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音を聴く、読む、感じる

マガジン『ホームスクール、まなびのエッセンス』
#12

Essence:乳児期の成長発達(音)


 ひさしぶりに更新するマガジンシリーズです。数年前に別の所に書いた内容ですが、目に止まったので追記して転載します。


《音》は、単に音であるということだけではありません。

 音には多くの情報が含まれています。

 耳に響く音として届いてこない情報も、聴く力、読み取る感性、受け取る感性によっては「聞く」ことをします。
 心地よい音、不快な音、心がわくわくする音、不思議だと感じる音。身体に沁みる音。響く音。姿形を想像する音。体験と経験の間でいったりきたりしながら、その感性が深まっていくものなのでしょう。

 音を聴く力、音を聴き分ける力、音を感じる力。

 どれももともと持っている能力なのでしょうが、それらを身体機能に同期させて使いこなしていけるかどうかは、環境によるところは大きいのではないかと思います。
 不要なものだと判断して失われていく能力も、実は知らないところでたくさんあるのかもしれません。特に「目からはいる」情報に気をとられがちです。眼鏡で矯正することがあたりまえな社会においてはますますその傾向は強いのかもしれません。そんなことを思います。


 赤ん坊はお座りができるころにじ~っと1点を見つめたまま微動だにしないときを過ごす日が増えます。

 あれはちょうど『聴覚』が著しく発達している時期で、私たちが耳を澄ませると体の動きを止めるのと同じかなと思います。美しい音、暮らしの音、自然界の音、さまざまな音に出会ってほしいものですね。

 人の声という音も、人の数だけ、気持ちの数だけ、シーンによっても声のトーンはたくさんあります。聞き流すだけでなく、そこに、なにかしらのコミュニェーションが生じると、「音と出会う」ことになるのかな。

『視覚が育つ』『感覚が育つ』『嗅覚が育つ』

 どれも同時に同じ速度で成長するのではなくて、それぞれが順繰りに交代しながら成長するのだそうです。聴覚が集中的に成長を見せた後に、次は視覚へ、あるいは嗅覚へと、その感覚を自覚して、意識して、それで成長がみられるという具合のようです。

聴覚のこと

 人は、音が出ている対象物を顔の中心に合わせようとするらしいのです。そのためには「どこから音が出ているのか」を認識しないとできませんから、耳をすませて、音の出所を探ろうとしますね。

 聴覚の成長を阻害する環境要因として次のことがよく指摘されています。

・常に点けっぱなしのテレビ
・常に鳴りっぱなしのレジオや音楽、ステレオ

 聴覚が発達する過程の途中で、四方八方から同時に音が聴こえてくるので、「人(親)の声を他の音と区別する」ことはコミュニケーションを取ることからも非常に銃なのですが、それが困難にな状況に置かれているのだといいます。音量の判別がつかなくなるし、音の質の区別がつかなくなるのだとか。あまりに一偏に同時に大量の情報が流し込まれてしまい、その交通整理が困難になってしまうんですね。

 結果、すべてが雑音(ノイズ)のままで認識してしまい、音としてそれぞれを判別して認識する能力を獲得する機会が失われている…ということなのでしょう。

 こういった乳児期の成長発達を阻害する要因は、現代社会にはありふれていて、意識して排除する、意識して環境を整えるという課題があります。意識するかしないかの差、その結果は…とてつもなく大きいと言われています。

 例えば同じ植物でも置かれた環境で茎の太さ、葉の力強さが違います。日陰で芽を出せば、茎をぐんと伸ばして太陽を求めるような成長を見せます。日向で芽を出した植物と同じ種類なのに、目に見える成長の姿はまるで違うんですね。人もそういうものだと考えるわけですが、環境が違うために別の成長を見せるその柔軟性を受けとめる環境が、現代社会では「一律」「画一的」「利便性」のなかで削られていっているように感じます。

 高度に成長発達した社会に生きる今、個体の持つ性質”個性”と環境のバランスのとりかたは、個々の差異が大きく、強烈な個性をうむ要因にもなっているかもしれませんね。

 実のところ、「発達障害」と診断されたこどもたちの多くはこのいわば生育環境に依拠するところが大部分であり、先天的な脳の障害による(これも胎児期のアレルギー的反応の結果だとも言われていて、先天的とはなにか?と思う部分ではあります。)真正の発達障害と診断できるケースは、そのうちの7%以下とも言われています。つまり多くの「発達障害」と偽診断されている子らは、適切な刺激や運動で、本来の成長発達を再度トレースできるといいます。それを感覚統合というようです。

 学び直しなんていいますが、感性も学び直しをするのかもしれません。


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