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いいねがつかないとお気持ちしてしまう厄介リスナーたち

VtuberとSNSは切っても切れない関係にあります。Twitterで配信のお知らせをしたり、InstagramやTik Tokでファン層の拡大を狙ったりなど、その用途は様々。元々、近年はSNSを使いこなすことが特にフリーランスで働く人にとって重要な要素となっていますが、Vtuberも同様、もしくはそれ以上に上手にSNSを活用することが求められます。

そして、VtuberとSNSにおいて最も重要とも言えるのがファンとの直接的な交流です。Vtuberがここまで爆発的な人気を獲得した理由には、動画主体のスタイルから生配信中心へのスタイルに変わったことによる“双方向コミュニケーション”がよく挙げられます。配信者が一方的に話すことをただ聴くだけではなくリスナー側からも発信できる、そこにVtuberの面白さがあるのです。

それは配信を離れた場所でも同じで、Vtuberさんは例えばTwitterでファンに対して“リプ返”をしたり、イラストや切り抜き等の創作物に対していいねやRT等の反応をしたりして、ファンとの交流を図ります。こういった交流をマメにすることでより配信者とリスナーの関係性は親密なものとなり、また、ファンがイラスト等を描くモチベーションにも繋がります。結果としてそのVtuberさんを取り巻くコミュニティは活発になり、自然と活動も円滑に進むようになるのです。

ただし、SNSは良いことばかりではありません。何事にもメリットとデメリットがあるのは当然ですが、SNSにも良い面の裏には目を背けたくなるようなこともあります。

前置きが長くなりましたが、今回はそんなSNSの負の面をTwitterを中心に見ていこうと思います。ぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです。

“エゴサ”はエゴとエゴのぶつかり合いである

今回の記事で重要なキーワードとなるのが“エゴサ”と“空リプ”です。“エゴサ”とは“エゴサーチ”の略称であり、自分自身の名前やあだ名等の“エゴサワード”を用いてツイートを検索することを言います。一方、“空リプ”は“空中リプライ”の略称であり、直接リプライ等を送らずに、普通のツイートの形で特定の相手に対する意見を言うことを指します。特にバーチャル界隈では、Vtuberさんにツイートを見てもらいたい時にはハッシュタグを用いることを推奨されますが、それを敢えて使わずにツイートする方も多くいます。

ここで注目したいのが、“エゴサ”も“空リプ”も互いにエゴによるものだと言うこと。

“エゴサ”は名前に“エゴ”と入っているだけあって当然ですが、自分の名前で検索する背景には自尊心を満たしたいという思いがあります。“エゴサ”で引っかかるツイートは、例えば「○○っていうVtuberさんを初めて知ったけどかわいい」というように、まだそのVtuberさんに興味があるくらいでハッシュタグを使ってまでツイートするほどではない新規の方のものや、逆にある程度親しくなったがために日常的にそのVtuberさんに関するツイートをする分、ハッシュタグを使うのが憚られる方のものであったり様々。単純にハッシュタグを検索するよりもたくさんの自分に関するツイートを目にすることが出来ます。自分のことをツイートしてもらえるというのは、Vtuberさんにとってこの上ない喜び。自尊心を満たす・モチベーションを上げるために“エゴサ”をするという方も多くいるでしょう。

一方で、“空リプ”もエゴの要素が強い行為です。先ほど書いた通り、“空リプ”は普通のツイートの形で何らかの意見を発するもの。「○○ちゃんかわいい」とツイートしても本来はVtuberさんに届くことはありません。それにいいね等の反応があるのはVtuberさんが“エゴサ”をしてくれるからであり、“空リプ”は「ハッシュタグをつけなくても自分の推しなら見てくれるだろう」という思いから行う行為と言えます。

こうして見ると、“エゴサ”も“空リプ”もその裏にあるのはエゴの気持ちであり、自尊心を満たす、あるいはファンとしての自身の立ち位置がよりVtuberさんに近いものであることを確認するための、悪く言えば我の強い行為であることが分かります。そして、エゴの気持ちがぶつかり合うものだからこそ、そこにはトラブルがついて回ります。詳しくは次の項で見ていきます。

“エゴサ”はエゴであって義務ではない

先ほどの項では、“エゴサ”をエゴの要素が強い行為であると書きました。やや批判的な言葉であるように思われるかもしれませんが、基本的には“エゴサ”はファンを喜ばせる行為であり、良い面が大きいものであります。しかし、初めに書いた通りその裏には悪い面もやはり存在します。

“エゴサ”の悪い面と言えば、自身に対する批判的な意見を目にしてしまう可能性があるということでしょう。例えば「○○ちゃんの配信最近面白くないから推し変しようかな」や「○○ちゃん最近いいねしてくれなくなったな…」などといった感じ。そのようなツイートを目にする危険性があるのは“エゴサ”をする以上避けられないもので、ある意味では自己責任とも言えますが、やはりそういった意見を公に見える場所で発信するのは良くない行為。そのVtuberさんを知らない方が目にして、「○○ちゃんという子はそういうVtuberさんなんだ」と余計な先入観を与えることにも繋がります。

そしてもう1つ、これが今回声を大にして言いたいことですが、「いいねが来ないことで杞憂やお気持ちツイートをしてしまう人が出てくること」もあります。

Twitterの検索も万能ではなく、エゴサワードを含んでいるからと言って全てを網羅できるわけではありません。しかし、それを知らずに「あのツイートにいいねがつかないということは○○ちゃんは△△と考えているのかもしれない」とあらぬ想像をしてしまい、自分の頭の中だけで推しの考えを決めつけてしまう方も存在します。これは大変危険な行為であり、一度妄想の種が撒かれるとそれはどんどん膨らみ、膨大になってしまいます。そして推しに対して「○○ちゃんはこうなんじゃないか。ああなんじゃないか」とネガティブなツイートが増えてしまって、それにいいねがつかないことでさらにマイナスな考え方に陥ってしまう悪循環。ハマってしまうと抜け出せない沼のように、沈んでいってしまうのです。

そこからはよりそのVtuberさんに執着するのか、それとも離れる決断をするのかはそれぞれの判断によりますが、執着する道を選んだ場合、Vtuberさんの心身に悪影響を及ぼす恐れもあります。Twitterを見ていると、割と頻繁にかつてファンだった方とのトラブルの経緯を説明しているVtuberさんのツイートを見かけますが、それほど身近な出来事であり、活動休止や引退に至る方も多くいらっしゃいます。Vtuberの良いところであるはずのファンとの交流が、マイナスな方面に繋がってしまうのは悲しいものです。

大切なのは「“エゴサ“はあくまでエゴの行為であり、義務ではない」ということ。“エゴサ”をするのは自身に対するファンのポジティブな意見を見てエネルギーをもらうため。そのため、エゴサワードが含まれているからといって全てのツイートにいいねをする必要はありませんし、Vtuberさんもマイナスな意見は“見ない”という選択肢を取ることは当然なのです。“エゴサ”はあくまでVtuber主体の行為であり、見る・見ない、いいねする・しないはVtuberさん自身の判断に委ねられます。場合によってはブロックやミュート等の対応も考えられるでしょう。ファンとしてはそこを理解する必要があると言えます。

Twitterを運用する上でライン作りは重要

VtuberさんがTwitterを運用する上で大事にしたいのが、ラインをきちんと設定すること。例えば、自身のツイートに送られたリプライにはいいねをするのみという方もいれば、毎日リプ返をするという方もいるでしょう。

それはそのVtuberさんの方針、または企業所属か個人勢かにもよると思いますが、リプ返するにしても、どのあたりまで行うかというのはきちんと決めておきたいところ。全部のツイートに返信していては時間がいくらあっても足りませんし、逆にランダムに返信しているつもりでも「あのリスナーはリプライをたくさんもらっているのに自分はもらえない!」と不満を感じるファンも出てきかねません。どこまではいいねで済ませるのか、リプ返はどのような頻度で行うかというライン作りは重要です。最近はTwitterのプロフィールの欄に「リプライは気まぐれです」等と書いているVtuberさんもよく見られますが、それもトラブルを避けるための予防策と言えるでしょう。

特に活動開始して間もないころは、自身に関するツイートも少ないため、ついついリプ返等のファンサービスをたくさんしてしまいがちですが、人気になるにつれて無理が出てくるのは仕方がないこと。Twitter運用に関する方針が変わるのも恐らく大多数のファンが理解してくれると思うので、無理のない範囲で運用していきたいですね。そしてその際は面倒でも「方針がこう変わるよ」というのを文章で示すのがいいと個人的には思います。

誰しもが陥る危険性があるからこそ挽回のチャンスを

ここまで杞憂・お気持ちをするリスナーについて、批判的な立場での意見を述べてきました。何度も書きますが“エゴサ”はVtuberさん主体の行為であり、全ての判断基準はVtuberさん自身にあるべきものです。ですから、ファンがあれこれと口を出すことは推奨されません。

ただ、ファンの立場から言わせてもらうと、杞憂の思いを抱いてしまうのは誰にでも起こり得ることでもあります。私自身、色々なVtuberさんの配信を見ていますが、嫉妬の種のような気持ちが全くないとは言い切れません。そんな誰しもが陥ってしまう可能性があるものだからこそ、1度の失敗で離れてしまわないことが大事なのではないかと思います。

Vtuberさん側としても、杞憂やお気持ち発信をしてしまうファンは、裏を返せばそれほどの熱意を持っているということでもあり、出来ることなら元の関係に戻りたいと考えるはず(相当悪質な行為をされた場合を除く)。もしよければですが、互いに歩み寄り、やり直すチャンスを与えてほしいです。その上で何度もルール違反をするなら改めてブロック等の対応をするべきですが、1度の失敗で全て無かったことにというのは少し寂しさを感じます。

これもまたVtuberさん自身の判断に委ねられることですが、ファン目線の私としては、そのように考えますね。

最後に

今回は、少しセンシティブな話題に切り込んでいきました。タイトルはやや強い言葉を使いましたが、内容は出来るだけマイルドに意見をまとめたつもりです。この記事がVtuberさんやそのファンが関係性について考えるきっかけになれば嬉しいですね。

配信者とファンとは言っても、根底は現実での人間関係と変わらないはず。互いを尊重し、思いやりのある関係を築いていければいいなと思います。

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