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【ゲームレポート】集中して守り、少ないチャンスを生かす 駒大が快勝で決勝リーグへ……アイスホッケー秩父宮杯

2019年5月12日
秩父宮杯第67回関東大学アイスホッケー選手権大会Bグループ、Bトーナメント2回戦

駒大2ー0学習大
得点者:渡辺、矢口

正直に言えば厳しい展開になるかと思っていた。だが、結果は逆。駒大が学習院に快勝して決勝リーグに駒を進めた。

足が動かなかった初戦

前日の初戦、東京理科大戦は就活のため半分しか見ていない。だが、率直な感想は「新体制初戦ってこんなものなのかな」だった。足が動かず、パックへの反応も悪い。ポジショニングもあまり良くは見えなかったし、攻撃も単発気味。31分までに3点を取ったが、そこから反撃を受け、7分44秒間で2点を返される。その後突き放し5ー2で勝利したものの、内容はいまひとつという印象だった。まだ新体制になって最初の公式戦だから緊張があったのかも、格下に合わせてしまったのかも、など好意的な解釈を含めた感想が「新体制初戦って~」である。

2回戦で対戦する学習院は勢いのあるチームだ。2015年の関東大学リーグで4部から5部に降格。だが、3年連続昇格と驚異的な躍進を果たし、今年は2部で戦う。攻撃の中心は主将でエースのFW湯浅凱人。試合前練習を見ると、全体的に動きは良さそうだ。試合開始直前の予想は「駒大は厳しい展開になりそう」である。

ワンチャンスで得点

試合は案の定学習院ペースで始まった。駒大は立ち上がりにパワープレーを得たものの、なかなか攻め込めない。攻めてもサポートが遠く、パックキャリアがアタッキングゾーン(AZ)のサイドで孤立したり、パスの出しどころに困る場面が見られた。その後は攻め込まれる展開。12分13秒ゴール前の混戦から学習院選手が喜びの声を上げた。押しこまれての先制かと思ったが、ここは審判協議の結果ノーゴール判定に。なんとか無失点でしのぎ1ピリをスコアレスで終える。

第1ピリオド残り24秒でのDF川野翼のペナルティが残っており、第2ピリオドはキルプレースタート。ここを抑えると、待望の先制点が生まれる。

17分25秒パワープレーを得ると、54秒後、FW渡辺信勝がルーズパックに反応。AZ内ゴール右45度から素早くステックを振り抜きゴールに突き刺した。渡辺は今年度3年次に編入した経験者。1ピリではゴール前でディフレクションを狙うなど、動きやポジショニングに経験値とホッケーIQの高さを見せていた。当たり前かもしれないが、この場面でもワンタイムで打つ判断ができたのはそれ故だろう。

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ゴールを決めてガッツポーズの渡辺

先制しても攻め込まれる展開は変わらず、むしろ湯浅が個人技を披露する時間になった。21分30秒頃にはニュートラルゾーン(NZ)からディフェンディングゾーン(DZ)のドリブルを止められず。対応に行った駒大選手は、翻弄されて次々にかわされた。22分47秒にキルプレーとなると、5秒後バックハンドシュートが右ポストを直撃。24分8秒にもDF平入駿がかわされシュートを打たれる。だが、GK菊池亮介が止め、失点を許さなかった。

ピンチはチャンス。この30秒後にゴールを奪ったのは駒大だった。DZ内中央ブルーライン手前、氷の下に書かれたDyDoのyの字のあたりでFW小笠原偉大がパック奪取。すぐさま柔らかい縦パスを送り、走りこんだのはFW矢口隼樹だった。リンク中央を独走すると、ゴール前で右に動き、バックハンドで押しこんだ。駒大スポーツの記事によると狙い通りだったらしい。実際矢口は小笠原が奪った瞬間に走り出し、DFを完全に置き去りにしていた。

2ピリの残りは駒大ペース。パワープレーを得て、決定的な場面も何度か作った。追加点はならなかったが、2点リードで2ピリを終えた。

集中した攻守

残り15分、当然学習院が攻め込んでくる。開始22秒でキルプレーとなり、さらに攻勢が強まる……と思いきやそうはならなかった。連戦にも関わらず、しかも前日はよくなかったのに、この日の駒大は集中し、足がよく動いていた。帰陣が早く、ポジショニングも良い、ルーズパックへの反応も早い。前日の試合は一体なんだったのか(笑)。結局このキルプレーはセットを許さず、被シュートは1本のみ。直後33分37秒から再びキルプレーも、今度は数的不利にも関わらず、攻め込む時間が続いた。

この日は攻撃のバリエーションも前日より豊富だった。前日はDZでパックを奪っても単独でドリブル突破するぐらいしか手がなかったが、他の選手の連動も増えた。ここでも渡辺の存在が大きい。矢口と渡辺のホットラインは結成数カ月とは思えないほど分かり合っているように見える。昨年はほとんど見られなかった、ダンプインにFWが走り込み、競る場面もあった。

残り10分を切っていよいよ学習院が攻め込んできた。だが、駒大はスペースを埋め、体を張って対応する。何度かDFをすり抜けてシュートを打たれたものの、今度は菊池が立ちはだかった。菊池は38分頃ステックを落としてしまい、2分以上川野のステックを使わざるを得なくなったが、影響はなし。その状態で湯浅のシュートを止めると、大きく吠えた。

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川野のステックを持ちながら湯浅のシュートを止める菊池

その後も攻め込まれ、湯浅らにシュートを浴びたが、失点しそうな雰囲気はあまりなかった。中央を固めながら、決してベタ引きではない。足を動かし、積極的に前に出てチェックをかけ、相手の自由を奪った。球際の強度も良かったため、学習院は思うようにパスがつなげず、ストレスの溜まる展開だったろう。

残り1分20秒を切ったところで学習院が6人攻撃を仕掛けようとしたが、GK東原大晟が上がろうとするたびに矢口、平入がパック奪取して上げさせない。残り42秒からようやく始まった6人攻撃をしっかり守り、試合終了。決勝リーグ進出を決め選手は喜びを爆発させた。

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期待の持てる内容

試合前の予想はどこへやら、決勝リーグに向けて、期待の持てる試合だった。次の試合が残っているため詳細は控えるが、ポジティブな要素が複数あったと書いておく。
さらに新入部員も3選手が出場し、渡辺は主力として活躍。FW興津源人、DF西田朋生の1年生も即戦力として効果的な働きを見せた。昨年は北米留学で不在だった川野の存在も大きい。スケーティングが向上した上に、動きの質もかなり良くなったように感じた。本場でホッケーIQも鍛えられたのではないだろうか。DFの主力として守備を支えてほしい。

今大会は昨年までの敗者復活トーナメント方式ではなく、トーナメント+決勝リーグで行われる。負ければ終わりのトーナメントを勝ち抜き、今大会残り3試合が保証された。この勝利は単に優勝争いに進んだだけでなく、公式戦だからこその経験を積む機会を得たという重要な意味を持つ。次戦は26日、16:00から2部のライバル昭和大と対戦する。

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