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所得税の確定申告 事業所得3   「減価償却」

(以下文章は誤って削除したため、再投稿します。そのため、投稿日が違いますこと、ご了承ください)

 皆さん、こんにちは。税理士ラベンダーです。
 早いもので2024年もすでに1月が終わり、2月に突入しました。
 月日の経つのが年々とてつもなく早く感じるのも、寄る年波のせいでしょうか。

 さて今回は、国税庁コールセンターでも質問の多い「減価償却」について投稿します。
 会計ソフトなどを使っている場合は、一見すると簡単そうに見えますが、償却期間がある程度経った最後の償却はかなり厄介な場合があります。
 また、中古資産を取得した場合、一括減価償却資産、少額減価償却資産など、取扱いも複雑です。
 ここでは、ひとつひとつ見ていきたいと思います。


1.減価償却とは

 まず「減価償却」とは、何か。
 建物・機械・車両などの固定資産は、一般的には時の経過によってその価値が減少します。その減少額を費用化し、必要経費として計上するのが「減価償却」です。

2.償却方法

 償却方法には「定率法」と「定額法」があります。
 確定申告期限までに「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を所轄税務署長に提出している場合は、その届出た償却方法を使えばいいのですが、殆どの場合、届出てないと思うので、この場合は「定額法」の採用となります。
 なお、建物・建物付属設備・構築物には、現在は「定額法」が強制適用されます。

3.取得時期(平成19年4月1日起点)により異なる計算方法

 さて、ここから少し複雑になります。
 平成19年4月1日を起点に、それ以後に取得した場合と、それ以前に取得した場合とでは、同じ償却方法を採用したとしても計算方法が異なってきます。

 「定額法」が多く採用されるので、「定額法」についてのみ以下に説明します。
①定額法  
  平成19年4月1日以後取得分  
     取得価額 × 償却率
②旧定額法 
  平成19年3月31日以前取得分   
     取得価額 × 0.9 × 償却率

①の場合、(取得価額 - 償却累積額)が1円になるまで償却しますが、
②の場合、取得価額の95%まで償却した残り5%(未償却残高)を、5年間均等償却し、最終年度残存価格1円を残して償却します。
 (例)建物 10,000千円    
    償却累積額 9,500千円
    償却費 
 (10,000千円 - 9,500千円)÷ 5 
       = 100千円/年
    最終年度償却費 
  100千円 - 1円(残存価格) 
       = 99,999円

 なお、定率法の計算はより複雑になるので、ここでは省略します。
 

4.中古資産を購入した場合

 まず中古資産を購入した場合、当然ながら耐用年数(通常、利用できる年数)が新品のものと比べて短くなります。
 そこで、まず最初に把握するのが「中古資産の耐用年数」です。
 次のケースに分けて、耐用年数を計算します。

① 法定耐用年数(税法による耐用年数)の全部を経過しているとき
   法定耐用年数 × 0.2
② 法定耐用年数の一部を経過しているとき
   法定耐用年数-経過年数 × 0.8
 (1年未満切捨て、2年未満の時は2年)

 そして、この計算式によって求められた耐用年数に応じた償却率を乗ずることにより、減価償却費を求めることとなります。

5.10万円未満の減価償却資産

 取得価額が10万円未満又は使用可能期間が1年未満のものは「消耗品費」として全額経費にできます。

 なお、取得価額の判定は1台、1個など、通常1単位として取引される単位で判定します。

6.一括償却資産

 取得価額が20万円未満の資産を購入した時には、3年間で取得価額の合計額の1/3減価償却費として計上できる特例が使えます。

 これは、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」であれば自動計算してくれます。

7.少額減価償却資産(青色申告者のみ適用可)

 青色申告者は取得価額が30万円未満の資産を購入した時には、その全額必要経費に算入できます。
 1年間、最高300万円までが認められます。

 

 以上になります。
 また、国税庁の「耐用年数表」と「償却率表」を添付しておきます。

 耐用年数表  2100_01.pdf (nta.go.jp)
 償却率表   2 質疑応答事例 (nta.go.jp)
   

 減価償却の計算は、なかなか複雑で苦労している人も多いかと思います。
「確定申告書等作成コーナー」で計算もできる場合もありますので、上手に利用するのもいいと思います。

 2月12日と22日は申告時期のため、お休みします。
 予定としては、3月にお会いできればと思います。インボイス制度による初めての課税事業者のための消費税申告を取り上げたいと考えています。
 これには、前回説明した青色申告決算書・収支内訳書が必要になりますので、その準備も進めておいてください。
 ちなみに令和5年分消費税の申告期限は、令和6年4月1日です。

 それでは、最後まで読んで頂いてありがとうございました。

(参考文献)
所得税の確定申告の手引 清文社
確定申告の書き方  KADOKAWA

税理士ラベンダー
24.2.2

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