売りつけたくない君へ(5)/「上司を連れてこい」って言われたんです。

 南大沢のミートレアでタピオカ入りシークワサーを飲んでから2週間後。ミュージカルを見てから3ヵ月半後。

 報告会を終えて、大手町の寿司屋で放心状態になっていた。クライアントが入っているビルから少し離れたサンケイビルの地下。時計は16時を指していた。心地のよい疲れではある。バリューがあったと自分で思ってはいけないが、なんとか最低限のレベルの報告ができたと思う。いつものことだが、報告会が終わると何もする気にならない。遅めのランチを食べ終わった寿司屋のテーブルでひたすらに虚空を眺めていた。

 すると、ポケットの携帯電話が震えるのを感じた。誰だろう。あまりとる気がしないが、なかなか切れない。ずっと震え続けている。しつこい。ろくな話ができる気がしないが、仕方なしに電話を取った。

「先生、やばいです!」という切迫した声が聞こえた。

 誰かはわかるが名乗れよ・・・。

「何・・・、どうしたの・・・。」

 とりあえず、聞いてみる。やばいというから、やばいんだろう・・・。今度は何をやらかしたんだ・・・。

「怒っちゃいました。」

 おいおい。クレーム発生か?

「お客さんを怒らせちゃったの?」

「違います。」

 良かった。お客さんを怒らせるのは、いい経験とも言えるが、クレームが会社に入ることもある。それで飛ばされたりすることもある。けっこうまずい。

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売りつけたくない君へ(5)/「上司を連れてこい」って言われたんです。

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tatsuo_ito

売りつけたくない君へ

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