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『生きるLIVING』観たので感想

アカデミー賞で、ケチャップで汚れたシルバニアのうさぎを同伴していた
大変素敵な紳士が主演の映画を観ました。

黒澤明監督の『生きる』をイギリスに投影した作品でした。
リブートでもないんだねきっとね、なんていうんだろう
オマージュ?なんでしょうか。
とにもかくにも、私はその『生きる』を観ていない方の人類です。

静岡の映画館がこの作品をツイートしていて。
主演のおじいさんが大変ジェントルマンだったのです。
そして戦後まもないイギリスの公務員が主人公です。
さらに、アカデミー賞でのシルバニア人形同伴。
大変に紳士でチャーミングだなと思い絶対映画観ると固く決意したのです。

さて

映画館は3列目、4列目が大好きです。
ほどよく上を向いて、視界に他者がはいらず、画面も字幕もみやすいです。
始まった映画は黒澤監督作品をあまり見たことがない私でも
「このレタリングと最初に俳優とかの名前でるやつ知ってる」
とよくわからない興奮を覚えました。
わたくしは元来オタクとして生きてきているので、
こういうリスペクトの仕方や真似の仕方が大変好みなのです。
文字の背景は、当時のイギリスの映像なのかなと思いました。
主人公の彼と出会うのは、若者です。
そして、主人公の彼のようになるのは、年配の同僚です。
若者は夢を覚えたり、行動したり、吸収しようとしています。
余命を宣告された紳士は、彼等と水彩絵の具のように混ざりあいます。
若者も優しく、また彼も優しく、人生のわからなさの陰影が揺らぎます。

映画をみて、何度もスーと涙が出てきました。
私も揺らいでいるからです。今まさに。
情熱をもっても、それは流れていくし、
仕事は人と向き合う仕事だけど、大勢の中に埋もれていくし、
流れ作業のようにしないといけないときがあるし、
暗黙のルールが存在して、
夢みた仕事に就いているけど、ゾンビのように
死んでるけど生きてるけど死んでいるのです。
それに焦って、不安で、落ち込んで、心配します。

映画をみたら、そんな自分みたいな存在がスクリーンに映っていました。
そして、彼は彼として生きていました。
一番大事な人ではなく、自分があこがれる人々に本音を曝け出しているのも
とても印象的でした。わかる、家族には言えなくても友達に言えたりすることってある。そういう人間あるあるを取りこぼさずに印象付ける映画の
丁寧さにほぅと息が漏れました。

音楽が心地よい映画でした。
ブリティッシュイングリッシュも大変素敵でした。
彼は彼のまま、大変紳士でした。

2月後半からすごい情緒が乱れがちで、落ち込んでいるわたくしですが
映画をみていろいろな人の追体験をして自我を保っています。
次は何の映画を観に行こうかな。

おすすめの追体験映画があれば教えてもらいたい
そんな日記を終わります。

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