第三回立川がじら独演会レポート

令和最初の海の日である7月15日(月)に、第三回独演会を催しました。
春に独演会を始めてから、毎回特異な状況にあり、ドキュメントとしては(自分がそれを面白くできているかは別にして)興味深いものになっていたかと思います。
このあたりのことは、高座で喋りますのでぜひともお越しください。

『かぼちゃ屋』一席目は恒例の前座噺。
口慣れた噺ではあるのですが、独演会でやるならとギャグを足したり変えたりしてみると、やはりリズムが心配に。いつものルートから、けもの道に変更してガタゴト。
フレーズが大事な噺なのですが、この噺の展開の核になる「上を見る」こと、ここから膨らんでいって、与太郎さんが何を見たのかをもう少し見えるようにしたかったです。空の上にはきっと、与太郎の亡くなったお父さんがいるはずなので。

『人情八百屋』でお仲入り。
人情噺はさっぱりと、重くならないように。噺から水分を抜きます。空間をカラッとさせるのです。
江戸っ子とはどのような種類の存在かがよくわかる噺なのですが、この水分をきちんと抜いておかないと、とたんにモタモタしてしまう。ダマになってしまいます。江戸っ子がそちらに固まることもあるでしょうが、それよりもドライなスピードをこそ見よ、です。

『どうかkappaと発音して下さい』(自作)
芥川龍之介のお書きになった「河童」の構造、そこに落語というものがあるのではないかという仮説から組み上がっていった噺です。河童の国へ行ってきたと語る狂人のスタイルが落語家のそれであるということがまず表明され、その瞬間から世界が河童の国へと通じていきます。序の部分を朗読するシーンがございます。以下の青空文庫様にありますので、是非。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/45761_39095.html

『青菜』
夏の落語の定番です。私の師匠の説明を援用いたしますと、セレブリティに憧れる一般庶民の狂気が夏の暑さの中で爆発する噺、であります。
「鞍馬から牛若丸が出でましてその名も九郎判官」「義経にしておけ」
オチで植木屋の女房が旦那のセリフまで言ってしまい、苦し紛れに出てきたのが弁慶。分かりづらいオチだし、なんとかならないかと考えていたところ、これは弁慶を召喚せざるを得なかった決断の狂気がそこにあるのだと気づきました。
「鞍馬から…」が義経ではなく弁慶を呼び出してしまった、夏の魔法の暴走なのでした。

次回は8月22日(木)です。
神田連雀亭にて19時30分開演、ご予約1500円/当日1800円です。
お待ちしております。
外注した新作落語、トリネタは『千両みかん』です。一味違いますので、是非ともお出で下さいませませ。

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