ていたらくマガジンズ__60_

フルメタル・ガイEX / 鋼の巨人(グラブル二次創作) #3

前回のあらすじ
 コロッサス討伐に向かう馬車の中、シルヴァは妹のククルを作戦に参画させる事に対して苦言を呈する。しかしイングヴェイはそれを却下。さらにシルヴァを挑発し、団長は胃に穴が開きそうになっていた──

- character -

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(左から)
シルヴァ:狙撃手。鷹の目を持つ。シスコン。
イングヴェイ:本作の主役。前衛。大盾使い。
ククル:銃使いで整備師。シルヴァの妹分。
ルリア:色々あって団長と命を共有している少女
団長:ガンスリンガー。グランでもジータでもお好みで。

- 3 -

「あのー、イングヴェイさん?」

「どうした、ルリア」

 バルツの連中が案内した"現場"──古びた遺跡の手狭な通路を歩きながら、ルリアが遠慮がちに問いかけてきた。

「……シルヴァさんとなにかあったんですか?」

「なぁに、大したことじゃない」

 俺は軽く笑うと、隊列後方でムスッとしているシルヴァを一瞥して言葉を続けた。

「子離れできない親鳥がいたもんでな」

「はあ……鳥さん……ですか?」

 首を傾げつつ、ルリアは再び意識を澄ませた。

 星晶獣の気配を探知できるルリアは必然的に先頭となる。俺はその護衛も兼ねて、列の最前を進んでいる。

 通路が細いため1列縦隊で後続するは、回復役の二人と団長、その後ろにシルヴァ、そして──ククル。彼女は結局、本人の意志でついてきたのだった。

「団長もイングヴェイさんもいるし、ダイジョーブダイジョーブ! サポート役ならまっかせてよシルヴァ姉!」

 底抜けの笑顔で親指を立てるククルに、シルヴァは苦い顔で頷いた。その横には片眉をあげて微笑む俺と、胃の痛そうな団長が居たのだが、たぶんククル本人は気付いていまい──

「……おっと、お客さんのようだ」

 俺は言葉と共に、ルリアの肩を掴んで立ち止まる。

 魔物が出てきたのと、俺が右手に携えた大盾を構えたのは同時だった。

「────!」

 虚空が急激に発火し、デフォルメされた人間のように両手足を形作る。そいつは虚ろな貌で、俺たちを睨みつけた。

「ザリチュナルフレイムか」

 俺がその名を呼ぶと、そいつは異常肥大した炎の両腕を盛り上がらせる。やる気満々といった様子だ。

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「下がってろ、ルリア」

「はいっ!」

 俺が右手の盾に魔力を込めると同時に、ザリチュナルフレイムの拳がブレた。炎の噴出で高速推進した拳が、大盾に激突!

 バガンッと派手な音があたりに響いた。俺は地面に靴跡を残しながら2メートルばかり後ろに押しやられるが、そのまま堪えてみせた。

「────!?」

「くらえっ!」

 俺は即座に間合いを詰める。盾をガントレットの如く構え、背を引き絞り──ザリチュナルフレイムの顔面に、全力のアッパーカットを叩き込む!

「────!? ────!! ──!?」

 衝撃音は先ほどよりも数段デカかった。ザリチュナルフレイムは錐揉み回転しながら吹き飛び、壁に派手に叩きつけられる。同時に背後から、団長の声がした。

「イングヴェイ、伏せて!」

「おっと」

 言われるがままに伏せた俺の頭上を、団長の放った銃弾が通過した。銃声は3度。どれもが強力な魔力の篭った弾丸であり、的確に敵の急所を撃ち抜く死の弾丸だ。

「────…………!」

 ザリチュナルフレイムは壁に縫い付けられるように被弾。そして、その身体についていた火が消え、動かなくなった。

「ふぅ。ナイスフォローだ、団長──っ!?」

 俺は団長に話しかけながら立ち上がろうとして、咄嗟にサイドステップをとった。一瞬前まで俺がいた場所で、炎の玉が炸裂する!

「新手か」

「い、イングヴェイさん! みなさん!」

 ルリアが悲鳴のような声をあげる。彼女は溢れ出す魔力にその長い髪を揺らしながら、俺たちに向かって叫んだ

「ザリチュナルフレイムがたくさん、5、6・・・全部で8体!?」

「うへぇ、マジ!?」

 団長が悲鳴をあげる中、俺は大盾を地面についてニヤリと笑った。

「面白くなってきたじゃねぇか。いくぜ、団長、シルヴァ、ククル!」

(つづく)

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