見出し画像

文字の旅、心の旅

「ローマ字を整えるお稽古」が終わった。名残惜しい。

力んでガチガチだった自分の文字を好きになれなくて、紙事の門を叩いたのが半年前。初回に先生が「このお稽古は旅です」と言ったように、何かを体得する鍛錬ではなく、本当に自分を知る旅だった。

先月は疲れて受講するのがやっとだったし、毎回特に宿題もなく、自主練もしなかったけれど、今日はするりと自分の文字が出てきた。多少の律儀さみたいなのは残っているが、かなり力の抜けた字が書けるようになった気がする。固さを律儀さと言い換えて飲み込めるくらいには、自分(の字)を肯定し、崩す冒険ができるようになった。冒険、すなわち旅。

滑らかな線が無意識に出たり、ガリッと引っかかったり。遠回りは装飾になり、力を入れればインクが出すぎる。それらすべてが驚くほど心を映していた。ボールペンや鉛筆じゃわからない気持ち良さや無理は、つけペンが教えてくれた。日本人なのに、手に馴染むのが毛筆でもないってのがまた面白い。

これからもずっと書くことはやめないだろう。いくらタイピングのほうが早く文字を書き連ねられたとしても、紙に書いたほうが仕事が捗ることが多々ある。手を動かすことは脳みそと直結するから、アイデアや言葉が出やすいのだ。書き文字にはいろんな要素が詰まっているから引き出しにもなりやすい。見聞き感じたことを、文字を通してIN&OUTしていこう。また旅を始めよう。

先輩が見つけてくれた私の色(のインク)と、私が作った私の色で。


本を買って、いろんな方に貸出もできればと思っています。