国民主権実現のための参政権の拡大

 人間も、他の生物も、それぞれなわばりを保って、相互に依存しあって生きています。
 相互依存関係の維持の基礎は、他者のなわばり(=権利)を尊重していくことにあります。
 しかし、お金と武力を手段に、人間は支配&被支配の社会構造をつくり、少数の人たちが自分たちの利益を優先して社会を運営、多数の人たちのなわばり(権利)を軽視してきた結果、富の偏在、貧困、格差、差別、環境破壊などの問題を創り出しています。
 これらの社会問題を是正するためには、意見を出し合って、お互いのなわばり(=権利)を尊重し、相互依存関係を維持しながら、支配&被支配のない社会(差別のないフラットな社会)を創ることが必要になります。そして、日本国憲法ではそのための体制として、国民を主権者(全ての権力者・権力機構より上位の統治者)として位置付けています。

 日本国憲法では国民の参政権が規定されており、ただ単に意見表明するだけではなく、権力者・権力機構に対して強制力がないと、国民主権が機能しません。ここでは、①現状の参政権行使が、権力者・権力機構に対して有効な強制力になるように運用されているのか、②不備の是正策、を確認したいと思います。

 ちなみに不備の是正策は改憲しないことが前提です。

1.選挙権

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2.被選挙権

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3.罷免権(手続法を施行)
 国民による公務員の罷免権行使は、日本国憲法十五条で保証されている国民固有の権利。

日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

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4.発議権(一定の要件を満たした請願を発議として扱うよう法整備)

日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

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また、国会・内閣からも国民投票の発議ができてもいいと思います。 
・国会による国民投票発議:
憲法改正を除く国政全般の事項に関して主権者の意思を確認するため、議員の四分の一以上の賛成により国民投票を実施。少数議員の賛成による国民投票を可能にすることで、政権与党を牽制可能に。
・内閣による国民投票発議:
憲法六十九条以外のケースで、内閣が衆議院解散の必要性を認めるとき。


 さて、改憲しないで実現する参政権の拡大をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

 前回記事「国民主権実現に向けた国政政党の政策」で、各党の政策に国民主権実現にどう取り組むのか具体的な記述はない、と書きましたが、ここで私が述べた選挙権、被選挙権、罷免権、発議権の具体策を政策として掲げる政党が出てきてもいいのではないかと思います。

「今の国民の武器(参政権)はポンコツ、でも私たちは国民にピカピカの武器(拡大した参政権)をお渡しします」と。そして、これらを達成したら解党、あとは、国民が中心になって参政権を駆使して民主的に社会を運営する。

 次の総選挙は目前に迫っていますので、来年の参議院選挙の際にはそういうムーブメントが起きると面白そうですね。

 それでは、また次回まで。

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