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【2】『義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』『 不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』-不登校児童生徒への支援の在り方について (通知) 令和元年10月25日による変更点を検証

「不登校児童生徒への支援の在り方について」(平成28年9月14日付け文部科学省初等中等教育局長通知)から更新された内容はどのようなものか。検証しました。
変更点は太字で表記しています。
〔〕内で、更新や追記箇所を記載しています。


(別記1)
義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて


1 趣旨
不登校児童生徒の中には,学校外の施設において相談・指導を受け,社会的な自立に向け懸命の努力を続けている者もおり,このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たす場合に,これらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。


2 出席扱い等の要件
不登校児童生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき,下記の要件を満たすとともに,当該施設における相談・指導が不登校児童生徒の社会的な自立を目指すものであり,かつ,不登校児童生徒が現在において登校を希望しているか否かにかかわらず,不登校児童生徒が自ら登校を希望した際に,円滑な学校復帰が可能となるよう個別指導等の適切な支援を実施していると評価できる場合,校長は指導要録上出席扱いとすることができる。〔「当該施設への通所又は入所が学校への復帰を前提とし,かつ,不登校児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断される場合に,校長は指導要録上出席扱いとすることができる。」より変更〕
(1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
(2)当該施設は,教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関とするが,公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は,民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。
 ただし,民間施設における相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であるかどうかについては,校長が,設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。このため,学校及び教育委員会においては,「民間施設についてのガイドライン」(別添3)を参考として,上記判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましいこと。
(3)当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。
(4)学校外の公的機関や民間施設における学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には,当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり,また,評価の結果を通知表その他の方法により,児童生徒や保護者,当該施設に積極的に伝えたりすることは,児童生徒の学習意欲に応え,自立を支援する上で意義が大きいこと。なお,評価の指導要録への記載については,必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるのではないが,児童生徒のおかれている多様な学習環境を踏まえ,その学習状況を文章記述するなど,次年度以降の児童生徒の指導の改善に生かすという観点に立った適切な記載に努めることが求められるものであること。〔新たに追記〕

3 留意事項〔新たに追記。通知文の内容通り。〕
(1)義務教育段階の学校は,各個人の有する能力を伸ばしつつ,社会において自立的に生きる基礎を養うとともに,国家・社会の形成者として必要とされる基本的な資質を培うことを目的としており,その役割は極めて大きいことから,学校教育の一層の充実を図るための取組がもとより重要であること。すなわち,児童生徒が不登校になってからの事後的な取組に先立ち,児童生徒が不登校にならない,魅力ある学校づくりを目指すとともに,いじめ,暴力行為,体罰等を許さないなど安心して教育を受けられる学校づくりを推進することが重要であること。
(2)不登校児童生徒への支援については児童生徒が不登校となった要因を的確に把握し,学校関係者や家庭,必要に応じて関係機関が情報共有し,組織的・計画的な,個々の児童生徒に応じたきめ細やかな支援策を策定することや,社会的自立へ向けて進路の選択肢を広げる支援をすることが重要であること。さらに,既存の学校教育になじめない児童生徒については,学校としてどのように受け入れていくかを検討し,なじめない要因の解消に努める必要があること。その際,保健室,相談室及び学校図書館等を活用しつつ,徐々に学校生活への適応を図っていけるような指導上の工夫が重要であること。また,いじめられた児童生徒又はその保護者が希望する場合には,柔軟に学級替えや転校の措置を活用することが考えられること。

4 指導要録の様式等について
上記の取扱いの際の指導要録の様式等については,平成31年3月29日付け30文科初第1845号「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」を踏まえ,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び児童生徒が通所又は入所した学校外の施設名を記入すること。〔「 上記の取扱いの際の指導要録の様式等については,平成22年5月11日付け22文科初第1号「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」のとおりとする。」より更新〕



(別記2)
不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知)
17文科初第437号
平成17年7月6日の廃止に伴う変更点について太字で記載しました。
その他、全文を通して「IT」表記から、「ICT」に変更されています。


1 趣 旨
不登校児童生徒の中には,学校への復帰を望んでいるにもかかわらず,家庭にひきこもりがちであるため,十分な支援が行き届いているとは言えなかったり,不登校であることによる学習の遅れなどが,学校への復帰や中学校卒業後の進路選択の妨げになっていたりする場合がある。このような児童生徒を支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たした上で,自宅において教育委員会,学校,学校外の公的機関又は民間事業者が提供するICT等を活用した学習活動を行った場合,校長は,指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができることとする。

2 出席扱い等の要件
義務教育段階における不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行うとき,当該児童生徒が在籍する学校の長は,下記の要件を満たすとともに,その学習活動が,当該児童生徒が現在において登校を希望しているか否かにかかわらず,自ら登校を希望した際に,円滑な学校復帰が可能となるような学習活動であり,〔「学校への復帰に向けての取組であることを前提とし,」より変更〕かつ,当該児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断する場合に,指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができる。
(1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
(2)ICT等を活用した学習活動とは,ICT(コンピュータやインターネット,遠隔教育システムなど)や郵送,FAXなどを活用して提供される学習活動であること。
(3)訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること。対面指導は,当該児童生徒に対する学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われるものであること。
(4)学習活動は,当該児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。なお,学習活動を提供するのが民間事業者である場合には,〔平成15年5月16日付け文科初第255号通知「不登校への対応の在り方について」における⇒削除〕「民間施設についてのガイドライン(試案)」(別添3)を参考として,当該児童生徒にとって適切であるかどうか判断すること。(「学習活動を提供する」とは,教材等の作成者ではなく,当該児童生徒に対し学習活動を行わせる主体者を指す。)
(5)校長は,当該児童生徒に対する対面指導や学習活動の状況等について,例えば,対面指導に当たっている者から定期的な報告を受けたり,学級担任等の教職員や保護者などを含めた連絡会を実施したりするなどして,その状況を十分に把握すること。
(6)ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは,基本的に当該児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること。なお,上記(3)のとおり,対面指導が適切に行われていることを前提とすること。
(7)学習活動の成果を評価に反映する場合には,学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること。


3 留意事項
(1)この取扱いは,これまで行ってきた不登校児童生徒に対する取組も含め,家庭にひきこもりがちな義務教育段階の不登校児童生徒に対する支援の充実を図り,社会的な自立を目指すものであることから,ICT等を活用した学習活動を出席扱いとすることにより不登校が必要な程度を超えて長期にわたることを助長しないよう留意すること。
(2)ICTを活用する場合には,個人情報や著作権の保護,有害情報へのアクセス防止など,当該児童生徒に対して必要な事前の指導を行うとともに,その活用状況についての把握を行うこと。その際,ICTの活用について保護者にも十分な説明を行うとともに,活用状況の把握について必要な協力を求めること。
(3)教職員や不登校児童生徒の教育に関する専門家以外の者が対面指導を行う場合には,教育委員会や学校等が適切な事前の指導や研修,訪問活動中の援助を行うなど,訪問する者の資質向上等に努めること。
(4)出席扱いの日数の換算については,学校や教育委員会が,例えば,対面指導の日数や学習活動の時間などを基準とした規程等を作成して判断することなどが考えられること。
(5)ICT等を活用した学習活動の成果を評価に反映する場合の指導要録への記載については,必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるのではないが,児童生徒の学習状況を文章記述するなど,次年度以降の指導の改善に生かすという観点に立った適切な記載がなされるようにすること。
また,通知表その他の方法により,児童生徒や保護者等に学習活動の成果を伝えたりすることも考えられること。
(6)このほか,本制度の活用に当たっては,別紙を参照すること。


4 指導要録の様式等について
上記の取扱いの際の指導要録の様式等については,平成31年3月29日付け30文科初第1845号「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」を踏まえ,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び児童生徒が通所又は入所した学校外の施設名を記入すること。
〔「4 指導要録の様式等について
上記の取扱いに伴い,平成13年4月27日付け文科初第193号「小学校児童指導要録,中学校生徒指導要録,高等学校生徒指導要録,中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校,聾学校及び養護学校の小学部児童指導要録,中学部生徒指導要録及び高等部生徒指導要録の改善等について」の別紙第1,別紙第2,別紙第4-1,2,4及び5の「指導に関する記録」中〔出欠の記録〕について,それぞれ次のように改めることとする。」

(1)「5 出席日数」の「また」以下を次のように改める。
「また,不登校の児童が適応指導教室等学校外の施設において相談・指導を受け,又は自宅においてIT等を活用した学習活動を行ったとき,そのことが当該児童の学校復帰のために適切であると校長が認める場合には,出席扱いとすることができる。この場合には,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び児童が通所又は入所した学校外の施設名や自宅においてIT等を活用した学習活動によることを記入する。」

(2)なお,上記(1)中「児童」とあるのは,別紙第2,別紙第4-2及び5にあっては「生徒」とする。」から更新〕

(別紙)(※新通知に伴う)
指導要録上の出席扱いに係る積極的な対応の留意点

1 ICT等を活用した学習活動とは例えばどのようなものがありますか。
○ 「ICT等を活用した学習活動」には,インターネットのほか,郵送や電子メル,FAXなどを活用して提供されるものも含まれ,例えば次のような例があります。
・民間業者が提供するICT教材を活用した学習
・パソコンで個別学習できるシステムを活用した学習
・教育支援センター作成のICT教材を活用した学習
・学校のプリントや通信教育を活用した学習
・ICT機器を活用し,在籍校の授業を自宅に配信して行う学習(同時双方向型授業配信やオンデマンド型授業配信)

2 在籍校の校長が,出席扱いについて有効・適切であると判断する場合の基準がありますか。
○ 一人一人の児童生徒の状況や学校,地域の実態が違うため,文部科学省から一律の基準を示すことはしていません。しかし,児童生徒の努力を学校として評価し,将来的な社会的自立に向けた進路選択を支援するという趣旨から,学校や教育委員会において一定の基準を作成しておくことは必要であると考えます。
また,既に基準を作成している場合でも,それが古いものであれば,今の時代の状況にあったものになるよう見直すことも検討すべきです。

3 当該生徒が指導要録上の出席扱いになることにより,具体的にどんなメリットがありますか。
○ 不登校であることによる学習の遅れなどが,学校への復帰や卒業後の進路選択の妨げになっている場合もあることから,このような児童生徒に対し,学習等に対する意欲やその成果を認め,適切に評価することは,自己肯定感を高め,学校への復帰や社会的自立を支援することにつながります。

4 訪問等による対面指導は誰が行えばよいですか。
○ 対面指導を行う者としては,在籍校の教員やスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーなどの専門家のほか,教育支援センターの職員,教育委員会等による事前の指導・研修を受けたボランティアスタッフなども想定されます。

5 計画的な学習プログラムとはどのようなものですか。
○ 学年や個々の学習の理解の程度に応じたものであり,在籍校の年間指導計画に準拠した形で月ごとや学期ごとなどある程度長期的な計画になっていることが望ましいと考えています。民間業者が提供する教材を活用する場合などは,あらかじめ決められている学習プログラムを活用してもかまいません。

6 学習活動の評価はどのようにすればよいですか。
○ 出席扱いとした場合,必ずその成果を評価に反映しなければならないわけではありませんが,すべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載できない場合でも,たとえば自宅における学習状況を所見欄に文章記述するなど,学習の努力を認め,次年度以降の指導に生かすという観点から適切な記載がのぞまれます。
また,民間業者が提供する教材やインターネット上の学習システムを活用する場合は,当該教材の学習履歴や学習時間,確認テストの結果などに基づいて評価を行うことも考えられます。

7 指導要録上の出席扱いと判断しなかった事例がありますか。
○ 出席扱いと判断しなかったケースについては,教育委員会への聞き取りから,例えば次のような事例を把握しています。
・学校が,家庭訪問等による対面指導を設定したが,家庭の協力が得られないことから,当該児童の状況や学習状況の様子が十分確認できなかった。
・無料のインターネット学習プログラムを利用していたが,当該プログラムにおける学習のねらいや内容が明確でなかった。

8 出席扱いと判断した場合に,留意すべき点はありますか。
○ 自宅におけるICT等を活用した学習活動を「出席扱い」とすることにより,不登校が必要な程度を超えて長期にわたることを助長しないよう留意する必要があります。家庭にひきこもりがちな期間が長期化しないよう,個々の児童生徒の状況を踏まえつつ学校外の公的機関や民間施設等での相談・指導を受けることができるように段階的に調整していくことも大切だと考えます。


参考事例

【1】教育支援センターとの連携

(1)学習活動の内容
教育支援センターであらかじめ学習プログラムを内蔵しているパソコンを貸し出し,同プログラムの計画に沿って自宅学習ができるようにしている。これによって,一人ひとりの学習履歴を管理することもできる。
(2)対面指導
教育支援センターの支援員が家庭訪問をするなどして面談するほか,在籍校の教職員による家庭訪問も定期的に実施している。ICT学習支援として研修を受けた対面指導員が,対面指導を行うこともある。
(3)保護者との連携
教育支援センターの支援員が家庭訪問をするなどして保護者とも面談しているほか,教育支援センターから学校に毎月報告書を提出し,それをもとに学校が保護者とも学習状況の確認・共有をしている。
(4)出席扱いと評価
教育支援センターからの報告書等に基づき,学習内容や学習時間を踏まえて学校長の判断で出席扱いにしている。通知表の所見欄にコメントとして記載する場合もある。


【2】民間の学習教材を活用

(1)学習活動の内容
民間業者が提供するインターネット上の学習教材を活用し,同教材における個人に応じた学習計画(教科書に準拠したもの)に沿って自宅学習をしている。
(2)対面指導
担任や学年主任,SSWが週1回(必要に応じてそれ以上)家庭訪問している。
(3)保護者との連携
担任等が定期的に電話連絡や家庭訪問を行い,学習状況等の聞き取りや取組へのアドバイス等を行っている。
(4)出席扱いと評価
学習内容や学習時間を踏まえて学校長の判断で出席扱いにしている。学校と民間の学習教材とでは評価基準が異なるため,別途学校の課題プリントを送付し,その取組内容を確認して所見の評価としている。



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