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【読書日記】バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎/光文社新書

<概要>

著者は昆虫学者で、サバクトビバッタを研究している。
アフリカへ渡ったところから、研究の失敗・工夫・成功、アフリカの文化や仲間のことが書かれている。

<感想>

単純に知らないことがたくさん書かれていて面白かった。
サバクトビバッタは大群で草を食べ尽くす災害らしい。
バッタを研究しに行ったのに、バッタが全然発生しない。
生物を相手にするとはこういうことかと思った。

村の子どもたちにバッタを捕まえさせたら、数をごまかされたり、強くつかみすぎてせっかくのバッタが死んでしまったりする。
同じ観点を持っていないと、単純作業でも任せられないことは多い。
分野を問わずあるあるなんだな。
応用すれば簡単に登場人物の間に確執を作れそう。

貯金が尽きてきて、どうしようかというところで京都大学の白眉プロジェクトに通るところがドラマみたいだった。
著者の運なのか実力なのか……両方なんだろう。
運命の女神は準備ができている人のところに降り立つらしいから。
なんだかできすぎてる気はするけど、事実は小説より奇だからしょうがない。

アフリカ文化は全然触れたことがなかったから、小さなエピソードが面白かった。
歯磨きの木とか、太っている=美人なので幼い頃からめちゃくちゃ食べさせるとか、へーって思った。
今のところアフリカの話を書く予定はないけど、たとえばファンタジー世界を書くときの一助になると思う。

ファンタジーってついヨーロッパか中国になるんだよね。
実際どうなんだろう。
ファンタジー界隈ではアフリカ系モチーフさえ、もはや新しくはないのかもしれない。
でも中華よりは少ないだろうから、異世界を書くときに思い出せるようにしておきたい。

バッタが出現しないからって腐らない著者はすごい。
たくさんいるゴミムシダマシを研究し始める。
こういうところが研究者としての才能なんだと思う。
うまくいっていないときに何ができるかが大事。
見習わないといけない。

新しい知識も得られたし、大事なことも書かれていたし、良書だと思った。


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