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【桃】逆プラ2019お気に入り

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#逆噴射レギュレーション

ヴァーディクト・ブレイカー

ヴァーディクト・ブレイカー

日本時間正午をもって、世界主要都市は壊滅、居住者の大半が死亡した。

その日事象として発生したのは、鈍色の骨格無人兵器、白亜の竜種、名状できぬ触手生物、錆色の巨人、腐敗の不死人、未確認飛行物体、奇怪地球外生命体、光なる神霊、異形たる悪魔といった人間の想像力を逸脱した脅威が一度に、出現と同時に人類を強襲した事態である。

一種でも手に余る脅威が、もはや数えきれない程の種別と物量でもって殺意を向けた事

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極楽直通軌道エレベータの殺人

極楽直通軌道エレベータの殺人

 慈悲に重量制限を設けるなクソッタレ。釈迦の野郎を罵り、神田の頭蓋骨を凹ませる。ヤクでラリって集団下校に突っ込み事故死。生前の刑は当然死刑、こっちの刑は針山・人呑・釜茹でのフルセット五百年。おありがたい御仏の慈悲とやらがどういう決まりで亡者を選んでいるのかは知らないが、こんなクズを極楽に連れてゆく必要がどこにある。そりゃあ俺だって強姦殺人かまして死んだクズだ。だが、神田のクソよりはマシだし、何より

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多次元交差ディメン・ジン

多次元交差ディメン・ジン

 万華鏡を覗き込んだことを思い出した。小さな穴を覗き込むと、想像もしないような微細な線と面、色と光の世界に包まれる。筒をひねると世界は回転し、目が回るようだった。

 ■

 先輩は銃を抜こうとした。その姿勢のまま、千の線と百の色に寸断された。血漿と肉が製材コンベアの上に落ち、錆鉄と廃材を汚す。暗闇の中で万華鏡のように煌めく怪物は、先輩をいまだに放さない。無数の足のような器官で残骸を捉えたままだ。

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パワポ探偵の明白な解決

パワポ探偵の明白な解決

 白明荘。天才奇術師・白馬幸太郎が建てたその邸宅は冬になると「消える」のだという。種は単純で、全面真っ白に塗られているから雪の色に紛れるのだ。そして、探偵・舞倉オフィスはそれこそが事件を解き明かす上で最も重要な点だと断言した。なぜなら、プロジェクターの投影がやりやすいからだと。

 白明荘一階・剥製の間。ただし剥製は廊下に運び出され、代わりに机と椅子がスクール型に並べられている。推理合戦はロの字型

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気になるあの娘は反魂香

気になるあの娘は反魂香

 夜山千歳のことを僕が意識し始めたのは、彼女が徳川家康に告白されているのを目撃した時からだ。彼女はいわゆる「モテる」女の子だった。曰く、一年上の吹奏楽部の先輩から告白された。行きつけの喫茶店でバイトをしている大学生のお兄さんから告白された。後漢末期の武将で兵法家としても名高い曹操から告白された。

「御手洗くんじゃん。久しぶり」

 家康からのラブレターを手慣れた手つきで懐にしまいながら、夜山は手

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『アメ横・ハイドロ・ゾンビパウダー』

『アメ横・ハイドロ・ゾンビパウダー』

 「乾しスルメを新鮮な生イカ状態まで戻す方法を知ってるか?ポイントは重曹だ。重曹と共に水で一晩じっくりと戻す。これだけでまるで生きているような弾力を取り戻す。そいつを刻んで炒めても良し、刺身にしても良し、俺はネギ塩で炒めるのが大好物だ、オラッ!!」

 僕に業務説明をしながらモスグリーンのエプロンにキャップ姿のチーフが出刃包丁で巨大スルメ触手を弾き逸らす。水面から上だけで3mに達する巨大スルメ触手

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冥竜探偵かく記せり

冥竜探偵かく記せり

被害者は雷竜、性別は雄、年齢は今日で五百才になるはずだった。
死因はそう、まるで東方で作られるというチクワの如く、全身が輪切りにされた事によるものだ。

「彼の生誕を祝いに来たらこれとは何と因果な……」

私は自身の黒曜石の如く艶めく分厚い鱗を軋ませながら、二人で食べるはずだった甘酸っぱい竜珠果のケーキを彼の遺体の前に備えると静かに黙祷する。

「ケーキは私一人には幾分多いが致し方ない、後程一人で

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エンド・バイ・デイライト

エンド・バイ・デイライト

ベンチが作った影の下に潜む俺の前で、泥酔してた全裸のおっさんが朝日を浴びて溶解していく。

「やらかした……」

場所は公園、あるのはまばらに設置されたベンチ位で後は日差しを阻むような物は何もない。

エンド・バイ・デイライト症候群、通称EBD。
人類が瞬く間に罹患したこの厄介な吸血鬼病は字面の通り、日光にあたると死ぬ、そういう体質になる病気だ。

そしてもちろん、俺も罹患してる。
だってのに夜の

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「白」~『不思議の国のアリス』異聞~

「白」~『不思議の国のアリス』異聞~

「ハローハロー最低かい? こちらの準備は万事万全万端だ。必要なのは開始のベル、リンゴンリンゴン高らかに!」
「やかましいぞ、きちがいめ」

 耳元でわめくイカレ帽子屋を黙らせて、僕は前方を睨みつけた。一つだけ残された、右の目で。

 眼前に広がるは、風吹きすさぶ荒野。そして並び立つ兵士兵士兵士。

 スペードが黒曜の剣を立てる。クラブが棍棒を振り回す。ダイヤが菱形の大盾を構える。ハートが赤黒い魔力

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魔法使い

魔法使い

 臭い。

 火山の周囲で漂う類の匂いが部屋の中に充満している。

 豪奢な樫の木のテーブルトップは酸化鉄の黒がぶちまけられ、見るも無惨なありさまだ。甲虫をすり潰した特一級の顔料も、鼠毛の筆も、家主の血をたっぷり吸って使い物にならない。近づいてランタンで照らしてみるが、この有様では蘇生も無理だ。

 腰鞄から魚革装丁の名簿を取り出し、指先の感触だけで目的のページを開く。左手でそこを開いたまま目の前

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六昆王

「市場で象が暴れています」
 ネオアユタヤシティ知事シーは、秘書が差し出した携帯電話からの声、県警視監の報告にため息をついた。昼食のパッタイを取り上げられたこと、警視監の掠れ声に食欲を削がれたこと、孫娘が出稼ぎの象使いに熱を上げていること……。それは万感の思いが込められたため息だった。
「……そうですか。では対応をお願いします」
「すでに市民の避難誘導、交通統制、象使いの手配は進めています。事後報

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異世界転生転生

異世界転生転生

 死後、一つの望みのチカラを得て好きな異世界へ転生出来るというサービス「リンネ.com」を巡る大規模な汚職及び契約違反発覚は全世界を揺るがす大事件へと発展した。
 リンネ.comは最初はネット上の噂として、やがては企業サービスとして、更には国の公共事業になり、ついには国連機関へと昇格を果たした。ローマ法王のお墨付きが出た効果で最盛期には一日約1000万人が転生の旅路へとついたそうだ。国ぐるみで〝転

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ひと夏の、アバンチュール

ひと夏の、アバンチュール

「イルカは、いるか」「おらん」

 玄関口、目の前に立っていたシャチの問いにそう返してから、ふと俺はシャチとパンダの共通点に気づいた――どちらも、水分を好む。

「そうか、うそじゃないな」
「嘘じゃない。嘘は好かん」
「そうか」
「そうだ」
「じゃあ……」

 シャチは困ったように頭をかく(胸ビレでだ。器用なことだ)。

「オルカは、おるか」

オルカ。オルカ。オルカ……オルカ?

「ちょっと待っ

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Re:build

Re:build

 台風一過の突き抜けるような青空。
 都内高級マンションの一室。
 カーテンの隙間から差し込む日差しを顔に受け男は目を覚ました。

 「ちっ...もうこんな時間かよ」
 スマートフォンを手に取る。時刻は午前10時。

 男はおもむろに起き上がるとボサボサの髪を掻きながらバスルームに向かい熱いシャワーを浴び、全裸にバスタオルを肩かけしただけの状態でトースターに食パンを突っ込み、たっぷりのマーマレード

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