今日の1曲―ルティナ―ひなの羽衣さん

今日の1曲シリーズ第3回目はひなの羽衣ういさんのオリジナル曲「ルティナ」を紹介。8月20日にMVが公開されるや否や瞬く間に再生回数を伸ばし、現在2万回以上再生されています。

元々、ひなの羽衣さんの歌は高い評価を受けており、投稿した「歌ってみた」は1つのラインとも言える1万再生を軒並み超えています。その優しく包み込むような歌声は、それをきっかけにファンになる方も多いほどで、ひなの羽衣さんのVtuberとしての魅力の中でも大きな比重を占めていると言えるでしょう。

今回紹介する「ルティナ」はひなの羽衣さんにとって久しぶりとなるオリジナル曲。作詞・作曲はボカロPの「MIMI」さんで、エレクトロな中に情緒を感じさせるメロディにひなの羽衣さんの歌声がスッと溶け込み、聴き心地の良い楽曲に仕上がっています。この記事ではそんな「ルティナ」の魅力を紹介していけたらと思います。

歌詞の世界観について

まずは歌詞の世界観について。楽曲全体の幻想的な雰囲気とは違って、意外とシビアな世界観が展開されています。

MVのイラストを見る限り、恐らく主人公は学生。そして、何かしらの原因で遠くへ行ってしまった(これが死別なのか別の意味なのかは聴く人に委ねられている)友人のことを思い、悩んでいるというストーリー。主人公は苦しんでいる友人を助けることが出来ず、そのことを悔やみ、感傷に浸っています。感情に蓋をして楽になろうとするも、やはり自分に返ってきてしまい、何か出来ることはなかったのかと反省会を開く日々。

サビでは1番と最後の歌詞が共通していますが、“夜明けを待ってる
君が見える線の先へ”というワードが印象的。“夜明け”とは恐らく事態の解決のことを指していると思われますが、“君が見える線の先へ”をどう捉えるかで曲のイメージも変わってきます。

様々な葛藤を乗り越えて一歩進むとも考えられますし、逆に(死別したと仮定するならば)友人の後を追うというようにも考えられます。これはこの曲を聴いた人が、その最中にどんなイメージを持ったかで決まるのかもしれません。聴く人に想像をさせる隙間のある歌詞作りがとても素敵です。

私は学生の主人公とその友人という解釈で書き進めましたが、親子、兄弟などといった関係性で捉えるのもありだと思います。その辺りも1つに限らず色々な解釈が出来ますね。

曲の世界観を見事に表したイラストが素敵

Vtuberさんのオリジナル曲ではイラストも重要な要素となりますが、この「ルティナ」のイラストもまた、その世界観を見事に表した素晴らしいものとなっています。

今回のイラストの特徴としては、ひなの羽衣さんのことが全く描かれていないことが挙げられます。曲の世界観を表現することを重視したのか、Vtuberファン以外にも聴いてもらいやすいようにという思いからなのかは分かりませんが、中々珍しいですね。

で、このイラストのポイントは真ん中に描かれている学生の姿。顔が髪の毛で隠れており、表情が分からないようになっています。体育すわりという体勢から、マイナスな感情を抱いているように見えますが、果たしてどうなのか。もしかしたら吹っ切れたような顔をしているかもしれませんし、ここも想像の余地があります。

そしてもう1つ。後ろに描かれている列車と遊覧船もポイントです。これらはどちらも歌詞中に出てくるワードですが、列車は脱線しており、遊覧船も波に揺られて傾いています。どちらも実際なら大変に危険な状態ですが、これも主人公の感情の“揺らぎ”を表現していると思われます。ポップな漫画調のイラストですが、様々なところに歌詞に含まれる要素が含まれていてセンスを感じます。

敢えてひなの羽衣さんの姿を描かないという選択をしたことで、より世界観を強調することに成功した「ルティナ」のイラスト。こちらにもぜひ注目してください。

もちろんひなの羽衣さんの歌声も注目!

これまで歌詞、イラストと見てきましたが、やはり最大限に注目すべきはひなの羽衣さんの歌声。エレクトロなメロディにマイナスな感情を含んだ歌詞という難しい曲ですが、それを見事に歌い上げています。

初めに書いた通り、ひなの羽衣さんの歌声は包み込むような優しさがありますが、その優しさのおかげでこの曲の雰囲気が少しマイルドになっているような、そんな感じがします。

まるで小説を朗読するような丁寧な歌唱は、言葉の1つ1つを聴く人の心に沁み込ませ、想像した後に生まれる悲しい気持ちを緩和させる効果があります。この曲の解釈は様々あると思いますが、聴いた後に優しい気持ちになれるのはひなの羽衣さんの歌声だからこそでしょう。

ひなの羽衣さんの優しさは、上の立場から与えられるものと言うよりは、同じ目線に立って贈られる親しみのあるもの。そんな優しさを感じ取れる歌声と言えますね。

まとめ

今回は、ひなの羽衣さんの「ルティナ」について紹介しました。味わいがいのある歌詞とイラスト、そしてひなの羽衣さんの優しい歌声が合わさった、とても素敵な楽曲。Vtuberファンだけでなく、たくさんの方に受け入れてもらえる曲だと思うので、ぜひとも普段Vtuberを追いかけていない方にも「Vtuberの楽曲」という色眼鏡を外した上で食わず嫌いをせずに聴いてみてほしいですね。きっと、「お、Vtuberの音楽もいいものじゃん!」と思えるはずです。

そしてこの曲や他の「歌ってみた」を聴いてひなの羽衣さんの歌声にハマったなら、ぜひとも配信にも遊びに来てほしい。歌のイメージとはまた違ったひょうきんでかわいらしいキャラクターに、一気に虜になるでしょう。

シンガーとしても配信者としても魅力的なひなの羽衣さん。注目です。

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