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【実用レビュー】SONY α7CR をメイン機として一ヶ月使ってみた

SONYから新しくコンパクトなフルサイズ高画素機「SONY α7CR」が発表されました。

SONY α7CR

コンパクト機の「α7C」の後継機なのに、まさかの高画素機でびっくり。別途、α7IV系の通常画素のモデルもあり、そちらは「α7CII」となるようです。

ソニーマーケティング株式会社より発売前の「α7CR」を貸していただき、約一ヶ月間メイン機としてみっちり使用しました。

機能紹介はYoutubeなどで皆さんやると思うので、私は果たしてコンパクト機の「α7CR」はメイン機として使えるのか?「α7RV」と比較しながら実際の使用感の観点で説明したいと思います。

◾️外観

正面

左:α7CR  右:α7RV

α7CRは軍艦部がなくスッキリとした印象。従来のα7CやZV-E1と似たようなデザインですが、フロントダイアルが追加されており、操作性は大きく向上しています。

背面

左:α7CR  右:α7RV

α7CRには小さいながらもファインダーがあるのは嬉しいです。ZV-E1にはなかったので、日中の眩しいときとかちょっと不便でした。ファインダーの画質はα7RVと比較してしまうと差はありますが、必要十分であると感じます。

操作性に大きく影響するポイントとして、α7CRにはAFポイントを操作するマルチセレクターがありません。そのため、AFポイントを移動する際はコントロールホイールを使うのですが、操作切り替えのために中央ボタンを一度押す必要があります。AFポイントを移動するのに一手間増えることになるので、α7RVと比較すると操作性は下がります。私は普段フォーカスエリア「スポット:S」をメインで使っており、マルチセレクターを多用していたので操作に慣れるまでちょっと戸惑いました。

もっとも、AF性能がAIによりかなり進化しているので、普段から「ワイド」で使ってカメラ任せにした方が良いのかもしれません。被写体認識がとても優秀なので、ポートレートなどはカメラ任せの方が使いやすいです。カメラが進化した分、人間側の運用方法も見直しも必要ですね。

液晶モニタ上をタップすればAFポイントは指定できるので、ライトな使い方であれば問題ないでしょう。

α7CRの液晶モニターはバリアングルです。α7RVと同じ四軸モニターを期待していましたが、厚さや重さを考えると仕方ないのかな。

あとは「C3」と「AEL」ボタンがないですが、特に問題ないと思います。

上部

左:α7CR  右:α7RV

「C2」ボタンがないことと、背面ダイアルの位置がちょっと違うくらい。最近のソニー機は動画と写真の切り替え方法が統一されたようですね。咄嗟に切り替えやすくなったので、写真⇔動画の使い勝手は良くなっています。

側面(右)

左:α7CR  右:α7RV
カバーを開けた状態

グリップの厚さはかなり違いがあります。大型のレンズを使用する際はα7RVの方が安心感がありますが、FE 70-200mm F2.8 GMクラスならα7CRでも不安は感じることはありませんでした。小型ですがしっかりホールドできます。

α7CRは右側面に機能はなにもありません。α7RVはメディアスロット×2があり、CFxpres Type AとSDカードが両用できるスロットになっています。2枚挿しできるのは安心できますね。

そういえば、α7CRには拡張グリップが付属していました。コンパクト機なのにグリップを付けてわざわざ大きくするのもなんか違うと思ったので、結局一度も使用しませんでした・・・。三脚を多用するのでアルカスイス互換のプレートを使っているというのも理由の一つです。

側面(左)

左:α7CR  右:α7RV
カバーを開けた状態

本体はα7RVのほうが四軸モニターの分、分厚いです。

α7CRはこっち側にメディアスロット×1がありますが、使用できるのはSDカードのみとなります。

一番の問題はα7CRにはレリーズ用のマルチ/マイクロUSB端子がないこと。つまり、有線のレリーズは使用できないので、Bluetoothのワイヤレスリモートコマンダー「RMT-P1BT」を使うしかありません。

◾️機能・性能

α7CRはα7RVの性能がほぼそのまま引き継がれた感じです。画素数は6100万画素。AFもα7RVと同じ。手ぶれ補正は7段で1段だけ少ない。

コンパクトなのにこの性能はすごいの一言です。

α7RVゆずりの良いところとしては

・バルブタイマー
通常、バルブ撮影はシャッターを押した分だけ、シャッターが開きます。自分の手で押す長さを調整するか、タイマー付きリモコンなどで調整する必要がありました。バルブタイマー機能は、カメラ側で任意の値を設定できます。たとえば60秒とか、120秒とか設定できるので、星景写真の前景を撮影するときに便利に使えます。

・RAWの高感度ノイズ低減 切
ソニーのセンサーはRAWレベルでの高感度ノイズリダクションがデフォルトで有効になっており、たびたびスターイーターが問題として挙げられてきました。
α7RVではRAWでも高感度ノイズ低減を「切」に設定できるようになり、スターイーター問題を解消できるので星を撮影する人にとってはありがたい機能となっています。α7CRでも「切」にできました。
ただし、「切」にすると結構カラーノイズが出ます。ダークフレームを撮影して自分でノイズを消す処理をしなければならないので、ガチの星屋さん以外はデフォルト設定の「標準」のままで良いと思いでしょう。

さて、α7RVと違いがあるのは

・8K動画撮影
α7RVでは8K 24P 4:2:0 10bitで撮影可能でしたが、α7CRではできません。放熱を考えると小さいボディサイズでは厳しいのかもしれないですね。4K 60P 4:2:2 10bitでの撮影はできるので、α7Cでは使うのを遠慮してたS-log3撮影ができるのは嬉しいです。

なお、ZV-E1の動画で選択できた「ダイナミック手ぶれ補正」は搭載されていませんでした。ただ「ダイナミック手ぶれ補正」はソフトウェア補正なので、画質が犠牲になります。実際、周辺はかなりモヤっとした感じになります。

ソニーのサイト「Master Cut(Beta)」でソフトウェア的な手ぶれ補正は後からできるので、「ダイナミック手ぶれ補正」がなくても問題ないと感じました。一手間増えますけどね。


・連写性能
α7CRの連写速度はHi+で8コマ。7RVは10コマと差があります。さらに、バッファ量に大きな差がありました。

同じSDカード(Kingstone SDXCカード V90 128GB Read300MB/s Write260MB/s)を使い、ドライブモード:連続撮影 Hi+で何枚連写できるかテストしてみました。

※Hi+の理論値は8コマ秒ですが、サイレント撮影(電子シャッター)にしたため最高7コマ秒までさがります。さらにロスレス圧縮RAW Lにしていると連写数は5コマ秒程度まで下がるようです。

※シャッター速度やレンズなど条件は全て同じ条件でテストしています。

・α7CR バッファ切れまでの連続撮影数: 39枚 約7.5秒
・α7RV バッファ切れまで連続撮影数: 124枚 約24秒

同じSDカードでもかなり差があることがわかります。ちなみにα7RVにCFxpress Type Aを使用すると無限連写できました。

高画素機でそこまで連写するのか?ということになりますが、鳥など動き物を撮影する場合は気になるかもしれないですね。

テストに使用したSDカードはこちらです。ずっと愛用していますが、Read300MB/s Write260MB/sでとても早く、コスパ最高です。

PROGRADEの方が有名ですが、こちらはRead300MB/s Write250MB/sの128GB。値段もちょっと高いです。

動画も撮るなら256GB以上がほしいところ。お好みでどうぞ。

あとは先にも述べましたが、

・メディアスロット数の違い
 ・α7CR:SDカード×1
 ・α7RV:CFxpress Type A+SDカード ×2
仕事で使うことを考えると、メディアスロットは2つあった方が安心感があります。

ちなみに現在、CFxpress Type Aでもっともコスパが高いのは「PEARGEAR」260GBで26,300円(さらに10%OFF)。セールだと22,000円台になることもある。

カードリーダー付きのタイプ(29,999円 さらに10%OFF)もあるので、持ってなければそっちのほうがお得ですね。

安心感を求めるならProGradeになるかな。160GBで38,000円。セールだと30,400円。

α7RVを使い場合は、この辺がおすすめになります。

使用感

これまで3年ほどα7RIVをメインで使っいたのですが、率直な感想としてα7CRでも違和感なく使えました。マルチセレクターがなく、ボタンも少ないですが、ちょっと使ったらすぐに慣れたので許容範囲と思います。

「コンパクトである」というのはすごく大きいメリットで、特に軍幹部がないのでカメラバックからの取り出しがスムーズ。少しでも軽量化したい登山では重宝しそうです。

一点だけ残念なのはレリーズ。花火の撮影でBluetoothの純正リモコン「RMT-P1BT」を使用したのですが、バルブ撮影が「1回押してスタート→1回押して解除」という操作になります。

スターマインのようにボタンを押したり、離したりを繰り返すようなときに、ミスが起きやすく、最初の頃はミスしまくりでした。柏崎花火→長岡花火→酒田花火→赤川花火と撮影するうちに慣れてミスは減りましたが、不安感は残ります。

また、「RMT-P1BT」の問題と思いますが、電池が少なくなると操作できなくなることが頻発します。電源入れ直しなどで復活するのですが、ちょっと安定性に欠けるところがあるのが困りどころ。長岡花火の最中にレリーズが効かなくなり泣きそうになりました。(その後、1日ごとに新しいボタン電池を入れ替える運用で回避しましたが、ボタン電池は常備が必須です)

というわけで、有線レリーズは使えるようにして欲しかったな・・・というのが正直な感想です。

作例

高画素機ならではの描画はα7RVと変わりなく、現像の感じも同じでした。

※Lightroomがまだ対応していないので、SONY ViewerからTIFF書き出し→Lightroomで現像としています。

α7CR撮影:桃川のおたきさま
明暗差のある環境でも広いダイナミックレンジで階調豊かに表現できる
α7CR撮影:赤谷連続同門
かなり暗い環境でも被写体にしっかりAFしてくれる
α7CR撮影:梅花藻
50mm F1.2という浅い被写界深度でも、狙ったところにピントを合わせてくれる。
α7CR撮影:酒田の花火
ハイライトからシャドーまでしっかり描画してくれる
α7CR撮影:長岡花火 天地人
繊細な花火も高画素機ならではの描画を楽しめる
α7CR撮影:赤川花火
手前の稲穂までしっかり描画してくれている

まとめ

実は、α7RIVからα7RVに買い換えようとしていた矢先に、α7CRの話が来たのでどっちを買うかかなり悩みました。

悩んだ挙句、α7RVを買ったのですが、理由としては

①有線レリーズが必要
今後も花火撮影はするので、レリーズの安定性は必須と考えました。

②CFxpressを使いたい
もともとα7RVを買うつもりだったので、AmazonのセールでCFxpressを購入済みだったのです。連写はそれほどしないので、α7CRでも十分だったんですけどね。

それだけの理由です。

なので、花火を撮らない人、CFxpressでなくても良い人、連写しない人はα7CRで良いと思います。

α7CRは高画素機なのに気軽に使える機種に仕上がっていると感じました。出てくる写真や動画はα7RVと差はないので、コンパクトで高性能を求める人にはピッタリだと思います。

このサイズにα7RVが詰まっていると考えると、すごいことです。まさにリトルモンスター。

もう一台、α7CIIも出たのでさらに悩ましいですね。そっちはまだ触っていないので、そのうちテストしてみたいと思います。

α7RVのサブ機として有力な候補になると思うので、楽しみです。

次回は、α7CRの設定について紹介したいと思います。それではまた。

機材貸出:ソニーマーケティング株式会社

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