属人化のメリット(人が価値をもつ時代)

趣味で続けている太鼓チームでも、前の会社の内勤チームでも、以前は「チームを成長させるためには組織化すべき」という思い込みがあった。

集団に所属する人数が増えてきたら人や物、お金、役割、業務などの管理をしなければならない、だからそれぞれに役割を定めて組織化すべきだと。

しかし、集団の成長段階や構成員に応じてどのような体制が望ましいかはそれぞれ異なり、集団の人数が増えたら組織化すべきというのは暴論なのだと分かった。

今では、未成熟の(成長過程にある)チームにおいてはどちらかといえば属人化を図るようになった。
構成員の長所を生かすことがチームの成長にもっとも生かされるし、人が生き生きと働くことによって、環境自体を大きく育てることにつながるからだ。

そもそも、以前に組織化すべきと感じていた理由は属人化によるデメリットへの懸念だ。
・メンバーの離脱があってもチームの機能に支障が生じないように、体制を整えて準備しておきたい。

それは確かに大事なことだけど、人が入れ替われば誰かの成長機会にできるし、機能面での最低保障は自分一人で対応できるという見通しも立つようになったから、属人化のメリットを優先的に選択できるようになった。

逆に、組織化のデメリットというのもある。
・役割分担が決まっていると、担当者か担当者以外かという区分ができてしまう。
・役割分担によってうまくいっている状況こそが将来的に準備不足を生む可能性を高める。

これらのデメリットを解消するのが属人化だ。
・担当を決めないことによって担当者以外(私は担当ではない→無関心または受け身でよい)という概念がなくなり、自ら主体的に能動的に考えて動く人間が育つようになる。
・非効率性の中でこそ各々が準備をするようになり、認識や知識、経験の複数共有が可能になる。

重要なメンバーがやめたらどうする?
これは最大リスクではない。
最大リスクは環境自体がなくなることだ。
人がやめることは、語弊があるかもしれないがさほどのリスクではない。

そういったときに自分がとる対応は、やめる人の代わりを育てることではなく、みんながその変化をおもしろがれるようにムードをつくることだ。

良くも悪くも属人化は個性の強い構成員が影響力をもってしまうことになるが、それが無くなったときには穴埋めをしようとするのではなく、新しい変化を生じさせることの方が大事なのだ。

これからの時代、世の中が激しい変化をしていく以上、変化をしないように抵抗することよりも、自らも適切に変化をしながら生き抜いていくことを考えるほうが自然だ。

かつて属人化のデメリットを解消するのに役立っていた組織化は、これからの時代ではデメリットしかなくなるかもしれない。

人が、人の成長が、何よりも強い力を持つようになる。

属人化のデメリットに触れるとしたら、暗黙の役割というものだ。
これは時間の経過(慣れ)によって生じる。
これはこの人がやるだろう、だから自分はやらなくていい、という思い込み。
こうなると、組織化のデメリットと変わらなくなる。
要は、属人化だろうと組織化だろうとデメリットは生じる。
それを理解したうえで、デメリットが生じる経緯、原因を抑えて、進行させない施策が大事だ。
属人化がマンネリ化したら組織化へ、組織化がマンネリ化したら属人化へ、このような揺さぶり施策はチーム及びメンバーを怠惰させないことだろう。

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*属人化1.0:強い人間が集団をつくり運営する。

*組織化1.0:集団を維持するために強い人間に頼るのではなく、役割の可視化を図り分業する。

*属人化2.0:組織化で対応できない変化に対応するため、人の持つ力を生かすようになる。

*組織化2.0:役割ではなく、人の特性によって分業する。自律型・自己成長型の有機的な組織。空隙、遊び、ゆとりといった非効率性を常に意図的に包有する。

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