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岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟

東京都庭園美術館で開催中の「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」が大変に良いです。

洋裁を学ぶなかでフォトコラージュと出会い、瀧口修造に見出された岡上淑子(おかのうえとしこ)。展覧会やるまで全く知らなかった。

洋服が日本で普及し(させられ)た1950年代、戦後連合国軍が持ち込んだ「ライフ」などのグラフ誌と「ハーパース・バザー」や「ヴォーグ」といったファッション誌を素材に生み出されたフォトコラージュはリアルかつセクシー。戦争社会の風刺も表現していたけど、かえってその状況がアイロニカルにも見えた。海外で高い評価を受けるほど美しいのに、それは日本が敗戦した証明でもあったから。ただ一方で彼女は至極フラットに捉えていたのかもしれない、それこそ作品のための素材として。

おそらく当時のファッション誌は男性が多く関わっていて、それを切り刻むことで締め付けるドレスを着て紙面に縛り付けられた女性を解放させている、この時代に。それがかっこいいと思った。もちろん当時のファッションも美しくて好きだしやっぱりステレオタイプなモデルに憧れるほうなんだけど、今から70年近く前にそんなことをこんなにスマートにコラージュでやるのが素晴らしい。

本人がどこまで意識してた分からないけど、意識してなかったとしてもかっこいい。とにかく「気にしない、私(自分)は私(自分)」ってスタンスを感じた。女性であることを認めつつも中性的で、これくらいがちょうどいいよね〜てなりました。今、2019年に観られて本当に良かった!

マックス・エルンストは後追いで知ったらしく、そこから天衣無縫の美しさに磨きがかかった作品がまた素晴らしかった。野中ユリのように作家人生を歩んでいたらどうなったのかな。

4月7日まで。

オフィシャルサイト
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190126-0407_okanoue.html

本を買って、いろんな方に貸出もできればと思っています。