『20世紀号に乗って』

『20世紀号に乗って』を数度観劇しました。
今回はそのお話を。

この作品はNEWSの増田貴久さん主演のブロードウェイミュージカル。制作は1932年のようなので約100年も前の作品。世界恐慌の香りの残る時代だから明るいものが必要だったのかなと勝手に想像。
5年程前に宝塚歌劇団雪組でも公演された演目で私ももちろん存じ上げておりました。雪組さんの公演はチケ難で観劇が叶わずブロードウェイの音源しか聴いたことがありません。ですがある程度の内容把握は出来ていましたので楽しめました。

内容を忘れないうちに書き留めておきたいと筆を取った私ですが、最後に観てから2週間経っており記憶が薄れております。

この作品を通して思ったことは珠城りょうさん(以下珠城さん)がヒロイン属性がとてもあるということです。私は宝塚歌劇団月組トップスターの時代から応援しているので、主演では無い舞台を観ることが初めてだったんです。真ん中の人のイメージが強く歌も得意では無い。その上主演は増田貴久さん(以下まっすー)で舞台経験が豊富なわけでは無い方。発表のあったときはとても不安でした。でもその心配は必要なかったみたいです。

まっすーはミュージカルの歌い方では無いものの声量もあってとても上手く、芝居のイメージもあまりありませんでしたがオスカーを丁寧に演じていると感じました。映像中心の方は舞台になると動きや表情が小さく見えがちですがまっすーにはそれを感じませんでした。表情も豊かで感情表現も上手くてものすごい努力家なんだろうなと素人ながら感じました。

珠城さんに関してはスタイルが良すぎる、ショースターすぎる、芝居が上手い!そしてずっと見ているからこそ歌唱力の上達ぶりには感動しました。退団してから歌は自分の領域では無いと言っていたような珠城さんが難曲を歌っている姿に涙が溢れました。もちろん完璧ではありません。ファルセットの部分は声量が足りていないので地声の部分との差が分かりやすく気になる部分ではあります。でも音の正確度が今までと全く違うのです。歌は素質と精神状態に左右されるため上達していくことはとても難しいものだと私は思っています。にもかかわらずこれだけの変化を見せられるというのはどれほどの努力をしてきたのかと感じざるを得ないわけです。
私は珠城さんが大好きだからこそ無理に苦手なことに挑戦しなくても良いと思っていたのですが、苦手なことにも果敢に挑戦していく姿に私も勇気を与えられました。

内容の面に触れていきますと、まっすー演じるプロデューサーのオスカーと珠城さん演じる大女優のリリーのドタバタを特急20世紀号という列車の16時間の中で繰り広げるという具合。
元々は莫大な借金を抱えたオスカーが大女優リリーの名声を借りて興行を成功させるみたいな話。でも本質はただ恋人としてリリーに戻ってきて欲しいというだけ。なんともピュアな感じがします。
リリー自身はハリウッドの映画で自分がすり減っていくのが怖い。生の観客が欲しいと願っている。でも自分を変えるのは怖い、本名のミルドレッド・プロツカが顔を出す。そんなように感じる。お金はいくらでもあるし、今失敗してもきっと生きていける。でも今持っている名声や立場を手放すのはきっと怖い。芝居をしないと生きてはいけないから芝居をするための土壌である立場を無くす可能性が怖いのかなと私は感じました。

オスカーはリリーの生の観客が欲しい、芝居をしたいというニーズをしっかりと理解してリリーのやりたい芝居を持ちかける。オスカーにはリリーに恋人として戻ってきて欲しいという下心はありながらも役者としてのリリーを求めている。

最後は騙し討ちのようにオスカーが死にかけの芝居をして、リリーを騙し書類にサインさせようとするけれどリリーはそれを見破って『ピーターラビット』とサインをする。そしてお互い貶しあったのにキスをする……
ずっと反発しあっていたのにオスカーからキスをし、2回目はリリーからのキス。最初はなんで?って思いました。きっとみんな思ったでしょう。
まずなんでピーターラビット?って感じでいろいろ考えてみたのですが100年前の人間では無いのでちょっとH的な意味なのか?とかすばしっこいから捕まえてねみたいな意味なのか、特に意味は無いのか。上手な捉え方が私には見つけられなかったので真意を知りたいものです。
ただ、あの場面のキスに関してはオスカーからしているけれどリリーも好きの感情が溢れていたので不思議では無い流れかなと私は感じました。
(珠城さんのリアルなキスにドキドキしたけれど)

話がとっちらかってしまいましたが、とにかく楽しいドタバタミュージカルでした。
上手くまとめてから書けば良かったと反省。
もし、ピーターラビットの意味を思いついた方がいたら教えてください。参考はいくらあっても楽しいので😌

芝居が大好きな私がアメリカンコメディにハマるか少し不安でしたが、深く考えずに主演コンビを見なさい!くらいの作品も良いですね。2人とも間違いなくショースターだし、努力家だし、いろんな不安も本人はあったのでしょうがそれを乗り越える強さがある。素敵な人の周りには素敵な人が集まるの権化のような公演だったなと感じました。

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