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テレワークゆり物語 (55)カーリングと北見

「おかあさん、クラスの友だちが、カーリングで海外遠征に行くんだって」

当時、高校生だった長女が、そう教えてくれた。
「えっ? 同じクラスの子? すごいねぇ。」
「うん。ソチの冬のオリンピックを目指してるんだって。」
へー、と反応しつつも、正直、聞き流していた。2010年頃のことである。

2014年、ロシアのソチで開催されるソチ冬季オリンピックに、日本の女子カーリングチームの出場が決まり、そのときの会話を思い出した。

「そういえば、カーリングのお友だちって、ソチのオリンピックにでるん?」
「”さつき”のことだよね。カーリングで名古屋に就職したんだけど、残念ながら予選で負けちゃったみたい。」
「そうか、残念やったねぇ。」
故郷を離れて、挑戦した世界。”さつき”ちゃんは、さぞかしつらい思いをしたことだろう。長女との会話は、また、そこで時が止まってしまった。

2015年、長女の高校の友人”さつき”ちゃん、藤澤五月選手は北見に戻り、本橋麻里さん率いるチーム「ロコ・ソラーレ」に合流。2018年平昌オリンピックに向けて、動き出した。

2017年9月10日。「平昌オリンピックの決定戦がある」と聞き、何も考えずに常呂町のカーリングホールへ向かった(市内とはいえ自宅から43km)。ガラス越しに応援できたらという思いであったが「当日券最後の2枚」をゲット。夫婦で”さつき”ちゃんを応援し「オリンピック出場」の感動を(勝手に一緒に)味わうことができた。

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2018年、平昌オリンピックでの銅メダルの盛り上がりは、皆さんご存じの通り。日本の北の端にある小さな町から巣立った、世界で活躍するアスリートたちの笑顔に、日本国中が魅了された。

私はスポーツに関して、卓球ボウリングも挫折しているが(笑)、
「テレワーク」で地方に人が戻り、地方を元気にすることは、あきらめていない。それどころか、これからの目標でもある。

「田澤さん、お子さん三人とも、もう北見を出て行かれたのですよね?」

と、意地悪っぼく言われることがある。が、堂々とこう答えている。

「はい。子どもたちは、好きな場所で、好きな仕事をしてくれればいい。ただ、もしいつか『北見に帰りたい』と思ったら、好きな仕事をあきらめずに戻って来れる社会にしたいんです。」

※冒頭の写真は、平昌オリンピック後、LS北見が北見の商店街を凱旋したときに撮影


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