売りつけたくない君へ(6)/「安くしてくれ」って言われるんです

 オアゾの目が飛び出るほど高いイタリア料理店で彼女がお客さんに怒ってしまった話を聞いてから2週間後。ミュージカルを見てから3ヵ月半後。

 とある部品メーカーの経営陣に最終報告のプレゼンをしている最中にポケットの携帯が震えた。嫌な予感がした。この時間に私に電話をしてくるのは、無理な発注ばかりをする昔からのお客さんか、彼女ぐらいだ。

 プレゼン後、携帯を確認するとやはり彼女だった。どうしよう・・・。放置してもどうせかかってくるか・・・。

 彼女に折り返す。あれから2週間しか経っていない。連絡頻度が上がっているのは、いろいろと疑問に思う機会が増えているのだろう。それ自体は悪いことではない。ただ、その疑問に自分で答えるようになれないと、伸びてはいかない。依存しすぎるのも考え物だ。

「で、どうしたの?」

「はい。値段を安くしろって言われて。これ以上は下げられないラインていうのがあって。『このお値段には下げられません』って言ったんですけど。」

「言ったけどどうだったの?」

「はい。あと10%安くならないと買えないって言われて。」

「で?」

「はい、持ち帰って検討しますって言ったら、『今答えないとダメだ』って言われたんです。」

「それで?」

「はい。『それは無理です』って言ったら、『他社はあと10%安い見積もりを出している』って言われて。」

「で?」

「『弊社はこれ以上は無理です』って言って終わりました。」

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売りつけたくない君へ(6)/「安くしてくれ」って言われるんです

tatsuo_ito

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tatsuo_ito

売りつけたくない君へ

B2Bセールスを題材にして、一般的な対面営業のための考え方、技術について解説しております。
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