店内BGMを環境音にしてください無印良品さま

無印良品週間が終わり、そこそこよい買い物ができた、と思っている。
しかしどうも、勢いこんで店頭に行ったのに、頭が混乱して買うのをやめてしまって、一部はネットショップで買った。一部は買い損ねた。

別に、商品に迷う理由があったわけではない。
何がわたしを混乱させたかというと、BGMである。

わたしは、今では非常に精度が落ちているが、絶対音感がある。
人間の声は言語として聞こえるので、歌は歌として聞けるが、楽器の音や、機械音のような長く持続する音はだいたい階名(ドレミ)で聞こえる。
というか、そうとしか聞くことができないのである。自分の意思に関係なく、ドレミにしか聞こえない。

先に断っておくが、わたしは音楽的能力や感性を全然持っていない。
むしろ、あらゆる音をド、レ、ミといった記号、文字に自動的に置き換えてしまう、硬直した貧しい感性の持ち主なのだと思ってもらえたら、たぶんわたしの自覚している絶対音感というものに近い。

そういう人間が無印に行って、考えながら買い物をすると、頭の中はどうなるか。

自ドミ立すファファーるポーチドミやっファぱファーいいデラザイシンだドよドーなぁミでシドもドーTPドUミはファ持ぞファーくドミかファのファーう性ラシがドド気ミにシなドドーる

こんな感じになる。考えている側から、無機質なカタカナの文字が流れ込んでくる。
頭の中で考えている言語と、音に乗ってやってきた言語(階名)がぶつかり合うのである。
これはとても集中しにくい。

それでも、この曲はスローなのでまだいい。
(ちなみに「ドミファファードミファファーラシドドーミシドドー」、って旋律の曲、ミとラとシに♭)

動きの細かい

「ラミーミレミーファミレーミファミーミラミーミレドーレドシラソラー
ミソーソファ♯ミソーファ♯ソファ♯ミファ♯ソーミソーソファ♯ミファミレドソドシラー」

の曲の時がきつい。頭の中ごっちゃごちゃになって全然考えられなくなる。

このポーチ欲しかったけど何を入れたかったんだっけ?何に何がちょうどよさそうだったんだっけ?何を確認したかったんだっけ?
わからなくなって、買えないまま帰ってしまう。わざわざメモまで作っていったのに。

無印のBGMはけして嫌いではない。適度に落ち着いていて、適度に体が喜ぶ感じがあって、嫌いじゃない。
でも、体の方は楽しく聞いてるけど、肝心の買い物をするのに必要な力を奪われてしまうのだ。少なくともわたしの場合は、思考をかなり妨げられる音楽である、と感じる。

せめてもう少しボリュームを下げてもらえるか、人間のボーカルを増やしてもらえたら楽になる。

ただ、ボーカルの入ってた

「ファーファファソファミレミファーソラファミレミーファーファファーソファミレミファーソラファミーレ
ファファーミソファミレレミーミーミーミーミミファミソファミレレーファーファーファーファーファファーミソファミレレミーミーミーミーミミファミソファミレレーファーファーファーファー」
(すべてファ♯)

も厳しかったから、やっぱりテンポが速かったり、楽器がボーカルと一緒に主旋律を担ってたらダメかもしれない。

こうやって書きだしているのは少しでもこのカタカナの羅列を負担に感じる感覚を、読む人に伝えたいからだ。
ただそもそもこれだけ書き出せること自体、がっつり曲を覚えてしまっているからであり、店内で、商品に集中させたかった脳のリソースを、それだけBGMに持っていかれているということである。

パチンコやファストフードのお店じゃないのだから、客の思考力を奪い落ち着きを奪うことは、無印良品にとってはプラスではない気がするのだ。客目線で勝手に思っているだけだけど。

たぶん、世の中には楽器よりも人間の声の方が気になる人もいるのだろう。
たぶんそちらが多数派だから、喫茶店なんかは大体ボーカルなしの音楽がかかってるのだと思う。
わたしと逆の感じ方の人だ。正確には、人の声の方がましだというだけで、わたしだって歌にも気は散るのだけど。

とはいったって、わたしは全然精度の低い絶対音感なので(謙遜ではなく事実そう)、わたしレベルの耳の人はたくさんいるはずである。
わたしと同じ感じ方の人も、一応1つのグループを形成するくらいにはいるはずだ。

この相反する二勢力(と、わたしがまだ知らない、さらに別の感覚を持つ人たち)の存在を前提に、最大多数の幸福を考えるなら、ベストなのは環境音や自然音メインにBGMを作ることなのではないか?
あるいは食品コーナーはハッピーめのBGMをかけるけど、収納関係のとこは環境音にするとか。

イヤホンしろよ、で終わる話かもしれないけれど、無印はどちらかというと静かに買い物したいお店なのだ。
Ideeではいつも居心地よく過ごせてるけど、あそこはBGMかかってないのかな?

無印では無音は難しいのだろうけど、環境音はアプリも出していたわけで、けして相性は悪くないと思う。
ホワイトノイズを作るアプリが世にこれだけあるのだから、需要はありそうな気がする。

こんど実際IDEA PARKに投稿してみようかとも思うけれど、とりあえずまずこちらに吐き出しておいた。

しかし、これまでに世に出たありとあらゆるお店において、BGM決定の場に携わった絶対音感の持ち主は1人もいなかったのだろうか?きっといただろうに、どうして現状こうなのだろう?わからない……

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わたしがあなたのお金をまだ見たことのない場所につれていきます。試してみますか?