肩凝りなのか寝違えたのか今となっては忘れてしまったが、数年前にやたら首筋が痛むことがあった。自分でなんとか痛みを取ろうと首をさすってみるが、まったく効果がない。

整体の資格を持つ父に施術を頼んでみたが、父はケガで右手中指の先を失っていて、それ以来うまくできないのだと断られた。

さていよいよなじみの整体の先生のところへ行くべきかと迷っていたとき。足の指の一本に、凝りを見つけた。

他の指はなんともないが、その指だけがひどく凝っていて、無性にもんだりこすったりしたくなる。こするとコリコリとした感触があり、そこを中心に指をこすると、止められないくらいイタ気持ちいい。

「足ツボ」とか「反射区」というのは私も知識としてあったから、この足指の凝りがもしかしたら首の痛みに繋がっているのかもしれない――と、うっすらそんなことを思った。でも、そんなことって本当にあるのか？　と半信半疑でもあった。

とりあえず今はっきりしているのは、この足指にコリコリがあって、こするととてもイタ気持ちいいということ。ならば徹底的に付き合いましょうと、自分の気が済むまでひたすらこすり続けることにした。

30分くらいやっていたと思う。
突然コリコリが、ふっと消えた。
お、と思ったその直後、今度は首が、すぅっとした。

なんだ今の「すぅっ」は、と顔を上げると、今まで痛くて重かった首が、軽くなっていた。痛みもすっかり、なくなっていた。

びっくりである。

以来私は足ツボや反射区といったものへ、不思議に思いつつも、ちょっとした信頼感を抱くのである。

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そして今回、また首が痛い。寝返りを打とうとしたらビキッとかたまったり、首を回すと後頭部にビリビリ響いたりする。日に日に痛みと不快感は増し、そろそろ整体へ行くべきかと迷っていたが、雪が降ったりと出かけるのは億劫だった。

そこで足ツボのことを思い出し、久々に足の裏や指を念入りに押して調べてみた。

案の定、一本の指に凝りを発見。だけど足裏反射区をネット検索すると、その指は首や肩の担当ではなかった。ただ単にその指が凝っているだけか？　と思いつつも、とりあえずもみほぐしを開始。

お風呂上がりにしばらくもんだが凝りは取れず。湯冷めしてきたので、その日はあきらめた。

翌朝。私の体に変化が起こった。月の物がいきなり全開で来たのである。足指マッサージと関係あるかは、もちろんわからない。ただ私の場合、月の物が来るときは必ず前触れとして下腹部の張りや痛みがある。今回はまったくの無痛で、突然、清々しいくらい全開で始まった。

一方、首はというと、相変わらず痛みはあった。ただ、ピークは越えた感があった。足指マッサージのおかげかは、私には判断できない。ただ自然にピークを越えただけの話かもしれない。

その後も毎晩マッサージを続けると、３日後にはかなり回復していることに気づいた。マッサージを始める前は、ひどいときでは鎮痛剤に手を出すほどだったのに。

５日目の朝には、首を回すと軽快にパキッと鳴った。しつこく残っていた痛みの根っこも、後頭部へ響くビリビリも完全になくなった。

これで雪の中整体へ行かなくて済んだし、爽やかに新年を迎えられる。

――と思ったら、揉み返しなのかシモヤケなのか、今度はマッサージしていたその足指自体が、赤くなってちょっと痛くなってきた。何事もほどほどが大事である。