪ Ah Seikin TV〜♪ Oh Yeah〜♪ 」

今回のハイライトが流され、その後デフォルメされた男性が映される。その男性は、サングラス姿で歌唱していたり、ポップコーンに埋もれたり、カラフルなソファの上に座ってサムズアップをしている様子が見られる。


「ナマステ〜〜〜」


インドで交わされる挨拶をしながら画面に現れた男性は、インド人を彷彿とされるような服装を身にまとっている。

どうやら画面外にも左右にそれぞれ人がいるようであり、彼らに再び「ナマステ〜」とお辞儀しながら挨拶をする。
左上にはInstagramやTwitterのアカウントが、そして下には「チャンネル登録してね!」と表示されており、視聴者に何らかのメッセージを伝えようとしている。

「インドカリー専門店〜 セイキッチンへ、ようこそ〜〜ぅ」

セイ・キンと名乗るこの男は、インドカリー専門店 セイキッチンのオーナーだろう。序盤で流れたデフォルメ男のアニメーションはSEIKINであるため、この男は 別人であることがこのことから分かる。

なぜこのチャンネルで登場しているかはこの回では明言しない。今はまだその時では無いのだ。



「たくさんのスパイスを使って作るカリー、それがインドカレー。

という事で今回は、スパイスを沢山使って、本格インドカリーの作り方やっていきたいと思う、よろしくね〜」

「はぁい、という事で改めまして今回は、本格手作りカレー作り、ぃやっていきたいと思います。」


カタコトの日本語で今回のテーマを説明したセイ・キンは、ソファから降りた瞬間にネイティブな日本語で再度テーマを説明する。顔が非常に似ていて判別が出来ないが、どうやらSeikin TVの本来の主役、SEIKINにバトンタッチしたようだ。

そして彼の前には謎のダンボール箱が置いてある。これが今回の最も大切な材料だ。ネットサーフィンをしていた際に、この 「俺のオリジナルカレー スパイスセット 20種詰合せ」 を見つけ 購入したのである。

彼は貪るようにダンボール箱を開け始め、レシピ、すり鉢・・・と次々に中身を放つ。


「うーわ、ちょっと待って(笑)

うーわ、すごーーー!!!!」


この言葉は彼の戦い開始の合図だ。
すぐさま、笑いながらスパイスを本格的だと褒める。中身は開けても時間の感覚は空けない、SEIKINのゲストへの配慮は怠らないのだ。

シナモンやナツメグなど 様々なスパイスを並べ、セット内容を言葉で紹介する。

SEIKINは本格カレー作りに慣れていない。チキンを茹でながらスパイスの調合をしてしまうと、時間がかかって茹で上がってしまうのではという一抹の不安がよぎる。SEIKINは、まずスパイスの調合のみを始める宣言をする。



場面が変わり、フライパンが大きく映る。ホールスパイスを炒るためである。

「あの今香りを嗅いでみたんですけど、もう凄い!
インドカレーの香りがしているこれだけで(笑)」

SEIKINはクミンを手に取り、エスニックな香りを褒める。彼は、自分が映っていない時でも敬意を忘れない。

クミンとコリアンダーを適量取り出したその時、



「っあ!」



そう、付属の計量スプーンがあることを忘れ、自宅の物を使用してしまっていたのだ。
どっちでもいいんでしょうけどね、と存在意義を軽く否定しながら、彼はいそいそと付属の計量スプーンを手に取る。

そして、細かいね〜!と嫌味を言い残し、残りのスパイスを出し終えた。しかしその直後、ひとつ失敗を見つけた。カルダモンの種子をとる必要があるのに殻ごと投入してしまったのだ。どうやらカルダモンは、ハムスターであるSEIKINにとってひまわりの種に見えるようだった。

ホールスパイスを遂に出し終えたが、SEIKINのスパイスに対する例えはまだまだ終わらない。玄米茶にも見えるのである。


「香りはインドカリー。」

SEIKINは、乾煎りしたホールスパイスをすり鉢ですり潰し、多少のつぶつぶ感がアクセントになる程度に粉末にする。そしてこれらを、適量の粉末状のスパイスと混ぜ合わせる。一つ一つ丁寧に説明をするSEIKINのその姿は、スパイスセットを販売する会社にとって鬼畜の所業である。たとえローレルの量が多くなっても、この位でSEIKINという男は動じない。


「はぁ〜いという事でスパイス、完成〜〜〜!!」

スパイス調合を終えたSEIKINは、休むことなく鶏もも肉の姿を見せる。SEIKINは普段ビーフやポークを使用したカレーを食べるが、インドカレーといえばチキンを連想させるのだ。

そして、手前に並べられたタマネギ、ニンジン、ジャガイモを超高速でスライスする。SEIKINにとってのインドカレーは、具材が目立たないイメージだからだ。


「ファイア」


これがチキンを煮込む合図だ。
丁寧にチキンをお世話し、その後 彼の大好物であるニンニクを大量に準備する。ニンニク時代が来たことを視聴者に伝えるその姿はスパイス調合時よりも生き生きとしている。

準備した材料を鍋に入れて煮込み、拡大されたカレーに画面が切り替わる。


「かんせ〜〜〜いです!!」

ようやく、SEIKINの姿が現れる。およそ8分15秒ぶりの再会。どうやら調理中の彼は頑張りすぎて帽子を取っていたようだ。


「いただきまーーす。」

セイ・キンから奪った帽子を纏い、カレーを食べるSEIKIN。

「うまあ〜」

「すげぇ、ちゃんとカレーになってるし!そしてスパイスが効いてスパイシー(?)」

ゲストへの配慮を怠らないSEIKINは、カレーを絶賛する。そして 視聴者に向けて、更に美味しくなるためのアドバイスをする、それがSEIKINの強みである手厚いサービスだ。


美味しい本格カレーの作り方を学んだSEIKINは、全体のまとめに入り、そろそろ動画が終わってしまう雰囲気を醸し出させる。

「皆さんも本格スパイスカレー、良かったら作ってみてください。」

概要欄に使用した商品のリンクを貼り、そして作ることを視聴者に促す、それがSEIKINの強みである エゴだ。


「それではまた次回のSeikin TVでお会いしましょう。See you next time.」

エンディングテーマは『YouTubeテーマソング2020 - ヒカキン&セイキン 【MV1億再生突破記念スペシャルver.】』だ。

かくして セイ・キンとSEIKINの戦いは静かに幕を降ろした。
歌で商品紹介はしていないが、勝利を意味するGoodサインを右手で行うSEIKINの勇姿は、これからも人々に語り継がれることだろう。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?