売りつけたくない君へ(7)/「話が違う」って言われるんです。

 渋谷でサルジニア料理を食べてから2週間後。彼女とミュージカルを見てから4か月後。

 その日の夕方は渋谷道玄坂上のモリバコーヒーで呆けていた。プレゼンは再来週にあるが、しばらく時間がある。さすがに休まないと体がおかしくなる。平日夕方にコーヒーを飲みながら呆ける。素晴らしき時間だ。

 バッグの携帯が震えた。メールだろうと呆けていたら、ずっと震えている。とにかくずっと震えている・・・。しばらく無視したが、バッグの振動は止まらない。

 仕方なく電話を取り出す。電話を見ると彼女だった。無視するか・・・。出るか・・・。迷う・・・。が、いまだに電話は鳴りやまない。留守電にしておけばよかった・・・。

「出るのが遅いですよー。なにやってるんですかー。」

 あまりの声のでかさに、受話器を耳から話す・・・。やっぱり出なければ良かったかな・・・。

「・・・。どうしたの?」

 努めて冷静な口調で言う。もはや運命だと思って諦めるか・・・。

「蕎麦を食べます。蕎麦屋に連れて行ってください。」

 脈絡がない・・・。意味がわからない・・・。が、仕方ないか・・・。

「じゃあ、渋谷の道玄坂上においで。交番があるビルの上に美味しいお蕎麦屋さんがあるから・・・。」

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tatsuo_ito

売りつけたくない君へ

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