初期衝動とか初めて受けた衝撃とか、そういうものはとにかくいつまでも忘れられなくて、何年たっても何十年たっても心の中に納まり続けていて、でもいわゆる家族期かなにかである日突然話題に出すことがなくなって、再び話題に出るのはその衝撃の源泉が潰えたときで、いつも僕は後悔する。

　wowakaさんが死んだ。自分でも驚くくらいショックを受けている。思考がまとまらない、落ち着かない。ただでさえ仕事が手につかない人間なのにもうだめだ。なんもできん。とにかくなんとか頭の整理がしたくて今この文章を打ち込んでいる。しばらくしたら消えるかもしれないけれどとにかくこの頭の中を吐き出したい。すまんなnoteワールド。一杯付き合ってくれ。

　僕はヒトリエとしての活動は1,2回しか見ていないので、ボカロPとしてのwowakaさんしか知らない。裏表ラバーズやワールズエンドダンスホール、ローリンガールみたいなメジャーなぶちあがる曲はもちろん、初期のとおせんぼとか積み木の人形とかも大好きだった。僕にとっての青春であり、原点だったと言っても過言ではない。

　その独特のギターリフや歌詞のセリフ回し、独特な少女観、シンプルな動画、ミクちゃんルカちゃんの独特な声音。なにをとってもオンリーワンであり、そしてナンバーワンだった。wowakaさんの曲の主人公の女の子はすごく不思議ででも芯が強くて格好良くて可愛くてスキだった。

　今聴きなおしてもめちゃめちゃ格好良くて、思わず聴き入って身体が揺れるパワーを持った楽曲ばかりで、新鮮な衝撃を持った曲の数々は当時大学院生だった僕に衝撃を与えたし、ボカロ界隈にどっぷりハマった原因のひとつなのは間違いない。本当に彗星のような人だった。こんなにも早く星になってしまうとは思わなかった。

　あの頃「wowakaさんの曲格好いいよね」っていうのはひとつのコンセンサスで、もちろんそれに対する逆張りとかもあったけどやっぱり格好良かった。「格好いいけどここが嫌い」「格好いいけど俺はこうする」といった具合に、会話の基盤がそもそもそうで「をわかさん」っていうひとつの概念だった。「はちさん」「ぴのきおぴーさん」「をわかさん」「でこさん」みたいな概念。それほどまでに強いパワーを持ったクリエイターだった。でもイベントとかで「応援してます！」とか話しかけるとすっげーいい人でマジかよこんな気の弱そうな人があんな曲作るのかよ人間ってすげーwowakaさんすげーって感動してはああああもうマジでショック。しんどい。

　そもそも若すぎるんだよ。いつなら死んでいいってわけじゃないんだけど、それにしても若い。wowakaさん享年31だよ。ルカルカ★ナイトフィーバーのsamfree氏も享年31だった。俺とほぼ一緒なの。マジかよ。こんなぼんやり活きてる俺の寿命持ってってくれよ。もっと若いところだと、詩音さんというボカロPさんは20代半ばで亡くなっていたりするんだけど当時も同じこと思ってた。若い作家死ぬといつもマジでしんどい。どの人も心臓やられて、大体レッドブルとかキメて徹夜しまくってた。これ過労死なんじゃないのか。

　というか、同世代のクリエイター友達の中にもガンガン徹夜してる連中がいる。お前ら本当に休んでくれ、死なないでくれ頼む。作品を作らねば死ぬのはわかる、わかるが死なないでくれ。カネがなくて飯食えんってんなら飯くらい奢るからさ、必要なら牛丼届けるからさ、ほんとに休んでくれ。頼むよ。好きな奴も嫌いな奴もいるし喧嘩して決別した奴なんかもたくさんいるが、死なないでくれ。休んでくれ。後生だから。

　大人しくご冥福をお祈りできればいいんだけど全くそんな精神状態になれなくてヤバさがやばい。本当になんだこの感情は。これが喪失か。もうあのクールな曲は聴けないんだ。うわつらい。そんなことってあるかよ。

　ここまで1500文字くらい書いたけど一向に思考が整理される気配がない。ダメだ。碧空戦士アマガサ、今日更新予定だったけどちょっとスキップさせてくれ。無理だ。今無理だ。

追記
改めて、ご冥福をお祈りします
(半ば自傷のノリで激辛担々麺食べたりして、一旦心を整理しました。かしこ)