見出し画像

サッカーに関する素敵な文章 ― ハラリの『サピエンス全史』より

ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』がドイツのベストセラー棚にあったので、読み始めた。

152ページに、サッカーを比喩に用いながら書かれている部分があった。サッカーに関して、ここまで素敵な文章はあんまり見ないので、手書きで書き写してしまった。忘れないうちに大ざっぱながら訳を残しておく。

我々はサッカー選手としてこの世に生まれてくるわけではない。進化は脚、足、目をもたらした。我々は、これらを使って走り、ボールを蹴り、ボールがゴールに入るように働きかけることができるだろう。だが、それだけではせいぜいペナルティキックをトレーニングできる程度だろう。
近場のグラウンドで、居合わせた人々と一緒になってサッカーをプレーするためには、これまで会ったこともない他の10人の人たちとうまく連携するだけでは成り立たない。我々は、対戦チームの11人が自分たちと同じ種目のゲームをプレーすることを知っていなければならないのだ。
他の動物たちの攻撃的な特徴的な動作は、本能によって操作される。子犬たちは、他の子犬たちとじゃれ合う能力を備えた上で生まれてくる。だが、我々は新生児として生まれてくるときに、はじめからサッカーをプレーできる遺伝子を備えているわけではない。それにもかかわらず、我々は見ず知らずの他人ともサッカーをプレーできている。それは、我々全員が、サッカーがどんな競技なのかを学習したからだ。
サッカーというゲームは、人間の想像力の産物に過ぎない。だが、我々全員がそのイメージをシェアし合えれば、サッカーというゲームを成立させ、互いにプレーし合うことができる。

個人的には、この文章の中にいろんなヒントが詰まってるなあ、と感じている。サッカーと直接関係ないところにヒントはごろごろ転がっている。余談だが、ようやく仕事と関係ない本を読んだりするぐらいの体力的余裕が出てきたので安心している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?