#タクシードライバーは見た「人に見える」
夜になると、視界が悪くなる。
それに加え、疲れから視力も低下してくる。
出来るだけ近づかないと、しっかりと見たものを認識できない。
「あっ手を上げているっ」
そう思ってハザードを付けて近づくと、木である。
その後、
「あっ、お客様みつけた」
と思ったら、木である。
「なんだよ!」
と思っているうちに、本当に手を上げている人を通り過ぎてしまう。
木だけではない、街中の、道路わきに立っているものだったら
なんでも人に見える。
時たま、何かの紐がなびいていたりするが、
それなんてまさに手を上げて呼んでいるように見える。
「おい、なんだあれ!」
そう口に出してしまう。
そう、車内で一人、人に見えた、人に見えないというくだらない遊びが行われている。
そしてまた、お客様を見過ごしてしまう。
「あー、やっちまった」
タクシーを覗いてみると、独り言を喋っているのが見えるかもしれない。
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