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#タクシードライバーは見た「仕事中のちょっとしたご褒美」

僕にとって、タクシーで乗務中のご褒美は甘いものを食べることでも
ラーメン屋を巡る事でもない。

たまたま見た景色だ。

こんなことを書くと、いかにもブログなどを書いている感性豊か系のホンワカした宙に浮いた奴に見えてしまうが、きっと共感してもらえることだろうと思っている。
とりあえず見たモノを無理やり良いように表現して良しとするのではなく、普段は見れない、1年のうち数回あるかないかの出来事だから。

その日は特に変わったこともなく乗務をしていた。
何か面白い出来事でも起きれば
とは常に思っているが、一日30組乗せたところで毎度起きる訳でもない。

夜8時ごろになり、そろそろ22時以降の割増時間前の休憩に入ろうと思いながら走っていると一人外国人の男性が手を上げた。
お乗せすると、千葉の方。
高速を利用してくれということだった。

何も起きなくても、単純に高速に乗る仕事は嬉しいし有り難い。
休憩前のラッキーなお仕事に少々胸躍らせながらレインボーブリッジを渡り、湾岸線で千葉方面に走っていた。

湾岸線沿いには観覧車のある葛西臨海公園やディズニーリゾートが並んでいる。
ディズニーランドのそばを通るだけでもなぜかワクワクするが、走っていると高速の視線の先に光が上がっていくのが見えた。
それはディズニーランドの方から。

光は上がり切ると一瞬消え、パっと一輪の花を咲かせたのを皮切りに満開の華が立て続けに咲き乱れた。

そんな表現は置いといて、高速の進行方向の視線の先で花火が打ちあがった。
しかも首を振る必要がないくらい丁度目の前。

ディズニーで花火が打ちあがるタイミングで高速を走ることは初めてだった僕は心の中では大喜び。
案外長かった距離もあっという間に送り終えた。

そんな、たまたま見れるご褒美が僕は嬉しい。

今回の高速同様、他にも高速に乗っているときの話で、
首都高3号(渋谷~三軒茶屋~川崎~町田方面)を神奈川方面に向けて走ると
ちょうど真っ直ぐ見た先に富士山が位置している。
それを見れる時も嬉しい。
基本的に高速でそこを利用するのは夜の時間帯が多いため見る事はないが、
まだ明るい時間にその方向へ行くお客様をお乗せすると、富士山が見える。
しかも天気が良くないと見えない。
そこに夕焼けが重なると更に最高のご褒美になる。

夕焼けをバックにした富士山や花火を見ながら、高速を使って遠くへお客様をお送りする。
ちょっとじゃなくて最高のご褒美。

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