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「高速を降り間違うと地獄へ続くよう」タクシー運転手のしくじり話

こんにちは、タクシーをエンタメにしています。
ヨナシロです。

本日も、タクシー運転手のしくじりシリーズをお送りします。

タクシー運転手の起こす間違いの定番のひとつに、高速道路のコース間違いや降り場の場違いがあります。
芸能人の方々がエピソードで話すのを聞いたことがあるかもしれませんが、
タクシー運転手ならほぼ全員が一度は経験していることだろうと思います。

僕も、一番最初に高速を使ってお客様をお送りする際に間違えました。

ハッキリ言います、地獄です。
一度降り間違えばすぐに降りることが不可能な高速では、間違っているのを分かっていながら進み続けなければなりません。

その間、誰の助けを受けることもできないまま、
間違えられたお客様との密室で最悪な空気が車内を流れ続けます。

もう一度言います、地獄です。

その時のお話です。

ーーー

僕がタクシー運転手をはじめた今から約2年半前、
まだ分からないことだらけの、初めての一人営業の日だった。
日中は特にミスを起こすことは無く、深夜を迎える。

高速を使って遠方に帰るお客様をお乗せしたことがなかった僕は、
どこに行けばそんなお客様に出会えるのだろうと思いながら、
タクシーを走らせていた。

すると、まったくひと気のない、暗い場所で手が上がる、
一軒屋だけ飲み屋があるからそこで飲んでいたのかもしれない。
50代ほどのおじさんだ。
恐る恐る乗せてみると、酔っ払いで呂律が回っていない。
行き先を伺うと

客「ヤビガオカ」
僕「はいっ⁉」
客「カウソクつかって」
僕「あ、すみません、お客様~、最初のところが聞き取れなかったのでもう一度お願いしておも宜しいでしょうか?」
客「ん~?ヤビがおか、」
僕「や、やびがおか?ですか?」

“やびがおか”なんて地名、聞いたことはない。しかし、まだ初めてである僕にとってはどこかにあるのかもしれないと思うような地名。
もう一度ハッキリと聞き取るために聞く。

客「ユャビ、が、丘」

お客様的には点を打って聞きやすくしてくれているが、
言葉自体がユなのかヤなのか分からない。

僕「ゆ、ユビガ丘ですか?」
客「そう」
僕「かしこまりました」

今度はしっかりと聞き取って、こちらも復唱した。
「ユビガ丘」と言われた地名だが、全く分からないためナビを入れてみる。
しかし、出てこない。
“指が丘”でも“ゆびヶ丘”でも“ユビヶ丘”でも出てこない。
もう一度聞くことになった。
その時点で、お乗せしてからその場で一分ほど停車している。
でも、お客様をお乗せしてから行き先を聞いている間の時間は
なぜかものすごく待たせているような気がしてならない、
急いで聞いてみた。

僕「お客様~、ユビヶ丘という地名がないのですが、本当に」
客「だから、ユディが丘って」

先ほどとまた聞き取り方が変わった。
ビではなくディに変わっている。
これはユビヶ丘ではないことを感じた僕は、きちんと聞くためにもう一度聞く。

僕「ユディが丘ですか?電車だと何線とかってありますか?」
客「んぁ~?ユディが丘、オダキュウだよ」
僕「小田急線ですか、ユディガオカ、ユディ、百合ヶ丘ですか!?」
客「そう、小田急線の百合ヶ丘」

なぜだろう、こちらが認識した途端、お客様の発音は変わらないのに
はっきりと「小田急線の百合ヶ丘」と聞こえた。

小田急線がどの方面に走って、百合ヶ丘が大体どの辺なのかは頭にあったが
どういうルートかは全く浮かばない。
お客様の住所でナビを入れ、出発することになった。

客「えっとね~、中央道通って~、稲城で降りて、稲城大橋渡って」
僕「稲城で降りて、稲城大橋で、かしこまりました」

念のためナビは入れているが、お客様からは高速の降り口と降りてからのコースを指定された。
中央道は分かるが、稲城という場所で降りたことがない。
初めての一人乗務で緊張はしているが、幸いなことに、以前住んでいた地域と近い上に、別のお仕事でその周辺を運転したことがある。

ほんの少しだけ安心感があった。

何事もなく高速の入り口へと行き、高速に乗ることになった。
初めての高速仕事だ。心は高鳴る。
幾らぐらい行くんだろう~。
まだおおよその金額も予想できないが、とにかくワクワクしていた。
お客様は熟睡し、あとは目的地までナビ通り送るだけ。

ただ、ひとつだけ問題がある。

稲城という場所で降りたことがないということだ。
一抹の不安を感じながらも、ナビの安心感に心を寄せ、稲城へと向かっていった。

続く。


予告
ユビヶ丘という知らない地名を言われながらもなんとか「百合ヶ丘」という地名を聞き取れたヨナシロ。
ナビに心を寄せながら中央道の降り場「稲城」をめざしていた。
しかし、事件は起きる。
僕「(あれ、これ降りていいのかな、、、あ、
  ヤバイヤバイヤバイあーっ!)」
信頼できるはずのナビだったが、そのナビがヨナシロを困惑させる。



ーーー

「どうすればタクシーを面白く出来るだろう?」
そんな疑問を解きながらタクシーをエンタメにしていくこの活動の進展を書くコンテンツです。
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「『琉球國物語(仮)』製作記」というオマケ付きです。

本日は
『エンタメの地方創生』
という記事を更新。

“挑戦、失敗の記録”
“絵本、漫画等のストーリーや制作秘話”
“マル秘コンテンツの進展”

タクシーをエンタメにしていくためのアレコレを現在進行形でお伝えしています。

何もない今の状態からタクシーをエンタメすることを目指す奮闘の記録です。
いずれメンバー間でお仕事に繋げられる場所になれればと思っています。


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