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一般質問全文掲載 2 町長答弁

 

議長:町長、松岡市郎君。

 

(登壇)

ただいま2点のご質問をいただきました。

最初のご質問につきまして、ちょっと長くなるかもしれませんが、ご了解をいただきたいと思います。

はじめのご質問でございますが、財政規模が拡大する傾向にあって、将来の見通し、財政の健全化についてのご質問でございますが、お答えを申し上げたいと思います。

行政でも民間経営においても一般的には「今日のベストは、明日のベストではない」ことを念頭に、常により良い方向を目指して取り組んでいます。

地方自治は「住民福祉の増進を、最小の経費で最大の効果を目指す」ものであり、特にソフト事業の展開に当たっては、地域コミュニティーとのパートナーシップが重要と考え、「共和、共生、共益」の視点から連携し、展開を図ってきています。

東川町の財政規模は、他町と比較しての多寡は別として、ご紹介の東神楽町では10年以上も前には人口増加に伴う社会資本整備で起債額も増え、財政力指数も現在の本町のような状況にあったと当時の財政担当から聞いています。過疎地の指定を受けていない隣町の財政推移は、本町にとっても大いに参考になります。行政需要は、家庭と同様に成長期には伸び、安定期には横這いの傾向になります。人口だけではなく、面積や人口密度、高齢者人口比率、社会福祉施設数、学校数、町道・林道などの延長、耕地面積、森林面積、公園面積など自治体の態様によって行政需要が異なるものです。それに加え、学校や文化交流施設、農地整備などの公共施設を整備したり、特定の目的に沿ったソフト事業を展開する年に、一時的に財政規模が大きくなるのは、自然界に山坂があり、人生に盛衰、家計に多寡が生じるのと同様であると考えています。

東川町にはこれまで、文化会館や図書館施設、生涯学習施設などの公共施設が未整備であり、東川小学校も築後50年以上が経過していたことなどから、発展する未来を見据え、「東川小学校」や「せんとぴゅあ」などを整備したものであります。これらの公共施設整備で受益するのは、私たちの世代や何世代にもわたる未来の住民であります。できるだけ有利な起債(借金)により公共施設を整備しているものであり、前世代から引き継いでいる施設などは、先人から借用したものとの考え方で、必要な維持費や修理費、起債償還額を負担しています。次世代へは、同様な考え方で引き継がれて行くものと考えています。また、起債を総額という外形だけで判断するのではなく、償還に対する国の支援額、償還財源の仕組み、住民福祉の増進への貢献など総合的に判断する必要があると考えています。

次に財政規模でありますが、財政規模を大きくするために事業などを展開しているのではなく、住民福祉の増進により一層努めるため、未来も見据えて行っている結果であります。歳入が増えているのは「賢明、堅実、健全」な財政運営を目指し、職員が汗して働いている努力の結果であると考えています。

ここ数年で増額になっている事業は次のとおりでありますが、これらの事業を展開することによって財政の硬直化や職員の負担を増大させるためのものではなく、全くその逆を目指して展開しているものです。民間とも連携しながら、その能力を最大限に発揮し実施するものが含まれており、職員の負担を特に増加させるものではありません。



どのようなものがここ数年で増加になっているかといいますと、まずは、起債償還額の増加でございまして、これは10億円あまりになっております。

 この10億円でありますが、現在の起債償還額が15億円、平常の償還額が5億円だとすれば、10億円が増えているということになります。

この増えた増加分の内、7.8億円が地方交付税で措置される訳でありますが、現在約9.1億円が措置され、平常時には1.3億円ということでありますから、その差が7.8億円ということであります。

それから、起債償還をするために貯金をしておりまして、減債基金に約10億円ちょっと積んでおりますけれども、その中から毎年1.8億円を取り崩している訳でございます。それが1.8億円。

それから、東川振興公社、或いは都市開発公社から毎年ご負担をいただいておりますが、これが約4,000万円ということでございまして、合わせまして約10億円ということになる訳でございます。

その他、ふるさと納税寄附関連の歳入が6億円でございます。

それから、地方創生事業関連ということで、多文化・多世代交流と産業振興を目的としました事業費が約7億円でございます。

実際には8.5億円くらいになっている訳でございますけれども、この8.5億円の内1.5億円くらいは一般財源分を新規に組み替えているというようなこともございまして、実際には7億円の増加。

それから、地域おこし協力隊でございますけれども、多文化での地域活動支援ということで約1.6億円でございます。

それから、日本語学校関連と教育振興ということで、教育振興はCIRとかALTとかSEAといわれるものでありますけれども、この関連の事業費が5.1億円ということでございます。

これらの事業を足しますと29.7億円でございます。

ご指摘の88.4億円から29.7億円を引きますと58.7億円ということになる訳でございまして、現在増えております事業というのは、未来を見据え、そしてまた、現在実施の中から未来を見据えているものとなっている訳ですけれども、

今お話を申し上げた事業の表示額での一般財源負担分は、起債償還の基金取崩相当額部分であり、これらの事業が財政運営上、新たな住民の負担を伴っているものではありません。

起債償還額は、未来への課題を先送りしないために展開しているハード事業の償還金であり、この事業以外を廃止すれば68.7億円となり、起債償還が完了すれば58.7億円となります。

起債事業以外の事業でございますが、ソフト事業であり、人口減少、少子高齢化、産業、教育振興の充実など未来への課題を先送りしない、「後世へ負担を残さない」ようにチャレンジをしているものです。これらの事業は無駄な枝葉事業ではなく、未来へ向かって人材育成を含む最も重要な基幹事業であると考えています。

地方自治は最小の費用で最高の住民サービスを目指すものであります。本町には大きな企業がある訳でないため、一般の人々が働きたくても働く場が多くはありません。東川町のような環境の良いところへ移住し、就労を希望されても働く場所が中々見つからないことが多くあります。このような中、ただ今、申し上げましたイ~オの事業を積極的に活用し、特にソフト面の教育環境の充実、街中での消費純増、シニア活動の充実などを通じて働く場の確保を図ってきています。

また、役場そのものが閉鎖的ではなく、開かれた職場である視点からも、雇用の場としての拡大に努めています。各位がそれぞれの分野で持っている力を十分に発揮し、能動的な姿勢で取り組んでくれています。彼らの力と職員力によって情報が発信され、町の活力も比例して高まってきています。

職員育成の件については、通常の業務の中での他市町村や大学・民間の職員や大学生等との出会い、国内外での出張見聞、地域活性化センターのリーダー塾や3か月に及ぶ海外滞在研修などを通じて、刺激を受け、進化し、逞しい士気の高い職員が育っています。

地域おこし協力隊の件でありますが、対象業務を絞り、特定の能力を有する人材で能動的な業務を担うことを基本として募集し、雇用時に条件をしっかりと確認し、町づくり(地域)協力活動として町(地域)の維持や強化に当たっています。役場職員の道を閉ざしているものではありませんので、チャレンジしてほしいと期待しています。

また、新人職員が1年程度で離職する問題は、当方にとっては大変残念なことでありますが、未来ある若者が自らの選択で、未来へ向かって挑戦し、チャンスを掴み自立を目指すことは最高のことであり、職場の上下関係に起因した離職ではないと考えています。「やりがいや幸せ」に繋がっていないというネガティブなものは伝わってきておりませんが、具体的に何かありましたらご提示いただければと思います。

日本は人口減少の時代に入り、国立社会保障人口問題研究所では市町村ごとの人口推計が示されています。本町の推計を見て肯定するのではなく、今までのように人間を確保し、安心して高齢者などが暮らすことができる町づくりに努めなければなりません。もし何もせず「まちぼうけ」であったなら、人口減少に至っていたと考えていますが、チーム役場が一丸となって各種の制度を利活用し、人間(口)確保に取組んだ結果、多様な行政サービスが行われています。今後においても必要な対策を講じて3GEN「人間、資源、財源」の確保と循環に配意し、「人間が地域資源を掘り起こし、利活用し、財源を確保し、当該財源で人間(住民)の福祉の増進」を図ることにより、後世への負担増加にならないように努めてきています。

過疎指定を受けていない本町が「お金がない、お金がない」と言われた中、これだけ多様なハードとソフトの両面のサービス対応ができ、経常収支比率が83.2%であることは、議会の迅速な議決とそれを受けて職員が汗して働いている証の数字と誇りに感じています。東川町は今、「成長期」であります。

今、私たちは様々なものにチャレンジしていますが、それは少子化、高齢化、人口減少、産業振興、教育振興など現在から未来へ向かっての対策であります。日本国の人口が減少するから、地方の人口も減少するのは当然だと静観し、推移を見守るという「まちぼうけ」では「ほうきぐさ」となり、後世への負担を付け回すということになります。行政はマスナス要因を縮小し、プラスへ変えて行くことができるように努めることが住民の福祉の増進への道だと考えています。志の高い議員の皆様とともに未来の課題解決に向かって、決断し、住民の福祉の増進に努めることが「議会と町長」の任務であります。チーム役場が「が」を捨て「も」の視点で、住民の期待に応えることができるよう今後とも健全財政の維持に努めて行きたいと考えていますので、深いご理解をお願いします。

次に、2点目のご質問についてお答えを申し上げたいと思います。

予算説明書を作成し、町民に丁寧に説明することについてお答えを申し上げます。

東川町でも平成11年から15年に「予算のあらまし」という冊子を発行しましたが、住民が一番目にするもので周知に努めるが良いとの声もあり、内部で効果と費用について検討した結果、毎年広報4月号に行政執行方針と予算概要を掲載し、11月号には前年決算をもとに作成する「まちの家計簿」により、町民に広くお知らせする方法に転換してきています。また、今年度は新たに町の財政白書を作成し、広報の別紙のような形でお知らせすることを考えております。

また、各地域自治振興会を通して懇談会、各種の会議の中でも周知に努めてきているところであり、希望があれば、関係職員等が出席してお互いに顔の見える場でご説明申し上げる出前も準備しておりますので、ご活用いただければと考えています。以上を申し上げましてご理解をお願い申し上げたいと思います。

以上であります。



これを受けての再質問、再々質問は次の項で。