売りつけたくない君へ(9)/契約できると思ったら・・・。

 彼女と渋谷で蕎麦を食べてから2週間後。ミュージカルを見てから5か月半後。0時を回っていただろうか。

 寝ようと思ってアイフォンを確認するとLINEで彼女からのメッセージが入っていた。メッセージには『契約が取れました』とある。コニーが妙にピュアな目をしているスタンプが送られてきた。そして、『お祝いしてください』とあった。

 遂に取れたか・・・。良かった。

 『何が食べたい?』と送ると『北京ダック!』というメッセージとスタンプが送られてきたので、新宿御苑の中華料理店を予約することにした。少し高いがまあいい。こんなことも滅多にない。祝い事など久しくしていない。悪い気分ではない。

 更に二週間後、金曜日の夜。つまり、ミュージカルを見てから半年後。新宿御苑。北京ダックが安くてうまいと評判の店にやってきた。

 不思議なことに彼女は新宿御苑の駅で会ってからほとんど口を開かない。いつもは陽気で、契約が取れたとなればなおさら陽気になってもいいようなものなのだが・・・。北京ダックが運ばれてきても、コックさんがいろいろと解説しながら、北京ダックをくるんでくれても、いつものような無邪気な反応をしない。どうしたのだろう?

「どうした?元気がないな。契約が取れたんじゃないのか。」

「取れました・・・。」

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売りつけたくない君へ(9)/契約できると思ったら・・・。

tatsuo_ito

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tatsuo_ito

売りつけたくない君へ

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