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ノリツッコミ?違います。聞こえなかったんです。神経が麻痺してますから

22歳ころ、大阪の24時間フル稼働の工場で働いていた。朝から晩まで流れ作業でクタクタだ。機械から出てきたプラスチック製品をチェックし、大きな段ボールに詰めて出荷をした。

1番イヤだったのは音。とてもうるさい。今では音が苦手だと理解できているが、当時は我慢し過ぎて感覚が麻痺してたと思う。

あの日もすでに、午前中で体調不良。なんとか夕方まで持ち堪えた。早く帰ってビールが飲みたい!家に帰れば夕食を食べて、適当にテレビを見て寝る。その繰り返しだ。

「おーい!きんじょう!モンキー持ってこい!モンキー」 

       モンキーレンチ

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機械が故障したらしい。ちょっと離れた場所からA先輩の声が聞こえる。A先輩は僕より10歳ほど歳上の人で、無精ヒゲが生えている。髪は短めの天パーで背は170センチぐらい。体格がガッチリしている。メガネを掛けているが目がするどい。いわゆる、ヤンキー上がりだ。もしかしたら今でもヤンキーかもしれない。

「はい〜持っていきます〜」

疲れ果ててるし、機会の音がうるさいので、イマイチ聞き取れなかった。モンキーの3文字の最後のキーという音は聞き取れた。

「はい、どうぞ〜」

と、ほうきを手渡した。すると

「そうそう、この、ほうきで機械のネジを回してっておい!」

「オレが頼んだのはモンキー。これは、ほうき!どあほっ!」

と、ノリツッコミをしてくれた。しかし、僕はボケを狙ってほうきを持って行ったのではない。疲れ果てて感覚が麻痺していただけだ。

それから、A先輩はたまに飯をおごってくれるようになった。

「お前は仕事はできへんけど、なかなかおもろいなぁ」

水田で1人黙々と作業をしていると、何故か昔の事を思い出す。いろんな人に助けられて、ここまで生きてこれたのだと。

ありがとうございます!先輩❤️




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