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能ある鷹は爪を隠すというが、その爪を引っ張り出したら凄かった

もうずいぶん昔のことだ。

新しく大赤字の事業部を任され、いろいろ改革を行うことになったわけだが、あれこれやっているなかの一つに、事務員の削減があった。

そして、いろいろあって、半分に減らすことになった。

さて、大変になったのは、今まで雑用を押し付けていた、営業やサポート、コールセンターの連中だ。
当たり前に押し付けていた仕事を自分でやらなければならなくなり、てんやわんやだ。知らんけど。

で、残った事務員の一人A子さん。
おとなしく自己主張をしない。
やれといわれたことは愚直にやる。
期限は必ず守る。
コミュ障の気はある。

ある日、営業の過去実績を商品毎、担当毎、期毎、代理店毎、都道府県毎などExcelで集計するための方法を考えていた。
※今ほど販売管理のシステムが手軽ではなかった頃の話だぞ。

で、A子さんに相談した。
すこし時間もらえます?というので、どうするんだろ?と思いつつ、今週いっぱいは待とうと思った。

するとその日の夕方、A子さんがやってきて、今メールしましたので見てくださいと。

添付ファイルはExcelだ。
開いてみると、いつものExcelではなく、何かのソフトウェアみたいに、メニューができている。

ん??

で、要はマクロを組んで、過去の販売データを好きに集計できるソフトを作ってきたのだ。

もうびっくり!!

こんな感じでいいですか?
と、A子さんはしれっと言う。

申し分ございません!
と、言うしかない私。

んじゃ、こんなのはできる?

まあできますけど。

いつできる?

明日の午前中には。

んじゃ、こんなこともでける?

まあできますけど。

いつまでにできる?

2.3日あれば。


それからはもはや秘書。

本社に掛け合って、給料上げるわな。


そしたらね。
なにも言わないのに、

こんなのはどうですか?
こうすればもっといいと思います。
これは間違えてると思います。

と、事務員なのに営業を動かすようになってきた。

自己主張をしなかったのは、諦めていたからだ。
希望が見えてくると、自己主張も出てくるってことだ。

嬉しい反面、怖くなってきて、新卒のmous(今はmosっての?)持ってるの雇って同じことをできるようにしといた。

鷹が爪を出すと怖いのよ。

でも鷹と気付かず、能力のある人材が埋もれて、腐っているかもしれないと、それ以降人の能力や資質の有無はできるだけ見極める努力を怠らないようにしている。


そんな昔話。


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