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脂肪吸引手術後の死亡事故を受けて

こんにちは!
今日も僕のnoteをお読みいただきありがとうございます。

みなさんも、ニュースでご存知かもしれませんが、
脂肪吸引手術後に患者さんが死亡された事故がありました。

美容医療クリニックとして
こういうニュースを聞くと緊張しますし
医療の安全性について考えさせられます。

今回はこの事故を受けて、
美容医療を受ける患者さんは何に注意したらよいかについて
お伝えしたいと思います。

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■脂肪吸引がなぜ死亡事故につながるのか?

2月半ば、顔の脂肪吸引手術をした男性が出血により
お亡くなりになったニュースが流れました。
顔の脂肪吸引をした翌日、顔が腫れた様子の写真を
クリニックにも送っていたようですが、
処置が間に合わなかったようです。

脂肪吸引は人気の施術ですが、
残念ながらこのような
いたましい事故につながることがあります。

聖心美容クリニックでも脂肪吸引は行いますから、
このような事故があると手術の安全性について
考えさせられます。

脂肪吸引による事故の原因は、
吸引した部位にもよります。
例えば、お腹の場合、吸引管によってお腹を貫通した上に
腸管が損傷して腹膜炎を起こすケースがあります。

こうしたリスクを避けるため、お腹の脂肪吸引を自粛する、
あるいは経験豊富な医師でないと行わない方針のクリニックもあります。

今回の事故のように、頬、顎下(二重顎)の脂肪吸引では、
主に出血が原因になります。
顔は血管が非常に多い部位なので、
出血をすると気道や気管が圧迫され、
窒息などのトラブルが生じることがあるのです。

では、異常な(=普通ではない)状態を防ぐためにどうしたらよいのかというと、
症状があったとき、いかに適切に速やかな対処ができるかに尽きます。

頬、顎下の場合、原因が出血なので、
お腹よりも症状が早くあらわれます。
ですから、何かおかしいと思ったら、すぐに行動することが重要です。

例えばクリニック内で発生したとして、
気道が圧迫されている場合、気管挿管が必要ですが
それが難しいときは、気管を切開しなければならないことがあります。
このようなとっさの判断ができるためには、
外科医としての経験や知識が必要だと思います。

■異変を感じたら、すぐにクリニックへ連絡

手術がきちんとできたことを前提として、
頬や顎下の脂肪吸引をして、腫れが気になったら自己判断せず、
すぐに病院に連絡することが重要です。

脂肪吸引をすると、少なからず出血が起こり
腫れることがありますが
今、起こっている腫れが、果たして正常範囲かどうか
患者さんがご自身で判断するのは極めて難しいでしょう。

まずは、執刀医の病院に連絡をして様子を知らせるべきです。
できれば、写真を撮って送ると
正常範囲かそうでないかの判断材料になります。

また、腫れの症状があったとしても、
手術を受けたクリニックが対処できることがありますが、
緊急を要する場合、間に合わないときがあります。
まずは執刀医のいるクリニックに連絡し、
どの病院に行くべきか、救急病院の方がよいかなどを
確認してください。

最も悪いのが、
「このまま様子を見よう」と放置してしまうことです。
少しでも気になることがあれば、絶対に放置せず
クリニックに連絡すること!
これが大事です。

■感染症のリスクにも注意

美容外科の治療では出血以外にも
感染症のリスクがあります。

感染症の場合、菌の種類によっては潜伏期間が短く、
2、3日以内に痛みや腫れ、強い赤みなど、
急性的に症状が生じることがあります。

美容外科手術では入院することが少ないので、
帰宅してから症状が出るケースがほとんど。
特にその手術が初めてだった場合、自分の術後経過が正常なのか、
異常なのか分からないのが通常でしょう。

自己判断は禁物です。
くれぐれも、緊急病院に行くのが不安で、
1日様子を見ようなどと考えず、医師の指示に従ってください。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のような事故があると
美容医療といえども、
僕たちは人命を預かっているのだと考えさせられます。

どんなに細心の注意を払っていても、
事故は起こり得るものです。
万が一、事故が発生したときに、
どう行動するべきか、十分な対策が必要だと思います。

外科の経験がなくても
美容外科医になれてしまう日本。

外科の経験があれば
皮膚の下の状態を目で見る機会がありますが
その経験がなければ、
皮膚の下がどうなっているか分かりませんよね。
見たことがあるのとないのとでは、
施術に大きな違いがあるのは当然のこと。

患者さんには治療を受ける前に
ドクターの経歴をきちんと確認していただきたいと思います。

次回は、非外科的な治療によるトラブルについて
お話しします。

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