MMTが成立するのは、共産主義社会が準備されたから

 「薔薇マークキャンペーン」やアメリカ民主党左派のサンダースやウォーレン、オカシオコルテスらが主張する「反緊縮」を支える理論としてMMT(現代貨幣理論)が話題になっている。通貨発行権のある政府にデフォルトリスクは無く、政府が通貨をつくれる以上、政府支出に予算制約は無い。インフレが悪化しすぎないようにすることだけが制約である…というもので、通貨は政府が税として徴収することで成り立つ「租税貨幣論」や「国定信用貨幣論」に基づいている(これに対するのが「商品貨幣論」)。一見トンデモのように見えるこの理論は、信用でお金をつくることができる現代社会においては、ある程度「正しい」のであろう。
 別の見方をすれば、国家はインフレ制約を除けば、自由に貨幣を発行し、必要な資材や労働力を”調達”できるともとれる。どういった資材・資源・労働が国家にとって”必要かどうか”は、国家権力が決める…なんか凄いぞ!どこぞの独裁国家が、やりたい放題できるじゃないか!安倍政権が、お友達企業にいくら税金を投入しても、有権者を桜を見る会にバンバン招待しても、なんら問題はない!国家財政は破綻しないのだから…という”冗談”はさておいて、国家権力を握ったヤツ、中央銀行を握ったヤツが、通貨を発行できる。

 ところで、プロレタリア革命!とやらを行ったあかつきには、実は「賃金労働」「賃労働と資本」と言う関係は、止揚される!では賃労働はどうなるのか?労働者が一定時間労働したばあい、国家(社会)から「労働証書」が発行される。これはあなたが8時間働いたから、社会から8時間労働分の財やサービスを受け取る権利がありますよ!という証明書だ。その証明書を例えば店舗に持って行って、社会から必要な財やサービスを受け取るという形になる。もっとも、実際の運用は旧社会がつくった紙幣・貨幣単位がそのまま表記された「クーポン」のようなものが発行され、それを使ってモノのやり取りがなされるのであろう。
 「時給1000円」と仮定して、8時間働けば「8時間働きました」という証明と、8000円分のクーポン(お札?)がもらえる。それを店舗に持って行って、必要な食糧その他の財と交換するのである。
 要するに、国家(社会)が「交換手段」を発行するということだ。ただし、クーポンだから「資本」としては使えない(そもそも資本主義じゃなくなっているので、資本は必要なくなるが)貯めることぐらいはできるだろうが、利子がついたりもしないということになる。

 そう、国家が貨幣を発行できる、というか、貨幣は国家が発行するから、貨幣なんだ!という論は、国家が流通手段を発行することができるということにつながり、共産主義社会が準備できた!ということにつながっていると考えることができるのである。


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