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移動がコンテンツ化していく中での、タクシーの価値。

本日はエンタメ的記事ではなく、エンタメに繋がる前の現実と未来の話を投稿していきます。

タクシーの未来の話

現在、東京のタクシーの後部座席前にタブレットが順次装備されています。

そこでは乗客に合わせて広告が流され、「タクシーの乗車体験を向上させたい」を目的として移動のコンテンツ化が進んでいます。

トヨタが発表した「e-Palette(イーパレット)」では、移動手段としてでなく飲食店舗やホテルでの用途も見据えています。
アマゾンやピザハット、ディディ、ウーバー、マツダが既に初期パートナーとなっています。

日産はDeNAと共同で、新しい交通サービスとなる「イージーライド(Easy Ride)」を発表しており、シンプルに言うと“自動運転のタクシー”として実現へ近づいています。


DeNAは他にも、EasyMileと共同で「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」と呼ばれるラストワンマイル(タクシーでいうほぼワンメーター)を無人バスで移動できる交通システムを開発しています。

この他、様々な企業が“移動の変革”へ取り組み、概念が変わるのは時間の問題です。『MaaS』という言葉と共に世界は猛スピードで変革しています。


「MaaS」(マース)とは、「Mobility as a Service」の略。
自動車や自転車、バス、電車など、全ての交通手段を単なる移動手段としてではなく一つのサービスとして捉え、シームレス(=継ぎ目のない状態)につなぐ新たな移動の概念。
2015年のITS世界会議で設立された「MaaS Alliance」によると、「MaaSは、いろいろな種類の交通サービスを需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合すること」と定義されています。


「MaaS」だけで見れば、タクシー運転手が全く必要なくなるようには思えませんが、
日産・DeNAの「イージーライド(Easy Ride)」はタクシーの無人版ですし
DeNA・EasyMileの「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」はタクシーのワンメーターほどの距離の移動を担います。

低速走行や、高速走行より自動化が難しいとされている中速(一般道)の自動運転化はまだ先のように思え、タクシー運転手の職が失われることも分かりやすく現実味を帯びていませんが、確実に実現へ近づいています。

そして、Uber等のライドシェアを規制し、運転手の雇用を守るように見えるタクシー業界も、「乗車体験の向上」は広告が主であり、自動運転が一般に普及し運転が有人でなくなっても利用されるモノへの投資が進んでいます。

分かりきったことですが、

簡単に言うと、タクシー運転手が必要とされる未来はなく、タクシー業界も自らの生き残り(自動運転化されたタクシーの未来)へと動いています。


乗車体験の向上を考える話

僕は違和感を感じていることがあります。

それは、乗車体験の向上についてです。

未来を見据えてテクノロジーへの投資をしていくのは当然のことですし、
完全自動運転化され、いずれ交通事故がなくなり、無惨な出来事がなくなることの方が僕は大事だと思います。

しかし今、このタクシー業界で本当の意味で乗車体験の向上を目指すのであれば、見るべきは利用者であり、その利用者と関わりのあるタクシー運転手だと思います。
(収益面で見れば無料化に繋がる広告は必要だと思います)

タクシー利用者の中には、
子供連れの母やお年寄り、足の不自由な方等、あからさまに雑な態度を取られて嫌な思いをする方がいたり、
そのせいもあってただ利用するだけで「近くてすみません」と気を遣う方が居たり、
たばこの臭いなど不快な思いをする方が居たり、
サービス業として考えたときに最低な状態だと僕は思います。

もちろん、一部の運転手ではありますが利用者はそんなタクシーを選んでしまう状況にあります。
そして、実際に雑な態度を取らなくても、運転手のほぼ全員が近場の可能性のあるお客様に乗車拒否(気付いてないフリですが)を行ったことのある経験はあり、
乗車拒否をしてしまいたくなる仕組み(近場は売上=収入に繋がらない)にもなっています。

絶対に一度も気付いてないフリ(酔っ払い除く)をしたことがない運転手がいればとても凄いですし、それだけ誰でも迎え入れる優しさを持った運転手はもっと評価されるべきです。

もし、信用評価される仕組みがあれば、利用者も運転手も嬉しくなれます。

410円(ワンメーター)は、売上=収入となる運転手にとってどうしても快く思えるものではありません。

多少連続するくらいなら気になりませんが、何度も続くと、近いお客様への態度に出る運転手がいるかもしれませんし、気付かないフリをする運転手がいるかもしれません。
そんなタクシーに乗ったり、乗車拒否された利用者も快く思えません。

しかし、410円の距離でもお客様を大切にする運転手に信用評価が付くようになるとどうでしょうか。

信用度の高い運転手は、その高い信用からいずれ必要とされるようになります。
必要とされる回数が増えれば増えるほど、売上(=収入)にも繋がっていきます。
それを知っていれば、今まで気付かないフリをしていた運転手も、普通に仕事をしていた運転手もサービス向上に努めたくなります。

下図のように、評価の違う三台の空車タクシーがいた場合、どの運転手を選びたいでしょうか?
☆が優で、〇が良で、△が可です。
三台とも予約すれば到着まで5分です。

5分を待てる時間があればどのタクシーを選びたいかはもう自明かと思います。
信用度の高い運転手を選べるようになれば利用者も安心してタクシーに乗ることができる。
仕組みを変えたほうが、両者にとってプラスになると僕は思っていて、
実験も始めています。
(上手くいっていませんが後程説明)

また、信用度に関しては悪い評価を下す仕組みは必要ないとも考えています。
その辺はまた別の記事を書きます。


タクシー運転手が必要とされる価値の話

僕は、タクシー運転手が必要とされる価値はあると思っています。

それが、居場所と人の二つです。

以前、居場所に関して記事を書きました。

現代人の居場所として定義されている、ファースト、セカンド、サードプレイスのもう一つ先、フォースプレイスがタクシーで実現できる。
という内容です。

現代人は悩みを多く抱えています。
特に日本は、物に溢れ、衣食住にほぼ困らない先進国でありながら2019年の幸福度ランキングでは58位という結果です。
⦅G7(先進7か国)で最下位⦆
~~
悩みの中で多いのが人間関係。
付き合いたくなくても付き合わなければならない上司、
どうやって接したらよいのか分からない部下、
関わらないことが最善の選択ではありますが同じ職場である以上そうはいきません。
さらに、
大人になればなるほど出来なくなる“本音を言える友達”
snsで繋がるも、どこかツナガッタ感覚のないフォロワー
それぞれが、悩みを持ち、どこにも打ち明けられない中で、
唯一何を言っても周りに聞かれない場所。
それがタクシー。

“誰にも言えないことを言える”
“一生会わないからこそ打ち明けられる相手になれる”

お仕事の準備や自分がゆっくりと過ごす時間として使うことも、
他愛もないことをドライバーとゲラゲラと話すことも、
誰にも言えないことを話すことも。

電車賃の数倍をかけて移動したその時間、場所が、貴重な存在になります。

実際、そのような居場所として利用している方もいらっしゃって、
noteやブログなど発信している方もいます。

それはフォースプレイスとして認識しているというより、その場を楽しんでいる方ですが、

フォースプレイス

という概念としてタクシーはテクノロジーでは解決することのできない問題を解決する大きな可能性を秘めています。

高齢化の文脈から考えても、お歳を召した方々の人との触れ合いの場にもなり得ます。

漫画のような話ですが、おばあちゃんをお乗せして仲良くなった運転手が、家族もいなく受取人のいないおばあちゃんの資産を譲り受けるということもありました。

タクシーが居場所として必要とされることも珍しくはありません。

そして、もうひとつがです。

人に関してはこちらの記事を書いています。

簡単に言えば、
タクシー運転手×○○
というお話です。
(表現はタレントとなっていますが、テレビに出るタレントになるというわけではありません。)

そして、その〇〇に入るそれぞれの強み(タレント性)とタクシー運転手として強みになるところを移動時間と考えています。

人間には24時間しか時間がない。
あるとき、英会話を習いたい共働きの母がいたとする。
平日、朝は子供を保育園へ送り、9時~18時で仕事をする、仕事が終われば子供を迎え、帰れば食事を作る。
全て終え、自分の時間が出来る頃には疲れ果て習いたい気力が失われる。
そもそも英会話を習いに行く時間はないし、モチベーションも続きにくい。
(通信や電話等の習う手段はあるが今は時間に焦点を当てています)

そんな、時間がない日々を送る現代人が多いこの時代に、いかに可処分時間(移動時間等余っている時間)を有効に活用するかが重要で、そこの強みを持っているのがタクシー。

英語が堪能、もしくは英会話講師としての経験があるタクシー運転手がいれば、上記の母が子供を保育園に送り、迎えに行くその時間を英会話を習う時間に変えることができる。

タクシー運転手×英会話講師 

は必要とされ、英会話が習えるタクシーが生まれる!

他にも様々な運転手がいらっしゃり、心霊体験の多い方、元プロ野球選手、サザンオールスターズさんの元マネージャーもいらっしゃいます。

サザンオールスターズさんの大ファンであれば乗りたくて堪らないはずです!

このような出来事もありました。

プロ野球の大ファンである伊集院光さんが元プロ野球選手が運転手を務めるタクシーに乗った際の話です。

まさにコレだ!という運転手さんも存在します。

このように書いてあります。

話の途中におもむろに渡されたのは、自作の写真集。会津の観光地名所など、ご自身の趣味のカメラで撮影し、アルバムを作成。話ついでに、乗車したお客さんに紹介されているそう。
また、貸切観光タクシーも請け負っているとのことで、普通であれば、運転手さんにカメラを渡して撮影してもらうことはあるが、運転手自らが自身のカメラで、お客さんを撮影、現像などして渡すようにしているとのこと。

この記事で紹介しました京都のタクシー運転手、しまんちゅさんは「全国通訳案内士」という国家資格を持っている同志社大卒の運転手さんです。

(※引用し過ぎてすみません)

とにかく、面白くなる可能性は大いにあり、
タクシー運転手×〇〇の『〇〇』の場所は運転手それぞれの得意なモノや好きなモノが当てはまり
今まで仕事で我慢していた時間も使えるようになります。
そこに前述した信用度の仕組みが追加されればタクシー運転手としてもプラスになり、
自動運転が実現されタクシー運転手という職業が失われる未来が来ても、
今度は好きな分野を仕事に変えていける。

そんな未来のために僕はタクシーをエンタメにしていきます。

僕が今やっているエピソード集めも移動体験を変えるモノであります。


楽しい未来を一緒に見て、創っていきたいです!

頑張ります。


ーーー

~東京の坂図鑑~
桜田通り
国道1号の桜田門交差点から西五反田1丁目交差点までの区間の通称。
中世以前から存在する古道であり、徳川家康によって江戸時代の東海道が整備されるまでは江戸から西への街道であった。
千代田区内の桜田通りは、読売新聞社選定の「新・日本街路樹100景」(1994年)のひとつに選定されている


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