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ほぼ一定強度でも、数分〜10分程度で全力を発揮する運動種目(陸上競技の中距離走、競泳、ボート競技)では、運動時のエネルギー供給を有酸素性代謝だけでなく、無酸素性代謝にも依存するため、両能力が高いことがパフォーマンスの成否を分ける。このときのエネルギー供給量は酸素摂取量だけでは評価できないため、酸素借などによって無酸素性エネルギー供給量を評価する。


無酸素性エネルギー代謝では、糖が酸化され代謝産物として乳酸が生成される。このような状況において、乳酸濃度を決定するのが乳酸の除去(酸化)能力である。除去能力が高ければ乳酸濃度が急上昇することなく、運動が遂行できる。同時に乳酸による酸性化を中和する緩衝能力(乳酸耐性などと呼ばれ、高乳酸状態での運動遂行能力)の向上も高強度の全身運動には欠かせない。


このような全身持久力を反映するのが、最大乳酸定常(maximal lactate steady state, MLSS)と呼ばれる指標である。MLSSは血中乳酸動態で乳酸値がほぼ4mmol/Lに相当する強度(OBLA)と一致すると言われている。

※酸素借

運動を開始すると、必要なエネルギーを生成するために酸素摂取量が上昇する。しかし、その運動に必要な酸素摂取量に達するまでに、通常数十秒の時間を要す。その間、無酸素性のエネルギー供給によってエネルギーをまかなうことになり、これを酸素借と呼ぶ。一般に酸素借は運動強度が高強度になるほど大きくなる。

※OBLA

onset of blood lactate accumulation
血中乳酸蓄積開始点。血中乳酸濃度が4mmol/Lのときの運動強度。

医療従事者向けオンラインコミュニティ「KIUZKI」共同代表 『将来、「自分事」として働いていけるようにするために、現状の課題を知り、学び、互いに高め合っていく仲間を募集中』 https://xpert.link/community/1412