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【読書日記】ギルガメシュ叙事詩

岩波書店
訳:月本昭男

※ネタバレあります。

<要約>

ギルガメシュが暴君だったので、人々は神に「彼に対抗できる誰かを作ってください」と願った。
神がエンキドゥを作った。
エンキドゥは動物に交じって暮らしていたが、聖娼シャムハトによって人間らしくなり、ウルクにやってくる。
ギルガメシュとエンキドゥは戦い、決着がつかず、友人となる。
二人はフンババの棲む森に向かい、フンババを倒して香柏を伐採する。
フンババ討伐に成功したギルガメシュに女神イシュタルが求愛するが、ギルガメシュが突っぱねる。
怒ったイシュタルは父のアヌに天牛を使うよう頼み、実行される。
しかし天牛はギルガメシュとエンキドゥによって殺される。
フンババと天牛の殺害により、エンキドゥは死ななければならない。
エンキドゥの死を悲しみ、死の恐怖に取りつかれたギルガメシュは永遠の命を求めて荒野をさまよう。
酌婦シドゥリから助言を得たギルガメシュは、舟師ウルシャナビの協力を得て、不死の人ウトナピシュティムに会う。
ウトナピシュティムはかつて大洪水の際に方舟を作って生き残った。
ウトナピシュティムの妻の助言でギルガメシュは若返りの草を手に入れるが、水浴びをしている間に蛇に取られてしまう。
失意のまま、ギルガメシュはウルクに戻る。

ここまでが一連の流れ。
第1~11の石板。
12の石板もあるけど、それはちょっとスピンオフっぽい。

プックとメックという木製品があり、ギルガメシュのお気に入りだった。
ギルガメシュはそれらを冥界に落としてしまい、エンキドゥが取りに行く。
色々言いつけを守らなかったせいでエンキドゥは冥界に囚われてしまうが、神エアの助力で戻ってくる。
以下、ギルガメシュとエンキドゥの対話形式で、冥界の様子が語られる。
プックとメックが結局どうなったのかはわからない。

<思ったこと>

訳注に聖書への言及が多い。
聖書からは逃れられない。
メソポタミア神話の方が成立は古いので、聖書より神話勉強した方が基礎が作れそう。

ギルガメシュとエンキドゥが仲良しすぎてちょっと引いた。
フンババも天牛も二人で倒したのに、ギルガメシュばっかりちやほやされる。
それなのに、エンキドゥはそんなに怒ったり文句言ったりしない。
許すのか……。
エンキドゥが死んだときのギルガメシュの落胆ぶりがすごい。
それまでエンキドゥについて言及しなかったじゃん。
そんなに好きだったんか。
ツンデレか。

総じて古代メソポタミアの文学は、はじめから作品として文書化されたのであり、それが読まれ、書き写され、改編されて、最終的なかたちをとった

らしい。
初めて知った。
吟遊詩人や琵琶法師がいたんだと思ってた。

上記のとおり石板に楔形文字で刻まれて、色んな版があるわけだけど、
標準版ではフンババなのが、古バビロニア版その他ではフワワになってるのが気になった。
地域が変われば表記や発音やそもそもの伝承が違うだろうから、不思議ではないんだけど、語感があまりに違う。
フンババだと悪そうだし強そう。
フワワ……かわいい。
ギルガメシュとフワワだったら、明らかにギルガメシュの方が悪者っぽい。
名前って大事だ。

<まとめ>

訳注も充実してるし、色んな版の翻訳が一冊で読めて比較もできる。
解説も初心者にやさしい。
導入として良書だと思った。
とりあえずここからかなって読んでみたけど、『ギルガメシュ叙事詩』のベースになった話がたくさんある。
『エヌマ・エリシュ』とか、『アダパ物語』とか、何が書いてあるんだろう。
メソポタミア神話として勉強した方がいいらしいということがわかった。

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