日本人の英語

日本人は少なくとも一生のうちに2500時間「使えもしない英語教育」を受けるのに費やしてしまう。
では、ノンネイティブの日本人がどうすればいいか、というのが以下です。

1)自分の英語の物差しは「TOEFL一択」
IELTSでもケンブリッジ英検でも国連英検でもTOEICでもない。日本人に必要とされるのはアメリカ英語で「一番厳しく」「一番客観的な」英語能力の評価軸がTOEFLスコアです。ここを間違うと取り返しがつきません。

そしてTOEFLは年齢に関係がありません。中学生でも高校生でもTOEFLスコアを自分の英語能力の指標とする必要があります。(仮に英検ができても、TOEICができても、TOEFLで点数が取れないなら、それは英語ができていない、ということになります。ここを間違ってはいけません。「就活にはTOIECが」というのは本当の物差しになるTOEFLからの「逃げの言い訳」です。逆にTOEFLができていれば、英検など受ける必要は一切ありませんし、必要になったらTOEICや英検を一回受ければ点数は取れます。しかし、その逆はありません)

「TOEFLは留学する人のための試験」という理解も間違っています。アメリカの大学の願書にスコアを記入する必要はありますが、それが全てではありません。自分の英語の勉強方法が正しいか、自分の英語力はどれ位かを生涯を通じて測れるのがTOEFLです。

受験の頻度:
50才くらいまで年一回は必ず受け続ける。出題の傾向や配点が随時変わり、それが生きているアメリカ英語を追いかけるトレーニングになります。「必要になったとき受ける」ではダメ。

目標:
105点。達成しなくても問題はなくて、設定することが重要。ここを設定できない人は、一生を「適当な英語」で終えることになります。

補足:
TOEFLは持久力、集中力の試験でもあるので「一度受けるのをやめて35才くらいで再開」みたいなことは非常に難しいです。試験会場に行くと学生ばかり、というのはそういう理由もあります。

2)語彙のゴールに到達する本(サイマルの教育を総合すると)
「この本を終えたら、日本人としての語彙の形成は終わり」という本は以下の2冊です。他のボキャブラリーメイキングの本は一切不要です。
下記を終えるとボキャブラリーは15000位になります。(大学を終えた日本人なら既に10000弱の語彙はあるので、そこに5000上乗せする)

(1)
DUO3.0

多くの人は大学受験で使っているので「あー知ってる」な感じですが、多くの人は使い方を間違っていて、実際はこれ以上に単語の質、例文の質(特に例文の日本語訳)が洗練された本は存在しません。
使い方:
全ての例文と日本語訳を覚える。(単語で細切れで覚えない)
補足:560文章?あるのですが、コツとしては「最初50例文を繰り返しやろう」ではなく、ゆるく560例文全部を流すことです。ゴールまでみて進めるのがポイントです。
※別のときにやり方の詳細を書きます。

(2)
最強の英語ボキャブラリー1700語 語彙力を極める!


アメリカの中学生、高校生が使う辞書の翻訳版です。
サイマルの英日翻訳の先生曰く「この本の単語をすべて覚えたら、日本人としての英語の語彙の形成は終了。そのあと分からない単語が出てきたら辞書で引いても恥ずかしくはない」とのこと。私はここで初めてボキャブラリーメイキングのゴールの話を聞きました。(日本の教育はゴールをセットできていないので、いつまでも変なTOEIC頻出単語集みたいなのを使い続け、人生を浪費する)
本当は、原書(英英辞書)がいいと言っていたけど、私は翻訳版を使ってます。

(参考)
私の英語放浪人生 単行本 – 2019/9/2
成瀬 由紀雄

サイマルの成瀬先生の英語への取り組みを書いた本です。勉強の仕方?向かい方?の参考になります。(英語の参考書ではありません)

(参考)
知的生活の方法 (講談社現代新書)

1時間で読めるので、年に一回くらいは通読すると英語に限らず勉強する気になります。

(参考)多くの人が陥っている英語学習の間違い
1)自分の英語能力が上がっているかの客観的指標を決めていない。
「なんとなくできた気になっている」問題は、TOEFLスコアを指標にする、で完全に解決します。なんとなくな英語で会話している人、なんとなく勉強してる人はTOEFLが上がりません

2)ボキャブラリーのゴール(どこまで覚えたら勉強をやめるか)を設定できていない。
『DUO』と『最強の英語ボキャブラリー1700』で終了。ゴールが設定されると先が見える。

3)日本語訳を軽視しすぎ。
ホントはサイマルの翻訳コースがおススメ。上記『知的生産の方法』にも書いてありますが、翻訳をみれば「正確に英語を理解している」か「適当に理解している」かすぐ分かります。その意味で「英会話」を習う意味はビジネス的には「ほぼない」と思ってよく、行くならTOEFLスクールです。TOEFLのスピーキングパートの勉強で正確な英会話はできるようになります。

英語、日本語、アラビア語について(補足)
1)語彙15000がなぜゴールになるか
英語ネイティブの語彙は概ね20000位です。英語には22万位単語がありますが、英語ネイティブでも、22万語のうち20万語くらいは一生使わないで知らずに終えます。(著作権の関係で資料が添付できませんが、客観的な調査結果です。以下同)
その20000語のうちネイティブでさえ一生にほぼ使わない上位5000語まで日本人が学ぶことはあまりに効率が悪いので、そんな難意語に出逢ったら辞書を引くと割り切ると、日本人が英語を勉強する際は語彙15000位が目標になります。そして、そこから逆算して上記2冊が語彙のゴールになります。(残りの5000を習得するのは理想ではあるが、ほぼ使わないのと、時間対効果を考えると「遭遇した際に辞書を引く」戦略がよい。
因みに、TOEFLのリーディングパートで「ハイポなんとか」とか「古代の地層の名前」とか出てきて「この単語わからないなー」「だからTOEFLは難しい」と不安に思っている人は少なくないと思いますが、ネイティブの先生に聞いたら「この単語は私も分からないから、覚えなくていい」と説明してくれて、私は楽になりました。TOEFLのリーディングは、15000以外または20000以外が入っていることがあります。

2)日本語がなぜ難しいか
 理由1:日本語の日常用いられている語彙は約30000で、英語の20000の1.5倍もある。
 理由2:各言語で「5000語」を覚えた場合、英語なら93.5%、フランス語なら96%の日常会話の単語をカバーできる(要するに日常生活で分からない単語はほぼなくなる)のに対し、日本語で5000語覚えても、日常会話の81.7%しかカバーできない(20%も分からない単語がある)。
この「5000語でカバーできる範囲」が異常に低いのが日本語の特徴です。(英語ならたった1000語覚えれば80.5%カバーできるのに)
 理由3:日本語は日本語ネイティブしか使う事を前提にしていないので、発音記号が整備されていない。特にLとRは、実際我々は両方の発音を使い分けているが、ローマ字では同じになるので、日本語学習者は違いを学べない。例えば「理由(りゆう)」はローマ字表記でRiyuですが、発音はLiyuです。また、「留守(るす)」の発音はLとRのあいだです。「法王(ほうおう)」の発音などはおそらく日本語ネイティブ以外は発音不可能でしょう。ローマ字だとHoo?Houou?いずれにしても実際の発音とは違います。
「橋」と「箸」と「端」はいずれも「はし」だが実際の発音は全部違う。

3)アラビア語がいかに難しいか
アメリカ国務省の指標によれば「母語でない場合に、あとからの勉強でネイティブになるのが実質的に不可能な言語」として日本語、中国語、韓国語、アラビア語が上がっています。
しかしながら、我々日本語ネイティブからは言語圏が近いこともあって中国語や韓国語は習得が容易です。中国語は2年学べば「電話で話していて相手が日本人だとは分からない」と中国人が言っています。発音記号(ピンイン、四声)も完璧に整備されていますし、中国語は一つの漢字は一つの発音しかないので、日本人にとって習得は容易です。また韓国語は、在日韓国人の子供(日本語ネイティブ)は中学校(韓国人学校)に入ってゼロから韓国語を学びはじめますが「習得には半年」と設定されています。日本語と語順も同じ(らしい:在日の友人談)。
そうすると、日本人にとって日本語、中国語、韓国語、アラビア語の中で唯一残る言語は「アラビア語」ということになります。
アメリカ国務省の資料によると44週1320時間でアラビア語はレベル2(限定的Limited working)です。
日本人が英語習得に使う時間は2500時間程度なので、生涯かけて英語の半分の時間を費やしても限定的なアラビア語しか習得できない、ということで、なかなかハードルが高いです。

(補足)
因みに私は以前、麻布にあるサウジアラビア大使館附属?のアラブ イスラーム学院でほんの少しイスラム語をやりましたが、世界観が違い過ぎて・・・という印象で、文化理解という観点では非常に貴重な学びになりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?