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マーダーミステリーをGoogleアナリティクスで数字分析/売上データなど

初めに

皆様、初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。たてぺんです。
たてぺんはマーダーミステリー(という名を冠したストプレ)をBOOTHにてリリースしており、ありがたいことに多くの人にプレイいただいています。

さて、タイトルの通りなのですが、制作者の皆様はGoogleアナリティクスで数字分析をしたことはあるでしょうか?
BOOTHはアナリティクスで簡単に数字を出せるため、皆様結構やってるものだと思っていたのですが、以前制作者が集まったときにアナリティクスで分析していたのがたてぺんだけでした。
マーダーミステリー/マダミスは基本的には売れ行きや評判って作品の面白さから来るものであって、マーケティングを考慮したり解析したりしている人をあまり見たことがありません。
オフセ店舗ではチケットの売上等で色々施策を立てていると思うのですが、店舗のように常にキャッシュを確保して運営するタイプでは解析が必須ですが、キャッシュがなくても運営できるオンラインサークルではあまりそういった解析はされないかと思います。

マダミス等の制作者さまが、どのような動機で作品を世に送り出しているかは人それぞれだと思います。私の主観ですが「多くの人に楽しんでもらいたい」という動機はある程度共通するのかなぁ……なんて思ってたりします。
数字分析をして、どういう施策を打ち立てたらより作品が認知されるか。それを考えてみるのも面白いかなって思って今これを書いてます。

たてぺんは1年くらいインターンでWebメディア運営に携わり、数字分析も軽くやってたので基礎的なことは出来るのと、大学でマーケティングやったのでそれなりのことは出来ると思うのでやっていきます。

分析対象「罪業を犯した君へ」

今回はたてぺんが運営するマダミス制作サークルの初作を対象に分析を行っていきます。
まずPVから見ていきます。PVとはそのページ(BOOTHであったり罪業の個別ページ)をある期間にどれくらい閲覧されたかを示す数字です。
PVでは同じ人が「3回」閲覧したら「3PV」となるので、PV数=アクセスしたユーザー数にはなりません。

PV数の推移

罪業は2023年7月16日にリリースしました。そのため、グラフの最初の山はリリース直後に「プレイ」したのではなく、リリースされたシナリオを見てBOOTHのページにアクセスした人の数になります。
リリース直後の2日間で1640PVあり、8月半ばまで1日約100PVは超える程度で数字は推移しています。
また、リリースから現在に至るまでのPVは約1.1万になります。
まず、リリース初月の売れ行きとPVから分析していきます。全体を見る前に初月の初速を観測する理由は、初月の売上は「作品のコンセプト」「ビジュアル」「テーマ」に惹かれてアクセスし購入した未プレイ層が大半だと想定できるためです。


リリースした初月の売上は以下になります。


売上は34100円 注文数は37になります。
リリース直後はプレイした人は相当数限られるため、37注文の大半は「気になるからとりあえず買った」と「気になるから未プレイで中身を見た」の2つのパターンが想定されます。リリース月のPV数は以下のグラフになります。

ここで、PV以外に「ユーザー」について説明します。先程、PVは同じユーザーが3回閲覧したら「3PV」になると言いましたが、ユーザー数の場合は同じユーザーが3回閲覧しても「1ユーザー」になります。
初月は2339PV、932ユーザー、37注文という内訳になります。
さて、ここで数字分析する上での壁が一つ出てきます。
それは、オンセマダミスはプレイした人の数が正確に把握できないという点です。
数字分析する場合、コンバージョンと言って「最終的な成果」を求める必要があります。今回数字分析する動機は金をもっと稼ぎたい、というより「もっとたくさんプレイしてもらうにはどうしたらいいか?」のためです。
先ほどからPVばかり着目してますが、コンバージョンから利率を求めるCVRを求める場合、使用するのはセッション数です。セッション数とは、一定期間内にWebサイトに訪れた特定のユーザーの、訪問から離脱までの回数です。

罪業の初月セッション数は1514になります。

罪業のコンバージョン数は39です。

ここで一旦売上を目的としたCVRを求めます。CVRの求め方は以下です。
CVR=コンバージョン数÷セッション数×100

罪業の売上初月CVRは2.575%となります。

単純に考えれば、セッション数(マダミスの1セッションとは別の概念です)が100あれば2.5%で購入に至ると考えられますが、数字はそう簡単ではないものになります。
なぜなら、初月は未プレイでも買ってる人がいるからです。
マダミスを長く楽しんでもらうためには初月の数値を見るより、リリースしてから2〜3ヶ月後のデータを見るべきです。

ただここで厄介なことが起こります。他作品は分かりませんが、少なくとも罪業の売上推移を見てみましょう。

初月に34100円売り上げたあと、以降8月からは売上数は下降する傾向にあります。以後のデータを見ても売上ベースのCVRは悪化するだけで、多少テコ入れの施策はしましたが殆ど効果がありませんでした。

というわけで本題です。マダミスにおいて、多くの人に楽しんでもらうために本来コンバージョン数に据えるべきは「売上」ではなく「卓数」です。
卓数の把握が難しいと言いましたが、なぜ難しいかと言うと「購入」したからプレイしたわけでもなければ「閲覧」したからプレイしたわけでもなく、アナリティクス上で出せる数字いずれにおいても卓数は計算ができません。
卓数を観測するためには「Xでのプレイ報告」を手動で集計する必要が出てきます。クソダルいです。

罪業の初月の卓数

X上で「罪業を犯した君へ/#罪業を犯した君へ」(ハッシュタグは別途で検索に計上されるのでので両方で検索します)のキーワードをポストに書き込んだ上でプレイ報告していた初月の卓数は「6卓」です。
観測できた限りの卓数の初月CVRを出すと0.396%となります。
しかし、マダミスをやってるユーザーは以下のパターンが考えられます

  • プレイ報告を行わない

  • 鍵垢でプレイ報告をしている

  • プレイ報告はしているが作品名を記載していない

私が観測した限り、FF内では「作品名の記載がない」パターンのプレイ報告が多く、Xでの卓数集計は正確にはできません。(エンドカードを付随させている場合、画像検索という手もなくはないですが精度がかなり低いです)

初月はリリース直後ということもあり、売上はかなり特殊な推移となり、なおかつ卓数が少なくなるので参考になるCVRを出すにはリリースから一定期間後の月で集計するのが望ましいと考えられます。
罪業がリリース後、セッション数が多くなった波は2つあります。
23年9月と11月の2つです。
長々と説明したのでCVRを7月、9月、11月の3つの月で箇条書きでまとめて書きます。

  • 23年7月の売上CVR:2.575%(39÷1514×100)

  • 23年7月の卓数CVR:0.396%(6÷1514×100)

  • 23年9月の売上CVR:0.750%(6÷799×100)

  • 23年9月の卓数CVR:2.002%(16÷799×100)

  • 23年11月の売上CVR:0.462%(5÷1082×100)

  • 23年11月の卓数CVR:1.663%(18÷1082×100)

ザッと出してみて傾向が分かってきたでしょうか。
リリース月は「売上が高く卓数が少ない」
リリースからしばらくすると「売上が低く卓数が増える」という結果になります。まあ、こんな分析しなくても当たり前といえば当たり前なのですが。

普通に考えれば売上/卓数CVRは見た限りだと売上が0.5〜0.7%前後、卓数は1.5〜2%前後のCVRで推移するはずです。無論、リリースから時間が経てば経つほどプレイ者が増えてCVRは減少するはずです。
はずなのですが、ここでマダミスの面白い外れ値の例をご紹介します。
先ほど23年12月までの売上を一覧で出しました。

  • 23年7月:34100円

  • 23年8月:6000円

  • 23年9月:7300円

  • 23年10月:3700円

  • 23年11月:3000円

  • 23年12月:3600円

推移を見れば、基本売上は右肩下がりの傾向にあります。
しかし、今年に入って妙なことが起きました。


  • 24年1月:4176円

  • 24年2月:7200円

リリースから7ヶ月経った2月、売上が急に増えました。なんで??
というわけで先にザッとCVRを出します。

  • 24年2月の売上CVR:1.534%(6÷391×100)

  • 24年2月の卓数CVR:1.278%(5÷391×100)

初月を除き、殆どすべての月では卓数>売上の関係でした。なのに2月はセッション数391と低いながら、23年9月の卓数の3分の1以下で売上が匹敵しています。
また、2月に限り売上CVRが卓数CVRを上回っています。
数字を分析して予測を立てて、こういう傾向があるな〜って思ってた矢先に傾向がズレたので、当初はめっちゃ驚きました。
仮説立てるなら、多分ですが「あるコミュニティで流行した」んじゃないでしょうか。
マダミス界隈って一定のグループでまとまって卓やってる人たち多いじゃないですか。私も色々なグループで卓遊んでは、イチオシの作品を見つけたら声かけまくって立卓させまくっていた過去があります。
おそらく、どこか観測できないコミュニティでそういう現象が起きたのではないかなぁ……と、データなしの無根拠なことしか言えないのが悲しいところです。

さて、数字を分析したうえで罪業で見られた傾向とどうすれば「売上」が増えるか、また「卓数」を増やせるか、ということを考えていきましょう。

売上について

罪業の総売上は現在(2024/04/23)73576円です。
そのうち、リリース月の7月で34100円と総売上の45%弱の売上を計上しています。
リリース時点での売上は未プレイでの購入が主なため、売上の半分は罪業という作品に対しての「期待」があり、また「テーマ」や「ビジュアル」などによる所謂パケ買いに近い現象での購入が考えられます。
その後の55%の売上はプレイしたうえでの購入だと推察できます。

罪業は初作品であり、作者的知名度はゼロでのスタートなのでブランド力もゼロです。そのため、ビジュアルやテーマでいかに人を惹かせられるか、というのが初速のスピードに繋がると考えています。
プレイしたうえでの中身の面白さはもちろん重要ですが、次回作以後の制作資金に回すうえでは初速がかなり重要です。

まだしっかりと分析や解析をしていないので、あくまで私の肌感の話になりますが、初期のマーダーミステリーではビジュアルはあまり凝っておらず、立ち絵もないものが主流だったと記憶しています。
いつからかは分からないですが、近年の作品はキャラクターに立ち絵が付くのが大半であり、ビジュアルも凝ったものが増えてきました。

今後マダミスを制作してみたい、と考えている人は当初から初期資金を倹約せずにビジュアル・ロゴや立ち絵に投資したうえで人を惹かせる魅力的なテーマの作品をリリースしてみるのが良いのではないでしょうか。

卓数について

卓数が増えるか増えないか、これは本当にシナリオが面白いか、刺さるかどうかでしかないかなって思っています。

罪業は観測できた限りの総卓数は約80卓です。しかし、総卓数に対してBOOTHについているスキの数は300を超えており、明らかに乖離しているのでアナリティクスの数字から導いたCVRを用いた総卓数の予測が可能になれば、マーケティング観点から卓数を増やす、売上を伸ばすといった行動が可能になるかもしれません。

最近はアナリティクスに全然触れてなかったので、ちょっと今後どうやったら推計値が出せるか考えてみます。

終わりに

売上の比較・知名度の度合いなどは私は気にしないので、今回アナリティクスの数字や総売上等のデータを概ね公開してみました。
制作者の方であればこのデータを参考にしてみたり、制作に興味がある人であればこういう風にできるんだ! という後押しになれたら僥倖です。

当たり前といえば当たり前ですが、面白い作品を出して皆に楽しんでもらうのが一番です。しかし、施策を一つや二つ凝らしてみることで、より多くの人の手に取ってもらえるなら、そういった施策を検討してみても良いのではないでしょうか? ぜひ、ご一考くださいませ。

また、アナリティクスとか数字分析苦手だよ〜というマダミス制作者の方がいらっしゃいましたら、たてぺんまでご連絡いただければお手伝いします。(数字等のデータはもちろん守秘します🐧)


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