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夢のロジックについて

占いは「夢のロジック」を使っている、と思う。夢のロジックというのは、スティーヴン・キングとか村上春樹とかデヴィッド・リンチとかポール・オースターあたりから学んだもので、多分言葉としてはリンチが言っていたんじゃなかったか。

目が覚めている世界では現実世界の論理や物理法則があり、眠っている夢の中では夢の世界での法則がある。現実世界を物理法則が支配しているように、夢の中の世界も完全なデタラメではなく、夢の世界の法則によって組み立てられている。夢の世界を作っている法則が「夢のロジック」。

夢のロジックはフレイザーが言っている「共感呪術」に近い気がする。同じ形のものは同じものとして扱う(形代とか呪いのわら人形とか)、あるものの一部や接触したもの同士は同じとして扱う(わら人形の中にそいつの髪の毛を入れる)、みたいな。

子供のころ、事故や手を切ってケガをした人の話を聞くと、自分の同じ部位にもまったく力が入らなくなる、という体験がよくあった。「共感」っていうと感情を共有して同情する、というような意味に取られそうだけど、こうした「感覚を共有する」イメージの方が近いと思う。

物理的には自分が実際にケガしたりした訳じゃないけど、人の話を聞いて「もし自分だったら」という連想が働いて、感覚が共有される。この連想と共感の力が夢のロジックの源になっている。これがあまりに強く働くと、本当に自分の手からも血が流れ出すかもしれない(これを意図的に、無意識的にやるのが呪術なんだろう)。

村上春樹のなにかの本で、壁を通り抜ける人の話があった。壁抜けは現実世界を支配する法則のもとでは不可能だけれど、夢のロジックの元では可能。その人は現実世界にいながら夢のロジックにアクセスできたので、それができた。と理解している(本の中でどう説明されていたかは覚えてない)。

夢の世界と現実の世界は関わりを持っている。現実の世界で起きたことが夢の世界の材料になっているようだし、その逆もあるみたい。もしかすると現実も夢も、もっと大きなソースから出て来ているのかもしれない。とにかくこの二つの世界は関連がある。

タロットは夢の世界にアクセスするツールの一つで、読み解くときは夢のロジックを使っている。タロットの絵の中は夢のロジックで組み立てられている、と考えていい。夢の世界を通じて現実の世界を認識したり、変えたりする。

夢のロジック、なんていうと難しいもの、習得するために訓練が必要なもの、みたいな感じがするけど、本来人間にとってはとても自然なもので、本当は誰でもそれを理解したり使ったりできるんだと思う。