ガーシー議員が除名になった時、国家賠償請求は出来るのか?
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
今日はこちらのニュースから。
減税には全く関係のないニュースなのですが、国会と司法の立ち位置を学ぶ良い機会なので取り上げたいと思います。
そういった趣旨の記事ですので、ガーシー議員の除名に賛成か反対かとか民意がどうとかいう話は無関係ですので、そういった議論は他所でお願いします。
さて、冒頭のニュースでもあるように、
ガーシー議員が仮に除名となった場合、党は国家賠償請求を起こす
としています。
この除名処分は、憲法58条2項の
を根拠に行われる処分です。
一方、憲法55条には
とも書かれています。
この「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する」と書かれている通り、
議会には議員資格に関する裁判
というものが存在し、この裁判については各議院の自律権によって「各議院が自主的に決定できる」となっています。
ものすごく簡単に言うと
議員資格に関する裁判は議院で行うものであって、裁判所は判断しない
ということです。
「司法権の限界」といって、憲法55条で定められた「議員資格争訟裁判」には裁判所による司法権は及びません。
ということなので
ガーシー議員が仮に除名となったとしても国家賠償請求を起こすことは不可能である
と言いたいところですが、実はそうとも限りません。
なぜなら、除名処分は憲法55条ではなく、憲法58条2項の
を根拠に行われる処分だからです。
両憲法とも「出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする」というものですが、なぜわざわざ分けてあるのでしょう?
その秘密はどうやら
憲法55条の「議員の議席を失はせるには」
と
憲法58条2項の「議員を除名するには」
の違いにあるようです。
憲法55条は「議員の議席を失わせる資格に関する争訟」の「議員資格」とは「資質」ではなく、「被選挙権年齢を満たしていない」とか「外国籍だった」などの「法に定められた資格」を指すとされています。
一方、憲法58条2項の「議員の除名」は、議院規則を破ったり、院内秩序を乱したりしたことに対してのものです。
そして議員の処分に関して、過去の判例では
議員の除名処分については、司法審査が及ぶ
というものがあり、「国家賠償請求を起こすことは可能」という解釈があります。
ただ、前述した判例は地方議員のもので、国会議員の除名に対する国家賠償請求は前例がありません。
なので「国会の議院の自律権」は別レベルの話だとして
ガーシー議員が除名されても司法介入は出来ない
という解釈もあります。
これはこれで大いに考えられる話かと思います。
私はこれになるんじゃないかと考えています。
どうであれ、このままいくと除名の回避はほぼ不可能であることと、国会議員の除名に司法が及ぶかどうかの前例はないということ、仮に国家賠償請求が争われるならこういった点が論点になると思って頂けたらと思います。
最後の付け加えておくならば、もし機会があれば別で記事にまとめてもいいですが、ガーシー議員の処分は決して強引なものではなく、手順を踏んで慎重に行われてきました。
また3月8日に用意された本会議での陳謝に登院せず、前日の7日にその代わりにとしてガーシー議員の意思で公開された「陳謝動画」において
と自分の口で謝罪し、さらに
と語っていますから、これまでの自身の行動が憲法58条2項の条件を満たしていること、そして8日の本会議場での陳謝が事実上の最後のチャンスだと理解したうえで登院しなかったと指摘されても言い逃れは出来ないでしょう。
ですので仮に国家賠償請求によって司法権が及んだとしても、それが認められる可能性は限りなくゼロだと思います。
ということで、この先しばらくはこのニュースが世間を騒がせると思うので、国会と司法の関係を考えながら報道を追うと違ったものが見えるかもしれません。
この処分の件は登院しなかったことによって「院内の秩序を乱し、本院の信用を失墜させたこと」のみが論点です。
彼にかけられている容疑などの話は全然別の話ですので、混同せずに客観的に見ることが大切でしょう。
あと、私は法律の専門ではありませんので、解釈等違う点があればご指摘頂ければと思います。
では、今日の記事はここまで!
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